- Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894563735
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
鳥インフルエンザによるパンデミック。今は一旦静かになっているようだが、いつこの小説のような惨状を呈しないとも限らない。MM菌による人類破滅と復活の第一歩を描く。実際に起こりえる話であるから背筋がぞーっとしてしまう。
-
刊行した1964年という時代背景を鑑みると、まさに経済発展をせんとする熱気のなか、冷戦真っ只中で核戦争も現実味を帯び生物兵器の脅威もより身近なものであったことだろう。そうした大衆心理をよく心得、極めて映画的な表現手法を用いたSF大作が本作であった。喪失と復活という、滅亡系作品の定石も当時としては斬新なものであったのではないか。ウイルスや南極、「復活」の仕掛け等々、じわじわと迫りくる恐怖と絶望、そして人類の一縷の望み、それらを描ききる小松左京氏の才覚を堪能いただきたい。
話は変わるが、刊行当時の「人類35億人」はいまや70億人、狂気のシルヴァーランド大統領はトランプ大統領に酷似と、色々と時の流れと不思議な一致を考えさせられる。 -
今、直ぐ明日にでも起こりうる話しなのでは。
首を絞める人間はきっと最期の最期まで自分も絞められていることに気付かないのだろう…。 -
小松左京「復活の日」
SF映画は好んでよく観るのに、SF小説はこれまでほとんど読んでこなかったのは何故だろう?小松左京も初読です。
近未来。未知のウィルスの伝染によって人類のほとんど死滅した地球。ウィルスの活動が及ばない極寒の南極大陸に残されたわずかな人々。人類はこのまま滅亡してしまうのか?それとも「復活の日」は来るのか?
いわゆる爆発的感染(パンデミック)物と呼ばれるジャンルの作品で、同氏の代表作。過去に映画化もされてるらしい。
日本のSFと言うと星新一のショートショートしか知らなかったので、こんなスケールのでかいSF小説を書く作家が日本にもいるんだなぁと感心してしまいました。
「日本沈没」も読んでみよーっと。 -
氏の初期の作品で、小説的な面白さはこの頃から変わらない。
科学とは、人間とは何かという説教臭い所があり、そういうのが好きじゃないと途中でダレてくる。 -
「さよならジュピター」や「日本沈没」でおなじみ小松左京先生の作品である。
最初こそローテンポであるものの後半からのたたみかけが素晴らしかった。
また人類に様々な点から警鐘を鳴らす良作である。 -
「人類が生み出した大量殺人兵器による人類滅亡」をテーマにしたSF。
前半は退屈な部分があるが、中盤から急展開していく。
本書では、人類は二度の滅亡の危機を迎える。これにより、人類はたった一万人を残して地球から消え去る。
第一には秘密裏に開発された細菌兵器に関わる想定外のトラブルによる滅亡。
第二には、これから縮小に向かおうとしていた核兵器による滅亡。
ただのパニックSFではなく、人類の行く末について考えさせられる作品。
ところどころに挿入本書に登場する科学者の独白や、あとがき、解説が、本書のテーマをより深みのあるものにしている。