宵待草夜情 (ハルキ文庫 れ 1-2 連城三紀彦傑作推理コレクション)
- 角川春樹事務所 (1998年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894564312
感想・レビュー・書評
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花葬シリーズと並ぶ傑作だということで読んでみた。ヘヴィーな情念に圧倒される短編集。
しっとりと語られていくのは愛憎劇、と思うと最後に仰天のどんでん返しが待ち構えている作者お得意の構成。『戻り川心中』に比べて謎解きよりも人間ドラマがメインになっている印象はあるが、結末の企みが凄まじい。作者の奇想は時の流れも逆流させるようで、真相の露見によって構図が正反対になってしまうという発想にただただ驚愕。
それもこれも、圧倒的美文があればこそよね。クレージーな論理を艶麗な筆致で成立させる連城マジックの妙味を堪能できる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どの話も美しすぎて惚れ惚れする。戻り川心中よりもミステリ色が強い。
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図書館で。なんとなく借りてみましたがこの作者さんは女性に何かイヤな思い出でもあるのだろうか、とか思いました。まあこういう人もいるんだろうけどなんとなく違和感の残る女性たちばかりでした。
自分の結婚のためにすべてを犠牲にするって子はわからなくはないんですが夫を憎んでも子供をその復讐の材料にする人妻とか。そうなるのかなあ…?いや、好きでもない旦那の子供だから愛せないってのならわかるんですがだとするとその子の事を心から愛するなんてのは演技でも無理なんじゃ。反対にネグレクトするってのならわからなくないんですけどね。でも愛されたから素直に育った、とあるし…なんか疑問が残ります。父に愛されてない子供は母が同じように心の底で自分を憎んでいるとしたらその辺りは敏感に感じると思うんですけどね。
そして女優さんの話もちょっと分からない。そんなに愛した人の後追いはわからなくはないけど子供も置いていくってどうなのかなぁ…?
読み終わって作者さんは女性になんとなく夢を抱いている方なのかなとか思いました。普通の女性だと子供が出来てしまうとそちらの方に意識や比重が高くなりダンナなんて、となりがちな所いつまでもダンナだけを愛し、恋していてほしいのかな、なんて。なんとなく男性が書いた話だなあと思いましたよ。 -
探偵小説と恋愛小説を融合させ流麗な文章で書き上げた短編集。『戻り川心中』に通ずるものがありますが、あちらほどトリッキーさはない分、各々の女性の心理や情念に比重が置かれています。
【能師の妻】や【未完の盛装】は代表作に数えられてもおかしくないくらい秀逸な出来ですが、マイベストは【花虐の賦】です。自殺の真相を追うだけの作品ですが、真相の露見によって鮮やかにひっくり返る構図が素晴らしいです。
表題作は、ミステリーの仕掛けは控えめですが一人の青年の成長譚として読ませます。
全編様々な趣向を凝らしたハズレなしの一冊だと思います。 -
第五回吉川栄治文学新人賞受賞作。
氏と言えば、推理作家としてデビューしていながら、恋愛小説としてのイメージが強い、と思われる方も多いのでは?
そんな方にもオススメなのがこちら。
恋愛の駆け引きの奥深さ、その情念がこんな形で結実するか!と驚天動地する珠玉の短篇集ですぞ。
勿論、ミステリ気違いもドツボに嵌まる傑作揃い!
四の五の言わずにお試しあれ。(←強制?!) -
持っているのは新潮文庫
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連城式大正ロマン系ミステリ。なんといっても表題作の読後感が素晴らしくて。印象的なラストのフレーズはネタバレなので紹介できないのが残念。
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5篇からなる短編集です。
「花虐の賦」「未完の盛装」の2つは新鮮な驚きがありました。
解説では「ふしぎな逆説」と表現されています。
こういうミステリー好きです。