ブラックスワン (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 133
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894565067

感想・レビュー・書評

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  • 山田正紀『ブラックスワン』ハルキ文庫。

    叙述トリック物のミステリー小説。余り得意ではない分野。山田正紀のミステリーなら『女囮捜査官』『人喰いの時代』が好み。

    18年前に行方不明になった橋淵亜矢子が白昼テニスグラブで焼死体で発見される。一体、亜矢子に何があったのか…18年前に瓢湖でブラックスワンを見た学生仲間の手記から行方不明になった理由が少しずつ明らかになっていく。そして…

  • バイト先が同じとはいえ、ほとんど面識のない若者7人が、バイト先でもらったバレエのチケットで『白鳥の湖』を見たということで意気投合し、旅行にでかける。
    旅先の湖で白鳥の中に一羽だけ黒鳥がいたことで、『白鳥の湖』とオーバーラップしてメンバーは盛り上がるが、黒鳥は弱っており、死んでしまう。黒鳥の死により盛り下がったまま旅行は終了し、もう二度とそのメンバーで集まることもなかった。

    …という青春の1ページとメンバーの女性の失踪事件が何年もたったあとに1つになって、色々な謎が解明される。

    失踪した女性はどこに消えたのか。
    いるはずのない黒鳥があの湖にいたのは何故か。

    謎ときや登場人物の行動に不自然なところがあるわけじゃないのに、なんだか読んだあと、スッキリしないのはなんでだろ。

  • 随分前、「人喰いの時代」に驚愕したので、買ってみたが、それほどでもなかった。

  • 【糸鋸パズルをなぞっていくような複雑な快楽】

    ミステリと呼ぶにはあまりにもエモーショナルで、起こったことよりも思ったことを中心に進んでいく。退屈といえば退屈だし、緩やかといえば緩やか。

    雨の日の憂鬱な午後にぴったりな一冊。

  • 人物誤認叙述トリック。
    明かされた時は、「え?え?」ってなった。妻の病気が何らかにラストで関わってくると思ったのに、最後まで明かされないままだったのがモヤモヤ。

  • 〇 概要
     世田谷の閑静な住宅街にあるテニス・クラブで,白昼,女性の焼死事件が発生した。しかし,捜査を進めていくうちに,焼死した人物は,18年前に行方不明になっていた橋淵亜矢子であることが分かった。当時,女子大生だった彼女に何が起こっていたのか?いったい,なぜ,18年も経ってから焼死事件が起こったのか。雪の瓢湖に舞う「ブラックスワン」を鍵とする青春時代の謎を追うミステリー

    〇 総合評価
     橋淵亜矢子の母から,18年前のスキー旅行についてなどの文集の作成の依頼を受け,18年前のスキー旅行に参加した,丸山厚,津本光子の手記が描かれているが,丸山厚の手記では,恵子と亜矢子についての描写は非常にあいまいに書かれている。これは,丸山が女性を知らないからとも考えることができる点がポイントである。
     津本光子は,薄々,入れ替わりに気付いていたが,恵子の頼みにより,そのことを明らかにしていない。
     この入れ替わりが,非常に奇妙なことになっている。冒頭で,「橋淵亜矢子」が焼死するシーンが描かれているが,ここで描かれているのは「市川(桑野)恵子」の焼死である。時系列がずらされているのも,この作品の巧妙な点である。
     桑野による文集作成の作業が進み,「第三の手記」の章の終盤で,グランドに恵子に呼び出された武井,唐沢と桑野,中野が集まるシーンがあるが,恵子によるテニスクラブでの焼死はこの後の時系列であり,恵子が,手記を読んで,亜矢子が自殺した原因を作ったのが,唐沢であることを知り,唐沢に罪を着せ,一時的とはいえ,警察に捕まらせるために,他殺に見せかけた自殺をした…というストーリーになる。
     亜矢子と恵子の入れ替わりは,叙述トリックを駆使したミステリを読みなれてた人にとっては,見抜けてしまうかもしれない。しかし,丸山が,女性のことをあまりしらないという点を利用して,亜矢子と恵子の書き分けをあいまいにさせたり,恵子はコーヒーを飲まないが,亜矢子はコーヒーを飲むことなどから,きちんと読んでいれば,推理で入れ替わりを見抜けるような伏線をきっちり用意するなど,まるで,叙述トリックの手本のような良作。作品全体の雰囲気もよく,十分に楽しめる一品。★4で。
     
    〇 サプライズ ★★☆☆☆
     叙述トリックの作品だが,叙述トリックの作品を読みなれた読者なら,恵子と亜矢子の入れ替わりには気付くだろう。そうすると,サプライズはそれほどない。むしろ,巧妙な伏線や構成の上手さを堪能すべき作品だろう。★2で。

    〇 熱中度 ★★★★☆
     意外な展開というほどではないが,亜矢子の文集を作成するために,当時,旅行に行ったメンバーに手記を書いてもらう展開が丁寧に描かれており,十分楽しめる。さすが山田正紀と思わせる安定した小説の上手さというイメージ。ぐいぐい引っ張られるというほどではないが,十分熱中できる。★4で。

    〇 インパクト ★★★★☆
     テニスクラブで女性が焼死するというシーンはインパクトがある。また,物語で象徴的に使われているブラックスワンも,白鳥の群れとの対比でインパクトを出している。★4で。

    〇 キャラクター ★★☆☆☆
     叙述トリックの作品ということもあり,丸山の手記の部分など,十分にキャラクターが書き分けられていない部分もある。主人公の桑野も,個性はあまりない。市川(桑野)恵子も,そこまで個性的ではなく,全体的にキャラクターの魅力はイマイチ。★2で。

    〇 読後感 ★★★☆☆
     橋淵亜矢子が,唐沢に襲われたショックで自殺してしまったり,中野がわざわざ連れてきたブラックスワンは白鳥に襲われて変死してしまう。橋淵亜矢子が,唐沢に襲われて自殺したことを告発するために,病に苦しんでいる市川(桑野)恵子は,夫の桑野を残して焼死してしまう…と,なかなかショッキングな内容だが,それほど読後感が悪いわけではない。叙述トリックをメインにした話で,そこまで各キャラクターの人間性が掘り下げられていないからだろうか。★3で。

    〇 希少価値 ★★★☆☆
     永らく絶版状態だったようだが,2014年に第二刷が発行され,やっと手に入りやすくなった。とはいえ,そもそも山田正紀の作品は,玄人の評価は高い割に,一般の評価が低く,売れない傾向にある上,この作品は叙述トリックもので,さらに一般受けしなさそう。また,手に入りにくくなるとみた。★3で。
     

  • 入れ替わりにはすぐ、気がついた。 時刻表トリックはいまいちピンとこず、警察の緊張感もないし18年前の台詞とかよく覚えてるわ、事故死が何らか絡む事もなく「ブラックスワン」の連呼。 何か読むのに時間がかかって疲れた。

  • スゴイ!!
    完全に引き込まれたー

  • シンプルなトリックのはずなのに、若干ややこしい。

  • 多少不自然と感じる箇所はありますが、真相の意外性は相当なもの。意表をつかれました。武井の手記に、「え?」と思い、その後に明かされていく事実によって、徐々に真相が理解できていきました。アリバイ工作の理由に納得。7人を結びつけた「白鳥の湖」がモチーフとしてうまく真相に活かされていますし、伏線の回収も鮮やか。

    不自然と感じたのは、中野がブラックスワンを○○したことと、新大阪のホテルからの電話の件です。そこまでやるかなと思います。

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著者プロフィール

山田正紀(やまだ・まさき)
1974年、『神狩り』(早川書房)でデビュー、同作は第6回星雲賞日本短編部門を受賞した。『最後の敵』(徳間書店)で第3回日本SF大賞を受賞、『ミステリ・オペラ』(早川書房)で第2回本格ミステリ大賞と第55回日本推理作家協会賞を受賞。「神獣聖戦シリーズ」「五感推理シリーズ」など、多数の著作がある。

「2019年 『大江戸ミッション・インポッシブル 幽霊船を奪え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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