さよならジュピター 下 (ハルキ文庫 こ 1-16)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 173
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894565234

作品紹介・あらすじ

火星で発見された地上絵に隠された"宇宙メッセージ"の解読が進む中、「木星太陽化計画」主任・本田は、太陽系開発機構から恐るべき報告を受ける-二年後、ブラックホールが太陽を直撃するおそれがあるというのだ!人類滅亡の危機を前に、木星を爆破させて、ブラックホールのコースを変えようという計画が浮上するのだが…。空前のスケールで描く宇宙SF巨篇完結。

感想・レビュー・書評

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  • 小松左京の名作中の名作中の名作。タイトルも秀逸。まさに「さよならジュピター」。Sifiに興味がない人も、この次に「三体」を勧めると自動的にはまります。

  • 2020/9/11
    うーん、スケールがすごいなぁ。TVドラマ化して掘り下げてくれないものか。木星太陽化は「2010年宇宙の旅」とも共通するテーマですね。

    2011/11/03 感想
    彗星の巣を越えて迫り来る危機。人類は脱出できるのか?クライマックスを迎える所だったのに昼ご飯を食べた何処かの定食屋に置き忘れ、そのまま行方不明。マイクロ・ブラックホールに吸い込まれたか…

    ・・・と思ったらベッドの下から出てきた。マイクロ・ホワイトホールから出てきたか・・・

    映画のノベライズなのでビジュアル重視なのはしょうがないけど、もう少し掘り下げがほしかった気がします。いろんなアイデアが詰め込まれているんだけどね。宇宙版日本沈没。

  • 上巻の完結編です。

  • 小松左京が『日本沈没』のシノプシスを太陽系へスケールアップしたSFスペクタクルの下巻。太陽系の中心である太陽に衝突するコースを取るブラックホールの存在を知った人類は太陽系脱出計画と、かねてより計画されていた「木星太陽化計画」を一部変更して木星を爆破し、そのエネルギーによってブラックホールの軌道を変える作戦の「豪華2本立て!」でクライマックスへっ!!という展開。
    人間でありながら、生まれ育った環境の違いで地球に住む「地球人類」と太陽系内に点在するコロニーで生まれた「太陽系人類」の意識の隔たりや自然崇拝と科学主義のジレンマというハードSFとしてのテーマが内包され、SFスペクタクルの中にあって人間の思想や真理を浮き彫りにする独特の手法は小松作品の真骨頂。特に日本の民族性から考察した和製カルト集団の過激派によるテロ行為にいたるプロセスは、かの「地下鉄サリン事件」の予言と言っても過言ではないだろう。
    しかし、上巻の冒頭、古代宇宙人の残したとみられる火星に描かれたナスカの地上絵出現によるメッセージは単なる「掴み」にしかなっておらず、「ジュピターゴースト」という太古に太陽系に飛来した地球外生命体の乗っていた宇宙船の存在理由は結局なんだったのか語られないまま煙に巻かれたように回収されず、物語として致命的な欠点は主人公とヒロインの悲恋にまつわるエピソードで物語が進むにつれてヒロインの性格と行動が支離滅裂を極め、伏線の《詰め込み過ぎ》によるストーリーの破たんが随所で見受けられるために、盛り上がるはずのクライマックスも取って付けた様な展開で一向に盛り上がらない。小松左京という作家は、大へんにロマンチストだがラブロマンスをドラマとして描くのは非常にヘタクソな作家である。この点では日本SF小説界においてヒロインの「萌え」を最初に体現させたと言っても過言ではない同友の筒井康隆に大きく水をあけられているといえる部分でもある。

    本作誕生の起源は1976年夏、東宝映画のプロデューサー田中友幸が米国で異例のヒットを記録、翌年の日本公開を控えたアメリカ映画『スターウォーズ』(1977年)の≪対抗馬≫として1962年に製作公開された東宝映画『妖星ゴラス』のリメイクを兼ね、空前の大ヒットを記録した映画『日本沈没』(1973年)のディザスタームービー(災害映画)なプロットを宇宙で繰り広げる映画用ストーリーの草案を原作者である小松に承諾を得るために打診したことから始まった。
    小松は『日本沈没』の映画をヒットさせた田中プロデューサーから続けて『続・日本沈没』の製作を持ちかけられたが「直ぐに続編は書けない」と断った経緯があり、小松にとって再度映画化の話を断り切れない事情があるも「宇宙版日本沈没」のプロットだけという事には難色を示し、かねてからアニメーション制作会社の東京ムービーに依頼されて、テレビアニメの原作として考えていた「木星太陽化計画」を巡るSFドラマ原案に幾つかのエピソードを加え、SF考証に当時の著名なSF作家を集めて設定のリアリティーをより強固なものとした。
    数回の改稿を経て書き上げられた映画用脚本を元に小説化した『さよならジュピター』が原作ではなく≪ノベライス≫となっているいる所以はこのような経緯によるものでもあった。
    肝心の映画『さよならジュピター』は企画から制作までに7年の歳月が流れることで予算は縮小され、当初予定されていた監督の死去や諸々の諸事情により映画としての評価と興行収益は散々な結果となり、以後、邦画界はSF映画作品の製作を敬遠する向きにすらなってしまった。

    因みに『妖星ゴラス』は1962年に東宝映画が製作した邦画カラー初のSFディザスタームービー。軌道上の天体を吸収し巨大化する怪星「ゴラス」と地球との衝突を回避するため、南極に巨大な核融合ジェットエンジン群を建造して、その推力で地球の公転軌道を変えて危機を脱しようと奮闘する人々を描いた空想特撮映画。この映画が公開された年に小松左京は短編小説『地には平和を』で第1回 ハヤカワ・SFコンテストにおいて努力賞を受賞。同年SF同人誌「宇宙塵』第63号に掲載され作家としてのデビューを飾り、その22年後にこの映画を元に『さよならジュピター』を手掛けることになったとは一人の偉大なSF作家の運命的なものを視ることが出来る。

    追記:主人の本田英二の名は、映画『妖星ゴラス』の監督である本多猪四郎と特技監督の円谷英二から。公式見解としては偶然の一致と否定しているが、小松本人は本作を「『妖星ゴラス』のリメイク」と取られる事を小説家として嫌っていた。小説版では「地球にジェットエンジンを付けて軌道を変えればいい」と茶化すセリフも有り、小松らしい「天邪鬼」な一面が垣間見える。

  •  上巻を読んでいる時は、描写の緻密さやスケールの大きさに感心したけれど、下巻に入り物語が終盤になってくると、いろいろ粗を感じるようになってきた。
     そして、その一番の粗がヒロインのDQNぶりというのも凄い話だと思いました。

     一番最後に気になったのが、その後としてあういう展開になったのはいいとしても、脱出組と置き去り組の間にはかなり大きな軋轢が出来て、まともに政治なんて機能しないのではないのかと感じたのだけど、その辺りはどうだったのかなあ。スケールの割に消化不良がいろいろ残る話でした。

  • これほどスケールの大きい話を、これほど緻密に展開させた話はないと思う。

  • 宗教、科学、その他色々な要素をつぎ込んだSF大作。面白かったけど、ヒロインがDQNでまったく共感できず、出てくるたびに苦痛だった。

  • 母の本。感受性豊かな10代の時に読んだのでとても印象に残っている。
    私がSF好きになるきっかけになった作品のひとつです。

  • 未読

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著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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