産霊山(むすびのやま)秘録 (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 100
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (554ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894565814

作品紹介・あらすじ

"ヒ"-はるか遠き御代から続くその一族は、歴史が動乱期にさしかかる時、「御鏡・依玉・伊吹」と呼ばれる三種の神器によってテレパシー、テレポーテーションなどの特殊能力を駆使し皇室の危難を救ってきたといわれる。織田信長の比叡山攻め、関ヶ原の戦い、幕末の争乱、太平洋戦争…日本史が激動する中を暗躍する"ヒ"一族の姿を圧倒的スケールで描き切る、一大SF伝奇ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • とつぜんの半村良。読みたい本を思いつかないときに、一応幻想文学好きとして、歴代の鏡花賞受賞作をとりあえず読んでみる、というのを時々実施しており。この『産霊山秘録』は1973年の泉鏡花文学賞第1回の受賞作。半村良を読むのは中学生の頃父親の本棚にあった「妖星伝」最初の数巻を盗み読みして以来。兄には貸したくせに私には「女は読むな」と言われたので頭に来てこっそり家族の留守に読んだのだけど、結構なエロ描写があり、父が中学生娘に貸したがらない理由を察して読まなかったふりをしたものでした(苦笑)

    というわけで閑話休題。本作は歴史SF大河伝奇ロマン(盛りすぎ)大作。古代から神の末裔とされ天皇家と日本を影ながら守ってきた「ヒ」一族。物語冒頭(戦国時代)ではすでに一般人に混じってしまった者も多く、ヒ一族の自覚を持って活動しているのは少数の幹部のみ。活動内容としてはまあ「一種の超能力のある忍者」くらいの感じ。「産霊山」と呼ばれる彼らのパワースポットのような場所が全国各地にあり、そこに三種の神器(玉、鏡、剣=音叉)を設置することで、産霊間を自在にテレポートできるのが特徴。

    上の巻ではなんと明智光秀を含む戦国武将の何人かがこのヒ一族であり、太平の世のために織田や豊臣、徳川を影で操ったりするのだけど、都市伝説あるいは単なるこじつけ、と一笑に付すにはあまりにも綿密で史実とちゃんと一致するのがすごい。もちろん明智光秀といえば当然、本能寺の変の真相は実は!というのもあり、このへんはなかなか面白い。「オシラサマ」の伝承もうまく絡めてある。

    下の巻で時代は幕末に。山内がヒ一族な時点でもしやと思ったけど案の定、坂本龍馬も一族の一員。さらにヒ一族ゆえ、比叡、日ノ岡など地名に「ヒ」の字が入ってたらそこは一族がいるという伏線でこれはきっと…と予想してたらやっぱり、日野出身の新選組隊士たちもまんまとヒ一族。沖田総司が池田屋で血を吐いたのは超能力の使い過ぎゆえ。なるほど(笑)

    しかしこのへんから、かなり駆け足で時代がすすみ、一気に第二次大戦後の昭和、東京大空襲や戦後の復興期、そしてアポロの月面着陸まで。戦国時代の序盤で主人公だと思ってたのにあっさりにテレポートに失敗し、昭和日本にタイムスリップした飛推というキャラがつまり終盤で再登場、その能力ゆえNASAに拉致され、そしてやはり戦国時代にテレポートに失敗して月まで飛ばされちゃった兄の死体を月面で見つけるという壮大にトンデモなオチ。

    最終的に、伝奇ロマンぽくなくなっちゃったのはちょっと残念だったかな。もっと関ヶ原なり幕末なり、じっくりヒ一族の暗躍を描いてくれたら楽しかったのに。世界規模の話になっちゃって、日本国内だからこそのおどろおどろしい空気感がなくなってしまっていた。

    あと内容とは関係ないですが他の方も書かれてたように、ハルキ文庫、ものすごく初歩的な誤植が多い・・・。カドカワなのに校閲ガールいなかったのかしら。

    さらに余談ですが、冒頭でいきなり実家の地元のお寺が出てきて、地元界隈が舞台になっていたのはちょっと嬉しかったです。小栗栖の竹藪は、私が小学生の頃、ここで殺された明智光秀の幽霊が出るともっぱらの噂でした(笑)今はもう竹藪もなくなってるけど。

  • 他の出版社からも出ているようだから、読むならそっちにした方がいいよ( ´ ▽ ` )ノ
    このハルキ文庫版、とにかく呆れるほどに誤植が多い(>_<)。
    かなり大事なところでも堂々と誤植ってる(>_<)。
    改行位置も無数に間違えているから、どれが誰のセリフだか、かなり混乱する(>_<)。
    校正担当、これでよくクビにならないものだなあ(´ェ`)ン-…。


    作品そのものとしては、伝記SFの祖としての貫禄、未だに面白さは衰えていない( ´ ▽ ` )ノ。
    国家の裏面、隠された歴史、闇に生きる一族( ´ ▽ ` )ノ。
    戦国史や幕末史について最低限の知識は必要だろうけど、単純に「ヒ」という超能力者の設定だけでもすごく魅力的( ´ ▽ ` )ノ。
    山田風太郎の忍法帖と似て非なる楽しさ( ´ ▽ ` )ノ。

    ただいかんせん、全体に急ぎ足な感(>_<)。
    長い長いあらすじを読まされたような気がした(>_<)。
    本来なら、各章ごと一巻の長編作品として書かれるべき内容・密度だったね(>_<)。


    昔からSFファンだったのに、なんとなく敬遠していた半村良の初体験( ´ ▽ ` )ノ。
    他の作品も読んでみたくなったけど、ハルキ文庫版はもうイヤだな(>_<)。


    そうそう、高知弁で喋らない坂本龍馬ってのを、今回初めて見た(@_@。
    じゃきとかぜよとか言わないと、龍馬の偽者みたいだね( ´ ▽ ` )ノ



    2017/01/01

  • 「SF伝奇ロマン」というジャンルを初めて読んだかも。何しろ発想は面白いしかなり細部まで詰めて書かれてるんで面白くないわけじゃないんだけど、歴史に弱いせいか途中で意識がとんでしまい、読了に時間がかかった。

  • 産霊山を巡り時代と人々は呪われた運命を辿る。半村氏の伝奇小説は世界を廻す。壊す。そして、覆す。

  • 086.初、並、カバスレ、帯なし
    2011.12/20.松阪BF

  • 何年かぶりの再読。手元の祥伝社ノン・ポシェット版の奥付は平成4年。元々は神と天皇家の中間に位置し、世が乱れ、天皇家が危機に瀕した時にのみ特殊能力を持って天皇家を守って来たヒ一族。ヒは日とも卑とも謂われ、歴史の裏側でその特殊能力によって時の政権を支えてきた。戦国末期、幕末、終戦間際。ヒの末裔が戦乱を収めようと躍起になって活躍するが、気がつくと人間の欲望にまみれ、血はだんだん薄れる運命にあった。半村良伝奇小説の傑作小説。「生あるものが、生あるものを喰らって生きる事は穢れである」とおう、後に「妖星伝」でメインテーマになる着想はもうこの時点で用意されていたのですね。そして戦乱に巻き込まれる庶民の姿。特に東京大空襲から戦後数年までを描くところはもうすばらしい。ここは後に「晴れた空」として集大成していくのですね。

  • @yumekobo(on twitter)氏の推薦による。

  • 織田信長の比叡山攻め、関ヶ原の戦い、幕末の争乱、太平洋戦争。
    日本の歴史の裏には「ヒ」と呼ばれる一族が存在した。

    これはねえ、凄い本ですよ。
    実際の歴史とフィクションが見事に一致した、一大伝奇ロマン小説です。
    半村 良氏の頭の中を真剣に覗いてみたいと思った一冊。
    是非、一読あれ。

  • 伝奇小説b

  • 明智光秀は双子だった。うーん、戦国時代の謎が解ける逸品でした。

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