モンゴルの残光 (ハルキ文庫 と 2-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 60
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894565999

作品紹介・あらすじ

成吉思汗紀元838年、世界は征服者たる黄色人種と被征服者の白色人種に二分されていた。支那本土に築かれた強大な元帝国では、白人は奴隷と化していたのだ。白人シグルト・ラルセンは、圧制に喘ぐ人々が作り出し秘密結社「黒耶蘇」に身を置き、日々高まる抵抗運動の激しさを感じていた-。元帝国支配の歴史を改変すべく、シグルトは、時航機『刻駕』を駆って十四世紀の元へと旅立った!著者畢生の傑作長篇SF。

感想・レビュー・書評

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  • イスタンブールの安宿で発見。最初は文中の複雑な漢字表記に戸惑ったが、ページをめくるごとにその壮大なスケールと展開に引き込まれていった。「IF小説」というジャンルは自分にはかなり合っている。

  • 白人が支配するこの世界を、黄人優位に反転させたら?という作品。白人が奴隷のように扱われ、黄人が我々の世界の白人のように振舞っている。SF的要素も入っており、漢字の固有名詞に怯まず読み進めていけば面白くなってくる。
    小説の意図もわかりやすい。当時の日本の欧米などへの憧れへの反発なども、この小説が書かれた背景にあるようだ。
    主人公、星卜刺が人々が(以前に比べれば)平等に向かっている、様々な価値観が認められる現代社会を見れば、少しは未来に希望を持って死んだのだろうか。それとも、やはり未だ差別の残る社会に見えるのだろうか。

  • 2017/12/02 18:32:27

  • もし、モンゴル帝国が全世界を征服していたら?
    それは、ちょっとしたボタンの掛け違いで、もしかしたらありえていたかもしれない歴史です。
    黄色人種が圧倒的優位に立っている世界で、被支配層の白人青年がタイムマシンに乗って14世紀初頭、モンゴルが欧州を席捲する前の時代にタイムスリップし、歴史改変を試みます。
    その後の彼の数奇な物語も興味深いのですが、序盤で語られる「いかにして世界が黄色人種中心となったか」という歴史の説明が衝撃的です。それはあたかも現実の歴史の裏返しだからです。
    14世紀前半、元朝の三度目の日本侵攻が成功、モンゴル帝国は返す刀で欧州に攻め込み、これを征服します。さらにアフリカや新大陸をも征服、産業革命や新大陸国家の独立、無産革命などの出来事を経て黄色人種優位の社会が作り上げられる過程が丹念に描かれています。
    普通の歴史IF小説とはやや趣向の異なる内容となっており、世界史ファンなら楽しめる内容です。

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著者プロフィール

1938年、群馬県生まれ。島根県立大学名誉教授。若くしてSF小説界にデビュー。歴史小説や社会評論など幅広い分野で執筆活動を続ける一方、古代日本史を東アジアの流れのなかに位置づける言説を展開して活躍。著作には数多くの小説作品の他、ノンフィクション作品として『たのしく老後もはたらく生き方』(ビジネス社)、『ヤマトタケルの謎-英雄神話に隠された真実』『「宇宙戦艦ヤマト」の真実 いかに誕生し、進化したか』(いずれも祥伝社新書)などがある。

「2023年 『不思議の国 ニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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