青の時間 (ハルキ文庫 う 4-3)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 63
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894568167

感想・レビュー・書評

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  • 頭の中をかき回されるような小説だった。
    つい、読んじゃうけどね。
    そして、最後にはなかなか悩まされてしまう事がおき、しかもそれはありふれた問いかけではなく、みたこともないような内容でした。
    結果とにかくおすすめです!

  • 誰がどの人で、どの人が誰なのか、自分までも誰なのか分からなくなるような混沌とした世界に呑まれ、混乱の渦に巻き込まれていく感覚が面白かった。

    「ひとは複数の人格から一つを選び取っているだけだ。ひとは皮膚の内側の小宇宙に無数の人格を持っている」

    このフレーズがこの作品の主題なんじゃないかと思う。

    一見小説内だけの不思議な話に思えるが、実は誰にでも当てはまる普遍的な大事なことを問いかけている作品。

  • 中学のとき通っていた塾の、現国のテキストか模試の問題文として出てきたのが、この作品と出会ったきっかけだった。
    当時はさして興味を持たなかったのに、時が経つにつれ、「あれは何て小説だったかな?」と気になって気になって…
    転校するときに別れが辛くなるから友達をつくらないと決めた少年が、ある兄妹と友達になって手品を見せる話~という風に記憶していたので、そこからキーワードを拾って検索して(いやー、便利な時代だw)、ようやく見つけた。

    生きていればいろんなことがあって、そういうことと折り合いをつけながら、それでも人は日常に流されて生きているものだと思うけど、〝彼〟は違う。
    よく、女性のことを「夢見る少女のまま大人になった」みたいな表現をすることがあると思うけど、〝彼〟はまさしく「少年のまま大人になった」ような人だなという印象を受けた。
    みんな、そんな〝彼〟を心配している(あるいは惹かれているのか、依存のようにも見える)のに、〝彼〟の方はそんなのはおかまいなしといった風で、誰にも心を掴ませない。

    世界的マジシャン・ブルーの日本初公演にして最後のマジックで、実はスタッフまで騙していた~というところには心底驚いた。
    そうして〝彼〟を捜すことにした、岩崎満,奈奈,三島沙菜江――だけど捜す相手は三者とも違っているところに、その人となりが表れているようで興味深かった。
    でも本当に、どこ行っちゃったのよ?と言いたくなるけれど、そこまでが〝彼〟のマジックだったと言われれば、確かに〝彼〟らしい気もする。
    スタッフや協力してくれた大勢の人々を含め、〝彼〟以外の誰もこの完璧なマジックの真相に辿りつくことはできないんじゃないだろうか?それとも、まだ見ぬ未来にその答えは待っているのかな。

    その鮮やかな手のうちは、決して誰にも明かさない。けれど本当は、すべての人がその答えを持っている…かもしれない。
    この1冊を通して、そんな一つのマジックを見せられた気分になった。

    …でも正直、中学生の読解力を試す文章にしては難しすぎると思うよ!?(今読んでも難しいって思うのに、当時の私はどうやって問題解いたんだろう?笑)

  • 主人公、僕ことミツルが、プロモートの仕事で関わることになった魔術師ブルーの全貌を探るのが大筋。
    ブルーに重なる昔馴染みの姿。共通項を示しておいて、しかし彼はそれを否定する。ミツルは仕事と並立して、ブルーの正体を求めてゆく。ブルーと良く似た雰囲気の古い友人、青木万里夫はミツルにとってキィパーソンなのだ。
    自分の内に空虚感を飼っている人は結構いるのではないだろうか。ミツルもそういう人物の一人。
    この作品の中では、その感覚は「止まった水車」と表されている。水の流れに沿って、自然に回転していた水車が、或る時点から水を受けても廻らなくなる。社会の中で孤立した自己、不意に皆と馴染めなくなった経験、ありませんか。
    ミツルの、ブルー探しの過程は、自分と世間との関わり方の根を求めるようなものでもあり、
    自分の為の仕事という理想と、企業規模な仕事の段取り/マジックの主催側と観客/夢と現実/想い出とこれから
    それらの接点を、その場面での自分の役割、視点、気持ちを探る物語。

  •  マジシャンの正体…というか、抱えている問題…みたいな、一番の謎部分は、読めてしまって、ちょっと物足りなかったけど、現実世界と夢のような世界の、はざまで起こっているような世界観は綺麗だったな〜。

  • 少年時代のちいさな接触が巻き起こす大マジック。昔のことだからほんの一瞬のことのように感じて忘却のむこう側に仕舞っていていつも思い出すわけでもなく、そんな記憶が私にもあるなぁ。

  • おもしろくなかった。どんなテンポだよ

  • 読んだことはないが、ラジオドラマで聞いて、薄井ゆうじさんのファンになった。
    突拍子もない展開なのに、心に響く作品が多い。

  • 世界的に有名なマジシャンのブルー。日本でのCM出演依頼の交渉をするためアメリカに渡った僕は、そこで妹と妹に似た沙菜江に会う。そして豪快なマネージャーの小倉と暗い部屋でサングラスをかけたブルーに会い、日本での公演が決まる。
    ブルーは中学生の時、水車小屋でマジックを見せてくれた転校生の万理夫だった。

  • <poka>
    だいこんまる推薦。薄井ゆうじは初めてだったが、テーマ、設定、展開、どれをとってもかなりおもしろく満足できた。

    あえていえば、主人公がブルーの正体になかなか気づかず、途中ストーリーがもたもたした感じになったのと、ストーリーを先読みできるのがちょっと不満。

    他の作品も試してみたい。     

    <だいこんまる>
    薄井ゆうじを好きになるきっかけとなった本。

    現実ばなれしたミステリアスな雰囲気が好きです。

    わたしも天才マジシャンになりた〜い!!

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