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- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894569133
感想・レビュー・書評
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「酔っ払っちゃいないさ。ちょっとワインを飲んでるだけだ。ワインが好きなんだよ、おれは」
「とにかく、酔っ払わないで。ね、酔っ払わないで、ジェイク」
物語の最後の方で交わされる登場人物の会話。
酔っ払ってる人間に限って「酔っ払っていない」というのは、よくある光景。そして、そんな酔っ払いに付きそう仲間も大概酔っ払ってる。口では「酔っ払わないで」と仲間に頼みながらも。
“ロスト・ジェネレーション”の代表ともいえる名作。巻末の解説でも言及しているが、これは“失われた世代”ではなく、“自堕落な世代”と訳すべきなのだろう。時代の雰囲気に流される、過去から現在へと続く価値観から外れた生き方をする世代の物語。
だからこそ、今読むべき小説なのかもしれない。
社会、経済、文化……色々な括り方をしてみても、未来が見えない時代の流れを泳ぐためのヒントになるような気がした。
一見自堕落なようで、そのくせ自分の足で国境を飛び越え、自由に生きる一世紀近く前の彼らの姿は、今を生きる読者の心をとらえて離さないような気がする。
たまには酔っ払って、今歩いてる道を外れてみるのもいいかもしれない。そうしたら自分の立ち位置が改めてわかるかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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