三国志〈10の巻〉帝座の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894569638

感想・レビュー・書評

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    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    北方三国志の9巻、10巻を読んでいると徐々に呉のことが嫌いになってくる不思議な現象
    演義では関羽の死因となったことでただでさえ嫌われる呉が北方三国志では張飛の死因となっていることが原因だと思うけどね。
    北方三国志の私が読んできた三国志作品の中では一線を画するキャラクターだったな。もちろん従来のように粗暴な面もあるが、それ以上に時折見せる理性的で優しい面が強く印象に残っている。
    それに曹操も死んでしまったな。最後の方は色々と悩んでいたようだけど、最後は穏やかに死んでいったのが印象的だったな。

  • 曹操がついに死んだ。天下統一の夢半ばではありながら、ここまでの物語では圧倒的な覇王だった。曹操は病に倒れる以前から身体的な老いよりも、戦に対しての構え方や気持ちの変化などの精神的な老いを自らが最も敏感に感じ取っていた。そのためか、病に倒れてからもその状況を自身が最も素直に受け入れ、最期まで声が出る限り、伝えるべきことを伝えている姿が印象的だった。一方蜀では劉備と張飛が孫権討伐のため、激しい調練を重ねる。もはや孫権討伐は蜀の主としてや、戦略など関係なく、兄弟を殺されたことへの復讐の気持ちだけだ。張飛だけで孫権を討伐することを頑なに拒み、自身も共に敵を討つと言い張る劉備。国家の主としては無謀だが、これこそが劉備たるゆえんなのだと強く感じた。そして、待ちに待った出陣を目前にして、張飛が暗殺により死す。表向きは豪快だが、繊細な優しさを持つ姿が印象的に描かれてきた張飛らしい最期だった。

  • ついに曹操と張飛が死にました。この膨大な三国志は次々に魅力的な登場人物が現れると共に、次々に死んでいく話です。それにしても曹操は主人公・劉備のライバルとして、むしろ劉備以上に取り上げられて来ましたし、張飛に至っては著者がもっとも力をつぎ込んできた登場人物です。これで1巻から生き残っているのは、劉備と最近ほとんど登場しなくなった洪紀くらいではないでしょうか。
    それにしても曹操も張飛の死も意外でした。二人とも見事な武将であり、激戦の中での死を予想していたのですが、曹操は病でひっそりと、張飛は妻を亡くし、失意のうちの寝室での暗殺でした。
    とはいえ、いよいよこの長い物語の終焉に向かい最後の登りが始まりました。

  • みんな死んでいく巻。
    段々と、さっぱりとした漢の物語から離れていく…

  • 再読。

    ますます孫権が嫌いになる巻。

    張飛の最後は演義で描かれたものより数倍劇的で好み。
    素晴らしく魅力的キャラクターにはふさわしい最後。

    それしにしても董香は本当に素晴らしい女性。
    まさに理想の女性だなぁ。

  • 『いま死ぬわけではない。すでに、俺は死んでいた。』
    という言葉がまさにしっくりくる張飛の最後でした。

    関羽の最後は後悔こそなかったけど後に残していく人たちへの思いを持っていたのに対して、張飛はもう死を受け入れ切ってしまっていたなと。
    だからそれほど悲しみはなかったけど(知っていたし)、やっぱり張飛は大きな存在だったんだなと思いました。喪失感は大きい。

    董香はいい奥さんだったなあ。

  • 劉備、関羽、張飛の 三兄弟に
    試練が やってくる。

    漢中で 曹操と戦い、打ち破った
    劉備軍は、関羽が荊州を攻略した。
    しかし、そこには 軍師がなく
    また 裏切りが横行した。

    呉軍が 同盟を破り、関羽を窮地に追い込み
    さらに、味方からも 裏切りがでた。
    そのことで、関羽は 壮絶な死を遂げる。
    そのことに 諸葛孔明は 衝撃を受けるが
    劉備、関羽は 仇を討つために 訓練を重ねる。

    呉の致死軍によって、
    張飛の妻 董香は、拉致されそうになって、
    抵抗し 息子とともに 殺される。

    そのことで、心をなくした 張飛は
    戦いにでるが 路幽に 薬殺される。
    武将として あっけない死だった。
    もっと、活躍してほしかった。
    馬超が その意志を次ぐのだろうか。

    劉備は 関羽と張飛を失う。
    諸葛孔明の 飯を運んでいた 陳礼が
    将軍として 張飛の跡を継いで 立派な戦いを進める。

    三国志も かなり 終盤となった。

  • 張飛の死が自分の想像以上に衝撃でした。思えば王安が死に関羽が死に薫々が死に、張飛の大切の人の死は全て衝撃でした。初めはがさつな印象でなかなか好きになれない人物でしたが、いつしか優しさと強さを兼ね備えた張飛を好きになってました。
    劉備はもう孫権の首しか見えていない。これからの蜀はどうなるのだろうか。

  • 新品を買うべきか、中古を買うべきか。

  • 分かってたけど、知ってたけど。
    張飛にだけは死んでほしくなかった。。
    蜀に暗雲が立ち込める。。。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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