三国志〈10の巻〉帝座の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.99
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本棚登録 : 1358
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894569638

作品紹介・あらすじ

関羽雲長死す。その報は蜀に計り知れぬ衝撃を与えた。呉の裏切りに対し、自らを責める孔明。義兄弟を失い、成都へ帰還した劉備と張飛は、苛烈な調練を繰り返し、〓州侵攻、孫権討伐を決意する。一方、魏王に昇り、帝を脅かす存在となった曹操は、後継を曹丕に譲り、刻々と迫る死に対峙する。司馬懿とともに魏内の諜反勢力を駆逐する曹丕。劉備の〓州侵略に備え、蜀へのあらゆる諜略を巡らす孫権。英雄たちの見果てぬ夢が戦を呼ぶ、北方三国志波瀾の第十巻。

感想・レビュー・書評

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  • ついに残るは劉備のみ。張飛の死に方はかなり脚色が強かったが、嫌いではない。なるほどなぁ、張飛ならそういうこともあるかも…という思いもある。
    この後はどの国も失速していくことになるのだが、どのように描くのか楽しみだ。

  • 関羽の戦死前後で気持ちに衰えを感じさせていた曹操が死に、夏侯惇も役割を終えて後を追うかのように死ぬ。
    蜀でも裏方として劉備を支えた簡雍が死に、馬超も表だっては体調不良としつつ去ろうとしている。
    本巻の中盤まででも物語の初期からの主要人物が次々に死んでいき、残された人物の最後の輝きや、中堅層、若い世代に主役が移りながら話が展開していく。
    次世代はやや小粒で魅力が薄いか。
    最後には張飛の一家も死ぬ。趙雲に吉事があった後の董香の死は悲しすぎる。

  • 前巻の関羽に続き、張飛が死んだ。曹操も死んだ。ここまでほぼ主役に近い描かれ方をしていた登場人物たちだけに、今後、滅びに向けた物語が加速していくのだろう。
    吉川版や横山版では、五虎将軍といわれる割には知らぬ間に物語からフェードアウトしていく馬超だが、今後、どのように物語に絡んでいくのか注目したい。

  • この充実感であと三冊も残っているとは!
    三国志恐るべし!

  • 曹操孟徳、まさしく覇道を歩んだ稀代の英傑が志半ばで病に倒れる。軍人としてだけでなく、文官、詩人として後世に影響を残した三国志の英雄の最期。彼が魏に攻勢をかける諸葛亮を若かりし頃の自身と重ね合わせ、老いを感じたシーンは北方三国志屈指の名シーンです。
    曹操やカコウトン、張飛が逝き、諸葛亮や司馬懿、そしてリクソンといった新時代の到来を感じさせる巻でありました。

  • <晋>
    全13巻の内この10巻までたどり着いたところで主人公格の登場人物が順に死んでゆく。三国志的予備知識のほとんどない僕は,これはこの先物語はいったいどうなってしまうのだろう,とふと不安になって,とうとう禁断の「読本」に手を出してしまった。なのでここからは壮大なネタバレ話なので読書趣味の先輩諸兄姉はくれぐれもご注意を。
    で,どうやら三国志という物語には本当に色々なバージョンがあって北方三国志もそのひとつに過ぎない様だ。だからどこらへんで物語を終わりにするのかも作者の勝手らしい。
    でも,三国志的戦国時代後の中国(ニホンの山陰山陽地方の事ではありません)を統一して成った国「晋」の都合によって三国志正史というのはねつ造されているのが事実であって,そっち系?を読んでも面白くもなんともないらしい。面白いのは三国志演義と呼ばれる,それこそ大衆芸能?用のバージョンらしい。この北方三国志ももちろんその演義バージョンBaseで出来ている・・・らしい。
    らしい,ばかりで出来ているのが三国志という結論に,あと3巻も残っているのに行き着いてしまった。さてこの後どうするw。

  • 再読。 

    あぁ、張飛までもが…

  • 曹操、病によって死す。
    張飛、暗殺によって死す。

    英雄の死といえども、呆気ない。

    劉備と張飛は、亡き関羽の弔い合戦を目論んでおり、
    実行に移す直前だった。


    呉が嫌われるのは、多分に裏切りと暗殺という
    暗い一面を隠せなかったがゆえかもしれない。
    しかし、国家を維持していくためには、
    それぐらいの汚い手段は必要とされるとも思う。

    むしろ劉備軍の在り方に不安を覚えた。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    北方三国志の9巻、10巻を読んでいると徐々に呉のことが嫌いになってくる不思議な現象
    演義では関羽の死因となったことでただでさえ嫌われる呉が北方三国志では張飛の死因となっていることが原因だと思うけどね。
    北方三国志の私が読んできた三国志作品の中では一線を画するキャラクターだったな。もちろん従来のように粗暴な面もあるが、それ以上に時折見せる理性的で優しい面が強く印象に残っている。
    それに曹操も死んでしまったな。最後の方は色々と悩んでいたようだけど、最後は穏やかに死んでいったのが印象的だったな。

  • 曹操がついに死んだ。天下統一の夢半ばではありながら、ここまでの物語では圧倒的な覇王だった。曹操は病に倒れる以前から身体的な老いよりも、戦に対しての構え方や気持ちの変化などの精神的な老いを自らが最も敏感に感じ取っていた。そのためか、病に倒れてからもその状況を自身が最も素直に受け入れ、最期まで声が出る限り、伝えるべきことを伝えている姿が印象的だった。一方蜀では劉備と張飛が孫権討伐のため、激しい調練を重ねる。もはや孫権討伐は蜀の主としてや、戦略など関係なく、兄弟を殺されたことへの復讐の気持ちだけだ。張飛だけで孫権を討伐することを頑なに拒み、自身も共に敵を討つと言い張る劉備。国家の主としては無謀だが、これこそが劉備たるゆえんなのだと強く感じた。そして、待ちに待った出陣を目前にして、張飛が暗殺により死す。表向きは豪快だが、繊細な優しさを持つ姿が印象的に描かれてきた張飛らしい最期だった。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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