市民の日本語: NPOの可能性とコミュニケーション (ひつじ市民新書 1)

著者 :
  • ひつじ書房
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本棚登録 : 133
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894761667

感想・レビュー・書評

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  • 対話のための言葉の使い方。
    市民協働の古典の趣き。

  • 『コミュニティ・アーカイブをつくろう!』という本に参考文献として出ていたので図書館で借りる。
    日本では他者とコミュニケーションを行う場がほぼなく、自分の意見を言い合うことが少ない。それを問題として、いかに市民が自分たちの町づくりや活動において対話が重要か、また対話をどのように行うかを簡単に解説した入門の図書。
    町の条例作成など、なんでも他人事ではなく、自分事として他者と対話を行うことは、不毛な争いを避け、何かを決める際のヒントになると思う。図書館もそのような拠点として活動できるなぁ…。

  • 議論というと、口角泡を吹きとばしながら話し合うというニュアンスにとられてしまうけれども、この本の中にある議論は、ただただコミュニケーションとしての議論。
    おなじことばで話すために大切なことがいっぱいだった。

  • NPOなどでの活動を通じた実践的な経験をもとに、市民と社会、市民と政治との間にあるディスコミュニケーションをいかに変えていくことができるのかについて考えるための素材を提供している本。アカデミックな視点から論じた本というよりは、やわらかい語り口で、社会や政治と市民とがつながっていくためのコミュニケーションの問題や可能性について、問いを投げかけている文章である。

    初版が2002年ということで、当時に比べて、市民が地域の政策に関わる機会はかなり増えているし、本書で紹介されているワークショップ的な政策づくりの手法もさまざまな地域で行われるようになってきている。一方、そのような「かたち」ばかりの手法が蔓延し、形骸化している感があるのも事実だと思う。本来の目的であった、コミュニケーションのありようの見直しや変革が置き去りにさられたまま、いたずらに「ワークショップ」的な手法だけが用いられているような地方もあるように思う。
    そのような現状を踏まえて、本書で紹介されている事例を(ひとつの過去の実践例として)見直していくことは、個人的に意味のあることであった。

    2002年の時点で、このような問題が「市民の日本語」というタイトルで提示されていたというのも面白い。この本が発行されて10年以上がたったけれど、国語(日本語)教育やリテラシー教育の文脈のなかでは、いまだにこの問題意識がきちんととらえられていないのではないか、とも思う。
    まだまだなすべき課題は多い。

  • 個人・社会に対してのコミュニケーションに対して、経験を交えて実にわかりやすく述べている。
    ここで指摘されている課題の一つ、「世間が存在する」こと。
    質問ありますか?と聞いても、まず出てこない。「意見」というものは「つくる」もの。しかし「意見や質問をつくる場づくり」をやらないと意見が出来ない。「世間」の中で生きるには、意見を持ってはいけないということ。

    やっぱり、コミュニケーションは難しいものだと実感する。

  • (メモ)
    ●モラルや公徳心は、人との暮らしの中から生まれてくる。「ポイ捨てはやめましょう」ポスターのように、どこからか降ってくるお上の言葉として行政が号令をかけても、誰も聞かない、意識されない呪文のようになってしまう。そうではなくて、たとえば家族や恋人に注意されると響く。市民が暮らしの中から、人と人との関係の中から作り出していかなければならないもの。行政はそれを支援、促進するという立場が本来では。

    ●空き缶を拾うことは、自分の住む町を美しくするというまちづくりに関わる権利を行使すること。清掃活動への参加を義務づける、ポイ捨てを取り締まる、ということを考えるのではなく、そういった権利を行使し、自発的にまちづくりに関わる市民の行動を支える、励ますことが行政の役割では。

    ●ボランティアなど倫理的に見える行動には反発が多い。誰もが人間というのは損得抜きでは行動しない、と思っているから。街のため、みんなのため、と美しすぎる大義名分を掲げると、疑わしいぞと躊躇する心が生まれる。参加しない後ろめたさをごまかすために、参加している相手を必要以上に持ち上げたり崇めて、自分とは違うという言い訳がなされる。

    ●差別問題というのは、特定の人を指さして、こいつは!ということにあるのではなく、差別の対象となるような異質な人がそもそも社会には存在していないように行動することにある、排除の問題。自分の意識からそういう人の存在を排除しているから、差別が起きる。目の前の人がゲイかもしれない、エイズかもしれない、そういう意識がないからこそ平気でバカにする発言ができる。

  • 人には「辞書構造型」、「文脈物語型」、「雑誌点滅型」とタイプがあるらしい。
    自分はどのタイプに当てはまるかを考えつつ、話し合いの場に参加してみようと思う。

    ファシリテーターのあり方や、いろんな立場での話し合いへの参加について、もっと本を読んでみようと思う。

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著者プロフィール

早稲田大学名誉教授

「2023年 『プロセス講義 倒産法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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