- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784895000956
作品紹介・あらすじ
初の韓国・最高科学者の称号を受け、巨額の研究費を手にしていた黄禹錫。だが、クローン技術、ES細胞による難病治療が可能になるとした彼の論文は真っ赤な嘘だった!なぜ人々は国を挙げて彼に熱狂し、騙されたのか。
感想・レビュー・書評
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最近、日本でも似たようなことがあったなあ、と思いつつ。
舞台はどちらも再生医学周辺。マスコミや世間が大騒ぎをして、そのあと発表された論文に問題が見つかって、過誤からだんだん捏造に近づいていき、最後にはボロボロになって結局何もありませんでした、ということになる過程もよく似ている。ただ、小保方騒動にはまるで、あるいはほとんどなかった「愛国」の要素や、国民感情、政治がらみが黄禹錫の一件では大きな比重を占めていて、根が深い。どこの国の話だろうと、科学の世界で事実以外の要素が力を持つのは、本当に気持ち悪い。
黄禹錫にしろ小保方さんにしろ、当人がどう思っているのかよくわからない。いつかはバレる、と思わなかったのだろうか。それとも自分が本当に発見をしたと信じこんでいたのだろうか。 -
結局ナショナリズムてのは客観的判断を無くさせる
不必要だ -
確か4~5年前に読んだと思いますが、改めて読んでみて、やっぱり韓国という国は色々根本的におかしいと思った。ES細胞関連で画期的な発表をしたファン教授を英雄化し、教授を批判することを許さない空気を生み出した韓国メディア。世界中で発表に対する疑問が上がっていても、ノーベル賞受賞を疑っていなかった韓国国民。この本読んだ直後にiPS細胞のことを知った時は本当に感動しました。
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2010 4/12読了。図書館情報学図書館で借りて読んだ。
「ES細胞」論文捏造事件について、第1章では事件の経緯とマスコミの報道を詳細に追いながら黄教授を祭り上げ、ジャーナリズムとしての本懐をかき徒に国民を煽った韓国マスコミの問題を指摘。第2章では黄教授に限らず研究における不正の問題について広範に取り上げている。第3章では黄教授と政府機関の間の関係等を取り上げながら、韓国の科学技術政策における問題点を指摘している。
K. Popperの可謬主義を幾度にわたって引きながら反証できることの重要性を説いている点、研究成果が即座に臨床に活かせるわけではないのにすぐに適用できるかのような幻想を患者に抱かせること、さらにはその研究成果自体存在しないことの罪を強調していること等、著者のような
科学ジャーナリストの存在は貴重と感じられる。それだけに東亜日報を退職してこの本を書かれた、ということが心配。現在は大丈夫なのだろうか?
韓国の国民性の問題について指摘している部分も多い。実際この本を読むまでES細胞のねつ造論文が韓国国内でそこまで大きな問題になっていたとは知りもしなかったが(せいぜい、日本の「ゴッドハンド」藤村新一氏くらいのレベルかと思っていたが、熱狂的支持者による襲撃事件まで怒っていたとは・・・)、科学を報道する場合のマスコミの態度、あるいは科学に向き合う際に注意すべき点(実践者・受信者双方)としては韓国以外にも敷衍可能か。
それにしても研究ねつ造がドレフュス事件と並んで語られるとは・・・逆に日本でそこまで科学者・研究者が注目浴びる例ってどんなだろうな、と考えてしまわないでもない。