- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784895315937
作品紹介・あらすじ
カラスの魅力にとりつかれ、翻弄されて25年。
『カラス学のすすめ』の著者の果てしなきカラス研究!
日本屈指のカラス博士が、科学と感性の両面からカラスのおもしろさを語りつくす。
『カラス学のすすめ』で取り上げた、カラスの体についてさらに深く掘り下げ、その高い知能についても次々と明らかになっている最新の知見を紹介。「頭がよくて、いたずら者。そして、ちょっと困ったお隣さん」の体と心の不思議にせまる。
●“ブト”と“ボソ”は結構違う?
●硬い嘴は意外と敏感?
●嘴のパワーはどれくらい?
●視覚の長所と弱点は?
●味覚は発達してる?
●嘴毛(鼻毛)は加速度センサー?
●嗅覚が弱い理由とは?
●喜怒哀楽……心の感覚は?
●ストレスを感じたら?
●ずば抜けた知能の源は?
●どこまで賢い?
●1日の生活と1年の流れは?
●家族や群れで何してる?
●夫婦や親子の愛情は?
●どんな感染症にかかってる? etc.
カラスの気になる不思議について、裸眼、双眼鏡、顕微鏡、そして心眼などさまざまな視点で大解剖。
読めばもっとカラスが好きになる!
感想・レビュー・書評
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研究者はどんなことを考えながら観察や実験をしているのかを知ることができます。
大学・大学院生の論文(研究成果)を一般向けにかみ砕いて説明した部分も多く、もっと堅苦しく書けば学術書になる内容も満載です。
学術論文ではないので、確かではないが著者の推測や感じたことも綴られており楽しく読むことができました。
解剖学的な研究成果も踏まえ、ヒトとの対比も交えて、カラスの視覚、味覚、嗅覚、聴覚が説明されています。
特徴的な視点としては、嘴と嘴毛について詳しく調べられており、この部分も面白かった。
嘴の中には神経が張り巡らされていて、圧覚、振動、温度など、嘴からかなり繊細に刺激を感じ分けているそうです。
鳥にとっての嘴は、ヒトにとっての指みたいな役割も持っているのだから当然かと思っていたら、まさにそう書いてありました。
しかし、ゾウの鼻やヒトの指と同じようなものと考えてはいけないとも言っています。
視覚については、赤・緑・青・紫外線の4原色で識別しており(ヒトより)優れていそうです。
味覚については、歯がなく何でも丸のみすることから想像できるとおり敏感ではないそうです。
嗅覚も敏感ではなく、聴覚はヒトに若干劣る程度のようです。
カラスは頭がいいらしいということで、脳や心の研究もされていて、実験テーマにも面白いものが満載でした。
カラスは男性と女性の識別ができるか、とか、一度覚えた顔写真から同一人物か違う人かを見分けられるか、といったもの。
ヒトを識別する能力があるのは本当らしいです。
識別には色が重要な要素でもあるらしく、白黒にすると識別できなくなるそうです。
危害を加える危険人物とエサをくれる友好人物の識別はできているというのは確かだと思っていいようです。
数量の識別もできるようで、7個と8個といった微妙な違いが分かるのには驚きました。
本書のような解剖学的な研究成果を知った上で、カラスの行動学の本を読むと楽しさが倍増しそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
めちゃめちゃ面白かった!!!
カラス種は良いですねぇ、ほんとに興味が尽きない。最近行動学の本ばっかり読んでましたが、解剖形態学方向の話も楽しいです。嘴の測定値や後半の脳やストレスと学習の部分が個人的にとても楽しかった。
再読必至本です。