あかり

著者 :
  • 光村教育図書
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  • / ISBN・EAN: 9784895728812

感想・レビュー・書評

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  • 文  林木林
    絵  岡田千晶


    あたらしい ろうそくが いま、
    はじめて 火を つけてもらいました。

    、、、この、最初の絵、マッチ棒を持った手と、柔らかな ろうそくのあかりの絵が、優しくて、素敵です。次の、見開きページの絵も、素敵。岡田千晶さんの絵は、繊細で、優しく丁寧に描かれていきます。


    うまれて はじめて てらしたのは
    うまれて まもない あかちゃんと、
    しあわせそうに わらっている かぞく。

    オレンジいろの 小さな 火が、
    くらいへやを いっしょうけんめい あかるくします。

    「この ろうそくはね、
    この子の しあわせを ねがって
    わたしが つくったものなの。
    こころに やさしい あかりが
    ともりますようにって」
    おかあさんは そっと いいました。
    「とっても すてきに できたから、
    ずっと かざって おきたいけれど、
    たいせつな夜に また 火を つけましょう」

    つぎに 火を つけてもらったのは、
    あかちゃんの 一さいの たんじょうびでした。

    ろうそくは あかちゃんが わらうと うれしくなって、小さな 火を ゆらして ほほえむのでした。

    こうして なんど このへやを
    やさしい あかりで つつんだことでしょう。
    火を つけてもらうたび、
    女の子は だんだん せいちょうして
    大きくなっていきました。
    ろうそくは 火を もやすたび、
    すこしずつ すこしずつ
    小さくなっていきました。

    こんやは めずらしく、にわに つれだしてもらいました。

    うれしそうに みんなの かおを てらしていると、
    きゅうに かぜが ふいてきて 火が きえてしまったのです。

    あたりが まっくらになった そのとき、
    くもから 月が かおをだし、
    にわじゅうが あかるくなりました。
    みんなは うつくしい月を ながめて うっとりしています。

    ろうそくにも また 火が ともりました。
    けれど みのまわりしか てらせない じぶんが、
    とても ちっぽけに おもえてなりませんでした。


    、、、林木林さんの、美文につられて、全部 書き写しそうに、なりました。
    林木林さんは、詩人でもあるそうです。美しい文章に、うっとりします。

    ろうそくには、ろうそくの、思いがありますが、女の子の成長にしたがって、最初は 幸せな 時を 照らす 明かりだったのが、いつしか 辛い 時に
    寄り添うあかりになっていました。

    そして いつしか、ろうそくは 木箱にいれられたまま、長い間 棚の奥で すごしました。
    きっと 自分が ちっぽけで 役にたたなくなったから 忘れられたのだと 思い、悲しくなってきます。

    ふと きづくと、おばあさんの かおを てらしていました。
    「ずっと さがしていたのよ」
    おばあさんは ろうそくを しずかに みつめています。
    「あなたは わたしが うまれた日に
    はじめて 火を つけてもらったんですって。
    だから とっても おきにいりになったの。
    こわかった夜も、かなしかった夜も、
    あなたの あかりに まもられて、
    どんなに こころづよかった ことでしょう。
    くらやみを こんなに やさしく
    てらすことの できる あらりを、
    わたしは ほかに しらないわ。

    おひさまよりも、お月さまよりも、
    こころの いちばん おくまで そっと とどくのよ。」
    それを きいて ろうそくは うれしくなりました。

    「ほんとうに ありがとう」
    おばあさんが ほほえむと、
    小さな 炎の まわりに、
    きんいろの わが まるく かがやきました。
    「わたしの ともす 小さな あかりを
    だいじに おもってくれる ひとがいた。
    うまれてきて ほんとうに よかった」


    さいごの 火が いま、しずかに きえました。



    ☆ この絵本は、湊川晴斗さんの レビューを読んで、読みたい と思いました。素敵な絵本の紹介を、ありがとうございました。

    ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます!

     

    • りまのさん
      湊川晴斗さん
      うん。湊川さんの、アイコンの昔話人形、可愛らしいです ♡
      私が、一番使っている鉛筆は、ミツビシ Uni のHBです。
      絵を描...
      湊川晴斗さん
      うん。湊川さんの、アイコンの昔話人形、可愛らしいです ♡
      私が、一番使っている鉛筆は、ミツビシ Uni のHBです。
      絵を描く時は、2Bのチャコールペンシルなども、使います。でも、今 見たら、これら、そのちっちゃな鉛筆削りで、削ってました。今、部屋に無いのですが、沢山、色鉛筆を持っています。(実家にあるのです)それらは、芯を長く出して、ナイフで、削っていました。色鉛筆の発色は、私の持っている中では、米国製べロール イーグル カラーのアート スティックスが、一番良いのですが、もう製造されていません。今は、国産の色鉛筆も、発色良さそうですね。
      2021/09/26
    • りまのさん
      湊川晴斗さん
      お母様に初めて買ってもらった、シャープペンシルを、大事にされている、湊川さん、とても素敵です!
      処分する時に、感謝の気持ちと共...
      湊川晴斗さん
      お母様に初めて買ってもらった、シャープペンシルを、大事にされている、湊川さん、とても素敵です!
      処分する時に、感謝の気持ちと共に、捨てるのも、素敵です。私も、真似します。
      2021/09/26
    • りまのさん
      湊川晴斗さん
      私、今まで、うたた寝していました。空を眺めたら、雲でいっぱいでした。残念です。せっかく教えてくださったのに……。
      私 絵の描き...
      湊川晴斗さん
      私、今まで、うたた寝していました。空を眺めたら、雲でいっぱいでした。残念です。せっかく教えてくださったのに……。
      私 絵の描き方は、自己流なのです。描く数も、多くないです。鉛筆画は、消しゴムで消せるから、好きなのです。全然すごくないですよー。
      2021/09/26
  • 最後までネタバレでストーリーを書いていますので、これから読まれる方はお気をつけください。


    ろうそくが
    うまれてはじめて てらしたのは
    うまれてまもない あかちゃんと
    しあわせそうにわらっているかぞく

    そして あかりは あらしの夜
    とうだいのあかりになれたらとおもいます。

    ひとあしはやく こがらしがやってきた夜
    かぞくはあかりにつつまれて
    あたたまります

    くらやみが こわい夜
    すきな ひとが できたとき
    いきるってなんだろうと かんがえたとき
    小さな炎は いっしょに なやんだり
    まよったりしながら
    よりそってくれたのです

    女の子は おとなになり
    いえからでていくとき、
    ふるいきばこにはいった
    小さくなった ろうそくを そっとかばんにいれました。

    それからも ろうそくは
    あたらしいかぞくをてらし、
    女の子はとしをとって、
    ろうそくは小さくなりました。

    もうどこにいるかも わすれそうになった ある日。
    ふときづくと おばあさんのかおをてらしていました。

    「あなたはわたしがうまれた日に
    はじめて 火をつけてもらったんですって、
    だから とっても おきにいりになったの」

    「くらやみを こんなに やさしく
    てらすことの できる あかりを
    わたしはほかに しらないわ。
    おひさまよりも、お月さまよりも
    こころの いちばんおくまでそっと とどくの」

    「ほんとうに ありがとう」

    「わたしの ともす 小さな あかりを
    だいじに おもってくれる ひとがいた。
    うまれてきて ほんとうに よかった」




    私もそろそろ、人生の晩年にさしかかっていると思うので(自分の寿命はわかりませんが)、あかりの気持ちはよくわかります。
    「わたしの ともす 小さな あかりを
    だいじに おもってくれる ひとがいた
    うまれてきて ほんとうに よかった」
    こんな風に、最期の時を迎えられたら素敵ですね。

    • hiromida2さん
      まことさん、こんばんは〜⁎ˇ◡ˇ⁎

      素敵なレビューだなぁ…と、読んでいたら
      bmakiさんの飄々としたコメントに(^.^)笑
      しかし、確か...
      まことさん、こんばんは〜⁎ˇ◡ˇ⁎

      素敵なレビューだなぁ…と、読んでいたら
      bmakiさんの飄々としたコメントに(^.^)笑
      しかし、確かに…私も勝手なイメージで永遠の
      20代のイメージが…(。◠‿◠。)
      最初から男性だとは思っていませんでしたが(^^;;笑
      優しいふんわり包んでくれるイメージが若さ
      を感じる
      でも…時に強くしっかりされた一面に驚きが!
      いずれにせよ、歳なんて番号みたいなものだから…
      勝手にイメージの中で生きればいいんですよ
      (*´꒳`*)
      と.私は思ってる!
      でも、晩年というまことさんの例えには、
      え⁉︎ 何を言う〜!と思いましたけどね。
      2022/10/28
    • まことさん
      hiromida2さん。こんばんは♪

      そんな~
      hiromida2さん。こんばんは♪

      そんな~
      2022/10/28
    • まことさん
      hiromida2さん♪

      投稿が、切れていました。
      もう1回書きます。

      永遠の20代のわけないじゃないですか?
      それは、若くして亡くなっ...
      hiromida2さん♪

      投稿が、切れていました。
      もう1回書きます。

      永遠の20代のわけないじゃないですか?
      それは、若くして亡くなった方だけですよ。
      太宰治が、若い頃「晩年」を書いたなんて、書きましたが、レビューの流れで、そんな風に書いてみたくなったんです。
      でも、人生の、最後の三分の一くらいが、晩年だとしたら、そろそろかな。
      いや、まだ、しぶとく生きるかも。
      「歳なんて番号みたいなもの」とは、いい言葉ですね(*^^*)。
      2022/10/28
  • 地区センターにて。

    ろうそくに初めて火が灯されたのは赤ちゃんが生まれた日。
    次は1歳の誕生日。
    そのろうそくは女の子の成長とともに優しく温かな火を灯します。

    時が経ち、女の子は結婚し、子供を産み、電気が灯る新しい家へと。
    時を同じく木箱に入れられたままとなったローソク。

    いまどこにいるかも忘れそうになったある日、木箱の中に光が差し込みます。

    少女はお婆さんになっていましたが、「ずっとさがしていたのよ」と言って人生をともにしてきたローソクに火を灯します。

    まさに少女の人生に寄り添ってきた優しく温かな「あかり」の物語。


    本の概要

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    林/木林
    山口県に生まれる。詩人、絵本作家、作詞家。言葉遊びも数多く手がける。「詩のボクシング」全国大会で優勝

    岡田/千晶
    大阪府に生まれる。ボローニャ国際絵本原画展2010入選。子どもの世界の繊細な表情をていねいに描く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  •  女の子が生まれた日に、この先の人生の幸福を願って、灯されたろうそくの“あかり”…女の子にとって大切な時にその後もろうそくの“あかり”を灯した…。女の子がさみしいときも、心細いときにも、嬉しいときも、楽しいときも…。女の子は成長するが、ろうそくは小さくなって…。

     いつもいつも女の子のこころにはろうそくの、やさしいあたたかい“あかり”があったんだと感じました。だから最期の時も…。じんわり心にしみ込むようなストーリーで、絵もすごくいいです。素敵な作品との出逢いに感謝です。

  • 図書館で表紙に惹かれて借りてきたら、多くのブグ友さんたちが読んでおられる絵本だったようで嬉しかった。
    やさしくてあたたかい絵も、静かに語られる文もよかった。

    なんて素敵な贈りものなんだろう。
    うまれた女の子の幸せを願って母が作ったろうそく。
    大切な夜にだけ火をつける。その度にやさしいあかりに包まれる。
    女の子はだんだん成長して大きくなり、ろうそくは少しずつ小さくなっていく。
    最初は幸せなときを照らすあかりだったのが、いつしか辛いときに寄り添うあかりになっていき…。
    その後も大人になってからも特別な日には火をつけられるろうそく。
    そして、最後の火が消えるとき。かつて女の子だったおばあさんが、ろうそくのあかりに語る言葉が心に沁みる。

    あたたかく見守ってくれる、寄り添ってくれる人やものへの感謝の気持ちを忘れずにいたいなと思った。
    もう少し歳を重ねたらまた読みたい。

    • かなさん
      ひろさん、こんばんは!
      この作品私も一目見て読みたいと思って、
      次の瞬間にはもう読んでました(^-^;

      ステキな作品ですよね!
      ...
      ひろさん、こんばんは!
      この作品私も一目見て読みたいと思って、
      次の瞬間にはもう読んでました(^-^;

      ステキな作品ですよね!
      ろうそくのあかりが、とってもあったかくて
      それでいて、儚さも感じさせる…
      私もまた読みたいと思う作品です(*^^*)
      2023/08/01
    • ひろさん
      かなさん、こんばんは!
      ほんと、ステキな作品ですよねっ✩.*˚
      あったかくて、儚さもあって…
      歳を重ねてから読んだらまた感想も変わってくるか...
      かなさん、こんばんは!
      ほんと、ステキな作品ですよねっ✩.*˚
      あったかくて、儚さもあって…
      歳を重ねてから読んだらまた感想も変わってくるかもしれませんね。
      それにしても、かなさんの本棚、素敵な表紙の本でいっぱいです~(◍>ᴗ<◍)
      2023/08/01
  • あるひとりの女の子と、そのお母さんの作った、ろうそくの人生を、過ぎ行く年月とともに、見事に照らし合わせながら展開される物語は、恋人とも友達とも違うが、それでもお互いに必要としてきた、かけがえのないものを感じ、大人の為の絵本にも思えてきます。

    『こころに やさしい あかりが ともりますように』

    お母さんが娘さんの為に、ろうそくを作ったその思い。それは、娘さんにしっかり届いていると感じました。

    それは、きっと、ろうそく自身の、

    『いっしょうけんめい あかるくします』

    『あかちゃんが わらうと うれしくなって、小さな 火を ゆらして ほほえむのでした』

    『だいじょうぶよ。わたしが ついているから、こわくないわ』

    といった気持ちが伝わり、たとえ、ろうそく自身の火は小さくとも、それが娘さんには、やさしく、やわらかなあかりに感じられ、嬉しいときも辛いときも寄り添ってくれた、特別な存在へとなっていったのだと思います。

    また、岡田千晶さんの、繊細で温かい絵柄も印象的で、やはり、ろうそくのあかりの描写には、特別な思いを感じられ、見ている私も温かくなるような、やさしさの輝きを充分に感じられたからこそ、最後のろうそくの美しさが、より際立った気がしました。

  • 挿絵も文章も控えめで派手な展開はないのに、心にじんわりと染みてくる作品というのは確かにあるものだ。
    読んだあとからも、じっくりかみしめてしまう一冊。
    タイトル通り「あかり」のように、胸の奥を照らしてくれる。

    子どもの誕生を祈って、母親が手作りしたろうそく。
    はじめは生まれたての赤ちゃんを照らし、その次は一歳の誕生日。
    ずっと飾っておきたいけれど、大切な夜につけることにしたのだ。
    少しずつ成長していく女の子。
    少しずつ小さくなっていくろうそく。
    初めは幸せな夜を照らすものだったのが、だんだん辛い時に寄り添うあかりになっていく。
    そして女の子が家を出て行く時が来る。
    ろうそくが最後に照らし出したものは・・

    色鉛筆とパステルで丹念に描かれた絵は、それだけでも説得力があり、光だけでなく闇もひとを育むのだと教えてくれるよう。
    愛情(愛、ではない)というものを、静かに静かに語るろうそくの姿。
    まるで、親の、子に注ぐ愛情を見るかのようだ。
    一度は忘れられて片隅に追いやられ、再び探し求めて喜び合う場面では、じわぁっと胸が熱くなる。

    ひとりの女の子の人生を、そっと照らし出すろうそく。
    優しく暖かいそのあかりが、いつまでも胸に残る。
    人生の大事な一場面で、このお話の中のあかりのようなものが、きっとひとを突き動かしていくのだろう。

    約12分。高学年以上。大人にもぜひ。

  • もしも、女の子が生まれたら、名前があかりだったら、プレゼントしたいなと思う一冊。とってもとっても大切な「あかり」の話。描き方が柔らかくて、温かい。とっても大好きです。

  • 新しいろうそくが、初めて灯されて照らしたのは、生まれて間もない女の子。それから、誕生日に、心細い時に、悩んだ時に、ろうそくは灯されて、女の子の成長を見守り続けるのでした。電気が普及した時代でも、ろうそくの灯りの温かさには心が癒されますよね。それをそのまま映し取ったような絵本です。

  • こころに染み入りました。時の流れ、生まれて死ぬ。ろうそくの炎のやわらかさに無償の愛を感じます。

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著者プロフィール

詩人、絵本作家、作詞家、翻訳家。言葉遊びの分野でも活躍中。
詩集に『植星鉢』(土曜美術社)、絵本に『おおきなけやき』(鈴木出版)、
『ひだまり』(光村教育図書/産経児童出版文化賞産経新聞社賞)、
『みどりのほし』(童心社/児童ペン賞絵本賞)、
翻訳絵本に『でんごんでーす』(講談社)などがある。

「2022年 『まるがいいっ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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