中二階のある家: ある画家の物語

著者 : アントン・P.チェーホフ 工藤正広

• 未知谷 (2004年4月1日発売)

作品紹介・あらすじ

人生はこの一瞬に…画家と富裕地主の娘と夢のような恋-過酷な農奴解放の時代に永遠の乙女像を描いた優雅で魅力的な短篇。

感想・レビュー・書評

[Pipo＠ひねもす縁側さんの感想 · 2012年8月3日]

短編の名手として名高いチェーホフですが、その中でもロマンチックなお話。

農奴解放運動時代を舞台に、ある地方の邸宅に住む姉妹と、通りすがりの画家が過ごしたごくごく短い期間の出来事を描きます。時代を反映してか、姉のキャラクター造形は世の中の動きに目を向け、とても行動的。そのアンチテーゼとしてか、妹はそれはそれははかなく、夢のように描かれています。話の流れは現代人なら「もう少し何かあるでしょ?」と思いますが（笑）、チェーホフの時代ならこれでOKでしょう。

加えてマイ・ミトゥーリチの表紙と挿絵が素晴らしく、この話のロマンチックな透明感を伝えています。表紙のブルー系の濃淡の美しさはもちろんのこと、本編内のモノクロ挿絵数点も楽しめます。

小説と挿絵の組み合わせの美しさが見事ですが、本編がなにぶん短いので、もう少し楽しみたかった私としては☆ひとつ引いてこの評価とします。

[記録のため、Amazon.co.jpにアップしたレビューをこちらにもアップし、少し書き直しました]

[adlibさんの感想 · 2024年1月22日]

　
──　チェーホフ／工藤 正広・訳《中二階のある家
～ ある画家の物語 20040401 未知谷》没後100周年記念出版
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4896421000
　
（20240122）