お伽草紙(そうし)

著者 :
  • 未知谷
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本棚登録 : 46
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896421880

感想・レビュー・書評

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  • 読了。
    読書倶楽部の課題図書。

    むかし話の太宰的解釈。

    以前NHKの『100分で名著』の太宰の回で紹介されてて、気になっていた作品。

    やっぱり“カチカチ山”の狸が最も憐れ。
    何もそこまでやらなくても……というほどの目に遭っていく。

    これほど残忍なことができるのは16歳の処女っていう太宰の思い込みもヤベェけど、笑っちゃう。

    “浦島さん”の亀の饒舌さ、毒舌さにも閉口させられる。そして浦島太郎が竜宮城から帰ってきて玉手箱開けて歳とるって結末は、子供の頃から納得いかなかったんだよなぁ。

    亀助けて、そのお礼のはずじゃ?
    まんが日本むかし話では、また違う結末だったような気がするんだけど。クラゲが出てこなかった?どうだったかな。

    まぁ、おもしろかったです。

    『100分で名著』録画してたので改めて観たんだけど、又吉直樹の語彙力の豊富さに感嘆。本を大量に読んでるからだよね、きっと。
    (160522)

  • 瘤取り、浦島さん、カチカチ山、舌切り雀といった昔話を太宰治流に翻案したパロディーお伽話。昔話には善玉・悪玉のはっきりした勧善懲悪ものが多いけれど、太宰は全く別個の物語(解釈)を展開する。カチカチ山の狸は女に惚れた弱みをさらけだす男、ウサギはその男をもてあそぶ処女・・といったように、話しはすべて太宰流の現実社会の認識論に還元されたりする。勧善懲悪のお伽話の中身も視点を変えればどちらが善玉なのか悪玉なのか一概には判断できないというアイロニー、現実の奥深い不可解さが表出して面白い。太宰のテンポのよい文章には酔えます。

著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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