- Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896423440
作品紹介・あらすじ
1939年のポーランド・ワルシャワ、六歳の少女ヘレナが目にしたものは?
感想・レビュー・書評
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1939年から1945年まで続いた第二次世界大戦。
その間ナチス・ドイツは、ヨーロッパに住んでいるあらゆるユダヤ人の絶滅を決行した。
しかしそれに屈しなかった勇敢なひともいて、日本人では杉原千畝が有名だ。
この本の主人公である「ヘレナ」の両親もそうだった。
ポーランド人である6歳の少女「ヘレナ」の目を通して描かれているこの作品は、声高に戦争反対など唱えないがその分悲惨さにあふれている。
それまで親しくしていた人や慕っていた大人たちが、じょじょに、確実に「ゲットー」に放り込まれていく。
「ヘレナ」のモデルとなった「イリナ・モリソン」は、亡き両親の代わりに「世界の諸国民の中の正義の人】メダルを、イスラエルのホロコースト記念館から受賞している。
両親はどのようにしてユダヤ人たちを救い、命をかけてかくまったか。
6歳の少女の素晴らしい記憶力に感嘆しながらあっという間に読み終えることが出来る。
タイトルになっている「ブリギーダの猫」は、友だちだったユダヤ人の少女「ブリギーダ」が可愛がっていた猫のこと。
話の中ではひとの言葉を話し、「ヘレナ」と心を通わせている。 -
第二次世界大戦時のポーランドを舞台にした物語。
レジスタンスまでいかないけど反ナチな親をもつポーランド人少女が主人公。
だからホロコーストを扱ってはいるけれど間接的で、主人公に「罪」を負わせなくてすむ。
主人公のモデルになった女性の父は、幼い娘にゲットーを見せて、記憶にとどめさせようとしたらしい。
著者は子供に残酷な出来事を伝えるべきなのか迷いながらこの本を書いたという。
その迷いが、加害者でも被害者でもない罪なき目撃者を主人公に設定した理由の一つでもあるんじゃないかと思う。
悪く言うと、書きやすいところに逃げてしまう思い切りの悪さが感じられる。
良く言えば、恐ろしい出来事で読者を脅すことなく、子どもの生活を書いたお話になっている。
タイトルは主人公が父の工場に勤めるユダヤ青年から預かった猫の名前。
「ブリギーダの猫」という呼び名は正確に言えば名前じゃない。
青年の妹、ブリギーダが飼っていたからそう呼んでいる。
猫と少女は会話が出来る。その点はファンタジーだけどストーリーはファンタジーじゃない。
猫は主人公を好きだけど、自分はブリギーダの猫であるというアイデンティティを持っている。
そこは侵せないから、主人公が猫に名前をつけることはない。
ポーランド人である主人公一家がフォルクリストを拒むのと同じ、尊厳の問題。 -
ブリギーダの猫はブリギーダの猫以外の何者でもない。
主人公のモデルがいるようだが、もし私が主人公の親だった時、このような行動ができるだろうか。 -
第二次大戦の開戦とともに近しく生活していたユダヤ人たちが一人、また一人とゲットーと呼ばれる川向こうへ去って行くのをなす術無く見送る少女ヘレナ。あくまで少女の感性を反照する柔らかな筆致で周囲の大人たちの次第に硬化していく振る舞いが炙り出されながら戦時のポーランドの暮らしが静かに鋭く描出されている。底冷えする童話のような読後感に改めてひしと歴史を思う。
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読まなくても良かった。「少女ヘレナが目にしたものは?」なんにでも、
答えが、というかヒントでさえ、きちんと記述されているとは限らない。
それは、果てしない想像力で包囲して捉えないといけない。きびしい。
乳母がちょっと極悪。