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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784896424584
作品紹介・あらすじ
アメリカとロシア二つの文化の狭間に身を置いた亡命者のノスタルジアが、極度に政治化された20世紀末、イデオロギーを潜り抜け、食という人間の本音の視点から綴らせた-実践レシピ付料理エッセイ。機智に溢れた文明批評の45章。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
食を通じて文化やアイデンティティを探求するエッセイ集で、亡命したロシア人の視点から描かれる独特な世界観が魅力です。料理レシピを交えながら、ロシアの食文化とアメリカ社会を鋭く切り取る内容は、ただの料理本...
感想・レビュー・書評
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ボルシチの作り方を知りたくてロシア料理の本を探していたら、アマゾンがこの本を推薦してくれた。30秒ほど表紙を見つめた後、「カートに入れる」をクリックした。そんなわけで、この世紀の奇書が今、私の手元にある。
まずタイトルが凄い。亡命ロシア料理ーーこの破壊的なセンス。いったい誰が、誰に向けて、何を訴えたくて書いた本なのか、まるで見当がつかない。新書のタイトルだったら一発でボツだろう。
この本は、旧ソ連から米国に亡命した2人のロシア人によって書かれたものだ。ロシア料理についてのレシピ付きエッセイ集だが、料理にとどまらず、広義の文化論ともいうべき内容になっている。
本書がそこらの軟弱な本と異なるのは、自分たちに対する生ぬるい親近感を断固として拒絶しているところにある。試しに冒頭の一文を引いてみよう。「日本語版への序文」の書き出しはこうである。
“ロシア料理には、日本料理との共通点はまったくない。”
シベリアの永久凍土のようなクールさだ。普通、そこは社交辞令として、強引にでも何らかの接点を見いだす所じゃないだろうか。にべもないとはこのことだ。相互理解など不可能かもしれないという予感は、第2章の一文を読んだ時、確信に変わった。
“お茶はウォッカじゃない、たくさんは飲めない”
むろん当人たちはいたって真面目なのである。終始こんな調子で暴走トークが続く。
“民主主義と同様、仔牛の肉は少々軟弱だ”
“国際主義の理想がわれらの祖国で実現したのは、料理の分野だけだった”
各方面をdisりつつも、英国人や現代日本人とは違い、不毛な冷笑主義には陥らないのがロシア人だ。食にかける彼らの思いは、おそらく地上のどの民族よりも熱い。平凡なキッチンも彼らにかかれば、たちどころに魂のブートキャンプと化す。
“いい料理とは、不定形の自然力に対する体系の闘いである。おたま(必ず木製でなければならない!)を持って鍋の前に立つとき、自分が世界の無秩序と闘う兵士の一人だという考えに熱くなれ。料理とはある意味では最前線なのだ…”
「冷凍作りおきでラクしてほめられご飯☆」とか言ってる場合じゃない。生半可なレシピ本では満足できない硬派な貴方へ、自信を持って本書をお薦めします。 -
アメリカに亡命したロシア人の書いた、ロシア料理にまつわるエッセイ。若干アメリカのことをディスってる。
最初の、ロシア料理には壺を買いなさい、という話から面白かった。
ロシアではきゅうりはピクルスとして親しまれているらしい。日本では夏野菜のイメージなのでロシアで育てられているのが意外。ロシアのきゅうり畑って広大なんだろうな。
以下メモ
・アメリカでは魚は普通、綿の塊のようなものだと思われている。それをパン粉にまぶして揚げるのだが、それを見ていると胸やけが起こり、ハンバーガー以外のあらゆる食べ物が嫌でたまらなくなる。
・哀れな騎士(料理名)
パンの厚切りを生クリームにつけて柔らかくし、グラニュー糖を振り、フライパンを使ってバターでクルトンみたいにこんがりときつね色に焼く。これを食べて瘦せることはない。そのうえパンをたくさん食べることは身体に悪いそうだ。しかし、そもそも人生とは有害なものなのだ。なにしろ人生はいつでも死に通じているのだから。
・本当の食欲は、料理に対して作り手として興味を持つことからだ。
・ロシア人とフランス人はいったいどこが違うのか。
答えは簡単。フランス人はカエルを食べる。だからロシア人の方が明らかに優れているのだ。
・にせうさぎ(料理名)
名前から、栄えある肉製品に分類されていることまで、すべてが偽物。
肉入りプディング(ミートローフ的な?)
・アメリカのパンほどまずいものはない。ロシアではパンは愛されてきた。アメリカ人には穀物など惜しくないのだ。なぜならダイエットに必死でカロリーの高い穀物は憎しみの対象なのだ。
アメリカ人の作る、あの綿のようにふわふわした代物。いったいどうしたらあんなものができるのだろうか。それはアメリカ人がパンを憎んでいるからとしか説明がつかない。 -
まず「亡命ロシア」の意味がわかっていなかった。谷崎潤一郎の「細雪」に出でくるキリレンコさんみたいな人たちを予想していたら、違った。キリレンコさんたちのように、ロシア革命直後のロシアから西側への亡命者は「第一の波」。「第二の波」は第二次世界大戦時の亡命者、この本の著者を含む1970年代以降の亡命者の波は「第三の波」と言うそうだ。(35ページ)
考えてみれば、第二の波も第三の波もユダヤ系の人たちだ。だから、この本は「1970年代以降にソ連からアメリカに移住したユダヤ系ロシア人料理」ってことになる。この『ユダヤ系』という部分を迂闊にも予想していなかったから、驚いちゃった。著者の2人はロシア語使用者だし、アメリカ移住後もロシア語のメディアに文章を載せ続けていたようだし、ロシアの文学作品への言及や引用も多いし、ロシアについて語っているんだけど。東欧・ロシアでのユダヤ系の人たちの存在感がいかに大きいかをしみじみ感じた。
料理の紹介は一編が短め。言葉遊びの連続。ソ連やアメリカに対して、ピリッとスパイスの効いたコメントが豊富。料理の材料や調理方法の描写も妙に細かく念入りで、美味しそうなんだけど、その凝り具合がなんか笑える。
こういうユーモアって、1970年代から90年代のアメリカ文化の中ではお馴染みだったような。文学や映画の中で。ロシアについて知りたくて、手に取った本だけど、ユダヤ人についてもっと知りたくなった。訳者あとがき、面白かったし。あ、でも、ボルシチやピロシキだけじゃないロシア料理をあれこれ食べてみたい気持ちになりました。 -
亡命×ロシア×料理。面白い組み合わせ!
ぶくろぐで見かけた奇妙なギャップのある題名に惹かれて読んでみる。
米国へ亡命したロシアの文学料理人が、ロシア料理にあるときは故郷への想いをのせて、あるときはジャンクフードへの怒りをこめてつづるエッセイ。
ロシアって僕にとっては思想的にも文化的にも近そうで実は最も遠い国ではないか?
ものすごい手間をかけて作る想像もつかないレシピ。魚は川魚が主流だということも改めて納得ですが、実にエキゾチックというかカルチャー・ショックな料理の数々。並みのSFなんかよりもよほど異世界感を感じます。
本物のボルシチ食べたい。北海道にいるうちにサハリンに行ってみよう。 -
アメリカへ移住した食いしんぼうなユダヤ系ロシア人文芸批評家コンビによる、ロシア料理を啓蒙し、アメリカ人の健康志向を茶化しまくる小気味良いエッセイ。
タイトルと表紙の印象で真面目な内容なのかと思っていたら、軽口だらけのコラムを集めた楽しい本だった。
80年代のダイエットブームが吹き荒れるアメリカで書かれ、著者たちはそれがいかに愚かかと何度も腐しまくる。そんなふうに舌鋒鋭いなかにも、「神聖なものを何も持たない人々のことなど、相手にする意味がいったいあるだろうか」とロシア料理への郷愁を擁護したり、「料理というのは才能よりも熱意を必要とするユニークな芸術だ」という気の利いた言い回しがあったりする。
レシピは実用的というよりも、同胞には故郷の味を思い起こさせ、それ以外には未知の味わいへ挑発的に誘うかのように書かれている。ロシアでクレソンがよく使われるというのは中国料理との関連を感じたし、チーズを使う料理が少ないのは全部スメタナ(サワークリーム)が代用しているのではと思ったり。ロシアは「川の国」だという分類学も面白かった(著者たちが祖国でシーフードを食べなかったのはユダヤの戒律のせいらしいけど)。伝統の味を称揚しながら、その味を守ってきた主婦たちへの敬意が感じられず、ジェンダーロールから抜けだしていこうとする女性を安直な揶揄でおちょくっているのは残念だけど。
そして大事なのは、ひたすら保守的に故郷の味を懐かしむだけではないということだ。最後には大食漢の詩が朗々と歌い上げられ、「そしてきっといつの日か、全能の美食家の指揮の下/整列し行進するのは、ハリコフのステーキ、アボカドの白い果汁/マサチューセッツ・ボルシチ、そしてアストラハンのバナナ/僕たちが心待ちにしているのは、こんな楽しいパレードだ」と締められる。〈亡命ロシア料理〉とは、アメリカだからこそ実現する新しい食文化の名前だったのだ。 -
なんの役にもたたないグルメ本。故郷を捨てた人間であれば著者の皮肉がよくわかると思う。
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にんにく文化がある地域は平和。なぜなら料理が美味しいから!!
っていう盛大な話とかがあったりするんだけど、とにかく食へのこだわりと食文化の崇高さを感じさせる本。
超面白い。おすすめ。ご飯好きなひとは特に。そしてロシア料理を始め欧州、中央アジア系の好きな人はマストで。
とりあえず食べる順番とか、食材への敬意を払うことから始めようと思う。お腹空いちゃったじゃーーん!!
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いずれ読みたいと思っていたら、全て察した顔の夫に、「買ったけど読む?」と聞かれた。
ああ好きさ!こういうの好きさ!
文化と歴史をぐつぐつ煮込んで、皮肉を混ぜ込み、悲哀もそっと添えて完成。
美味しゅうございました。 -
食
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料理の正解が分からなくなっているので、このメニューはこうでなくちゃと確固とした正解を自分の中に持っているのはかっこいい。頑固でふっくらした、肝っ玉母ちゃんのイメージで読んでたけど、著者は男性なのね。
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すごい面白かった。
40ぐらいのロシア料理のレシピや薀蓄が書いてあるんだけど、
「お茶はウォッカじゃない、たくさんは飲めない」
「民主主義と同様、仔牛の肉は少々軟弱だ」
とかソ連ギャグをちょいちょいはさんでくるし、ボルシチやビーフストロガノフの材料も全部5人前50皿分だ(笑)。
著者は70年代にラトヴィアからアメリカに亡命した二人組みの文筆家だが、ハンバーガーやダイエットとかのアメリカの文物のこき下ろしっぷりも気持ちいい。亡命者の愛国心には特有も悲哀がある。旧ソ連がどんなだったとしても、文化の多様性が失われるのは悲しいことだ。 -
前から読みたかった本でした。訳が非常にいいですね。きっと原文の軽妙なイメージを再現しているんだと思います。ソ連からアメリカに亡命したことで得た視点の広さで故郷も亡命先も他の国も平等に揶揄していく姿勢が面白い。
でも根本的に料理と食べることが好きな人が書いた文章なのが伝わってきます。一章あたりが短めなのも嬉しい。 -
自分の知識&想像力不足で、レシピを解説されてもあんまりどんな料理か想像できなかった…
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とても…ある国をこき下ろしてますね〜
なんか変な中毒性がある本でしたね! -
亡命ロシアとロシア料理。
何ともいえないテイスト、おもしろい。 -
亡命というが、特段政治的に迫害されたということもなく、単に、「ソ連」を捨てて出てきた人たちのようだ。
著者達の属性が後書きまでいかないとわからないので、ちょっとどう呼んでいいのかわからない気持ち悪さがあった。
母国と、米国への、皮肉や郷愁などが、軽いんじで述べれられていて、良い。レシピの紹介もあるのだが、あんまり美味しさが伝わってこないのが残念だった。
まあ、読み飛ばすには悪くない。 -
ロシアの人って、こんなに理屈っぽいのかしら???
読み進めるうちに、思わず苦笑いしてしまうそんな本です。
そして、ボルシチが食べたくなりました。 -
レシピよりも西側諸国へのトゲのあるコメントが面白い。
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レシピが昔風で、手が込んでいる。
今の日本でこのとおりに作るのは、材料入手も含めて、難しそう。もう少し簡単そうな、日本人の料理研究家
が書いた本を読んだ方がいいかも。 -
アメリカに亡命しているロシア人が母国とアメリカへの愛と憎しみをスパイスにロシア料理を紹介。
そのさじ加減が絶妙でクスリとさせられる。
翻訳者の沼野充義は知っていたけど、自分では決して見つけられない本。持つべきものは書店員の友人。
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感想 :

コメントありがとうございます!
決して万人に薦められるタイプの書籍ではありませんが、ツボにハマる...
コメントありがとうございます!
決して万人に薦められるタイプの書籍ではありませんが、ツボにハマる人はハマること請け合いです。
ロシア人とは戦争しちゃいかん、としみじみ思います。ウォッカを水のように飲む人たちですからね(笑)
佐藤さんのレビューに誘われて購入しちゃいました!とっても楽しい〜
今噴き出しながら読んでます(笑)
こ...
佐藤さんのレビューに誘われて購入しちゃいました!とっても楽しい〜
今噴き出しながら読んでます(笑)
この本と出会えて良かったです。ありがとうございました♪
コメントありがとうございますm(_ _)m
うふふ、お仲間が増えて私もうれしい~
カルチャーショックを楽し...
コメントありがとうございますm(_ _)m
うふふ、お仲間が増えて私もうれしい~
カルチャーショックを楽しんでくださいね!
(^o^)/