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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784896424775
ふみ子さんの感想
2024年10月10日
素晴らしく見事な描写力。 ネミロフスキーには外れが無い。 うねるような波打つような、決して平坦ではない人生を鬼気迫る巧みな表現力で描かれている。 人生には恐らく正解は無いのかもしれない。 人生にしがみついて野心的なベンと護られてきたハリー。 アダは情熱的だけどどこかふわふわしていて、読んでいて危なっかしくて仕方が無かった。 ネミロフスキーの文章はたまに摂取したくなる。 凄くくせになるし、欲しくなる。 温かくて甘いだけじゃない。 辛酸を舐めて、苦い幸福にも触れられる。
1903-1942年。キエフ生まれ。ロシア革命後に一家でフランスに移住したユダヤ人。1929年、長篇第一作『ダヴィッド・ゴルデル』で成功を収め(31年J・デュヴィヴィエ監督が映画化)、一躍人気作家に。第二次大戦が勃発すると、夫と娘二人とともにブルゴーニュ地方の田舎町イシー=レヴェックに避難、やがてフランス憲兵によって捕えられ、42年アウシュヴィッツで亡くなった。娘が形見として保管していたトランクには、小さな文字でびっしりと書き込まれた著者のノートが長い間眠っていた。命がけで書き綴られたこの原稿が60年以上の時を経て奇跡的に世に出るや、たちまち話題を集め、本書は「20世紀フランス文学の最も優れた作品の一つ」と讃えられて2004年にルノードー賞を受賞(死後授賞は創設以来初めて)。フランスで70万部、全米で100万部、世界で約350万部の驚異的な売上げを記録し(現在40カ国以上で翻訳刊行)、映画化された。 「2020年 『フランス組曲[新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」