- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896425222
作品紹介・あらすじ
大戦に向かって閉ざされていく、20世紀ヨーロッパ。その中で明かされる人々の呻き、嘆き、叫び。ぶつかり合い、すれ違う愛と憎しみ。荒涼の時代の心を巡る珠玉の作品集。表題作ほか8篇。
感想・レビュー・書評
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「目撃者」「ローズ氏」どちらも逃げる機会を遅らせてしまった人の話。
愛を得て幸せになった人の話がないな。逆ばかり。特に女が男を愛しても愛さなくても幸せになれないみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
雪原に丹頂鶴が一匹。空からは落ちてこないが、既に降り積もった雪が時折風にあおられ舞い踊る。その中鶴は静かにたたずみ、何もない虚空を見つめる。我々は誰一人として、この鶴がどこから来たのか、どこへ飛んでゆくのか知りようもない。(作者のイメージ)
作品は普通の人の普通の日常。その様子を恐ろしい程繊細に収集し、機織り職人のように精巧に織り込んでゆく。まるで伝統工芸のような、静かさ、巧みさ、力強さ、熱さ。
オシャレな模造品などを蹴散らす、確かな存在感。 -
フランス組曲を読み、こちらも読んでみる。
やはりパリパリしい。(とんでもなく優雅でおされで素敵な雰囲気ってことです)
短編集ですが、それぞれ長編の一部を切り取ったような造りで、おお、これからどうなるの!と余韻が残ります。 -
未完の長編「フランス組曲」が素晴らしくよかった(未完だったことが惜しまれる)ネミロフスキーの、こちらは短篇集。
フランスのお嬢様やマダムの生活を描いているのであっても、いつも何か不安や危機感が漂っている。