- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896450088
感想・レビュー・書評
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美輪さんの三十三歳までの半生について書かれたエッセイ。波瀾万丈でした。
終盤まで辛く苦しい事がわりと多いのですが、ここでは終わらない!みたいな意思の強さが眩しいです。
周りの人へ真摯に接してらっしゃるのも素敵。男性を翻弄する手練手管も凄かったですが。。
美輪さんは講演会へも行きましたし、『黒蜥蜴』の舞台を観たことは一生の思い出です。美しかったです。
わたしも生きている限りは一生懸命生きよう、と襟を正しました。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
美輪明宏(1935年~)は、長崎市生まれ、17歳で歌手デビューし、妖艶な美貌とスタイルで人気を得、「メケメケ」、「ヨイトマケの唄」が大ヒット。演劇では、「天井桟敷」旗揚げ公演、三島由紀夫作品「黒蜥蜴」等に主演。歌手として、俳優として、独自のスタイルを築き上げた。
本書は、1968年、美輪が33歳のときに自ら書いた半生記で、内容を一部入れ替えつつ、4回目の出版として1992年に刊行されたものである。1968年の初版には、三島由紀夫が「昭和有数の奇書として推す」という序文を寄せ、また、ベストセラーになったという。
私はアラ還世代だが、これまで美輪のことは、元祖ビジュアル系的な存在として認識はしていたものの、芸歴もその歌もほとんど知らなかった。しかし、大分前に斎藤孝がお奨め本50冊を紹介した『読書入門』を読んだときに、その1冊目に『紫の履歴書』を挙げていたことはずっと覚えていて、機会があれば読んでみたいと思っており、今般たまたま新古書店で本書を目にし、入手した。
読み終えて、最も印象に残ったのは、幼少時を過ごした異国情緒漂う長崎の風景、原爆の体験、同性愛への目覚め、上京してからの辛酸をなめた生活、そして、どん底から這い上がっていく姿が、実に生き生きと、まるで昨日のことのように描かれていることである。
そして、もう一つは、どん底の生活を送っている間でも、美輪の周りには常に人がいた(ように見える)ことである。美輪がその美少年ぶりで人目を引いていたのは間違いないのだろうが、より本質的には、美輪の類稀な感性と優しさが、人を惹き付けていたのではないかと感じられるのだ。
当時が、今と比較をして、(経済面を除いて)生きやすい時代だったのか、生きにくい時代だったのかはよくわからない。が、三島が本書を「奇書」と評したような時代だったことは確かで、そうした時代に自分の生き方を貫いた美輪の勇気は驚くべきで、(LGBTQ云々には関係なく)今を生きる我々の背中をも押してもらえる気がするのである。
(2024年6月了) -
生まれながらに芸術的センスを身に付け、美しさに恵まれている美輪さん。
さぞや、昭和初期の時代を生きていくのは、好奇の目にさらされ苦悩の日々であったことでしょう。
「マトモ」ってなんでしょうかね?
この本を読んでいて私が強烈に感じたこと。
「マトモ」のバロメーターを他人にあてがって自身を満足させている輩。
美輪さん強いです。 -
この時代の人の自伝を読んだことがないので本当に新鮮で、出てくる言葉も聞いたことないものもチラホラ出て来るので、ワード検索しながら読むという初めての作業で非常に面白かった。
怒涛の人生劇。原爆の体験者だとも初めて知りました。御母様も3回も変わり、大変な思いをしながら収入を得ても兄弟や家族の面倒。そして爆モテエピソードの数々…。(正直ここまでめちゃくちゃモテたエピソードを赤裸々に教えてくれる人はそれほどいないから、非常に興味深く、現代でもこんな風に本なりで教えてくれる人いたら面白いなぁと思った次第。)
ズタズタになりながらも、なにくそ!と這い上がってきた美輪明宏さん。濃い濃い人生だからこその、今の御姿(あえてオーラと言おう)なのですね、納得!!!! -
美輪さんの書く文章どれも素敵で、エピソードも素敵で、特にたくさんの恋人との毎日。
一度の人生こんなに恋多きの人間になってみたい、1人との永い愛派だけど、これ読むといろんな人といろんな形の恋を味わってみたいと心から思います。
美輪さんがさらに好きになりました❤︎
30代以降の話もまただしてほしいな -
1968年刊行、美輪明宏氏(当時は丸山明宏氏)初の著書を、1992年に再再単行本化したもの。
何しろ、美輪様が、まだ33歳の時の著書なので、まだ文章が若い、というか、自叙伝なのに、途中所々で詩になったりする、という、ちょっと不思議な構成です。
一人の美少年が、美しく成長し!歌手として俳優として成功するまでを描いた、サクセス・ストーリーではありますが、生まれた時代が時代なので、複雑な家庭環境から、長崎での原爆体験、という幼少期のエピソードがあまりにもビターな味わいなので、初っ端から、かなりシリアスな雰囲気にさせられます。
戦後の物語も、長崎時代こそ、まあまあ複雑な家庭環境の物語で、男性同士のラブロマンスが描かれる割と明るいエピソードではあるものの、本格的に歌手を目指して上京してからは、様子が一変。壮絶な苦労エピソードと、驚異のモテエピソード(男性からです)に、圧倒され続けます。
その後は歌手として売れたり落ち目になったり、また売れたり、というエピソードですが、その間も男性からのモテエピソードは、止まらず。
それでも、単なる自慢話にならないのは、とても不思議。
これは、その後の美輪様の活動と、感動的な歌唱を知っているからこそでしょうか。 -
著者の哲学と美学、そして詩が散りばめられた半生記。
壮絶な人生でありながら、文学作品のような味わいを感じさせるのは著者の美学か。 -
子どもの頃の思い出、戦中・戦後、中学、大学。修行、恋の遍歴、仕事、工夫をし次第に売れていく。家族の世話、芸とは、役者とは。
名前を聞く程度でしたが、きれいな、すごい人だったのだと知りました。