相模湾上陸作戦 ―第二次大戦終結への道 (有隣新書52)

  • 有隣堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896601329

感想・レビュー・書評

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  • 太平洋戦争期、幻に終わったアメリカ軍の関東地方上陸作戦(コロネット作戦)について書かれた本。

    幻に終わったものの、この作戦に関する史料を探る意義として、「戦争を一方の当事者の視点にとらわれず、世界史の脈絡のなかで相対的に見直すことが可能になった」ことを挙げる。そして、「戦争をより客観的に捉えなおし、神奈川の戦中・戦後を、世界史のなかに位置づけることを目指したい」とする。

    本書は、原爆投下によりコロネット作戦が実施されることなく終戦に至った可能性を、近衛文麿からの聞き取りの引用により示唆している。その点でコロネット作戦と原爆投下は表裏一体とも言える側面も持ち合わせていたのではあるまいか。

    アメリカ軍はコロネット作戦において詳細な研究を行なっており、かつ動員予定の兵力は100万を超えていた。このような作戦に応戦することになるはずだった日本側に思いを馳せると、とても勝てる相手ではないという印象を受けた。

    コロネット作戦は実施されることなく終わったが、原爆投下との関連、実際のアメリカ軍の占領、進駐とコロネット作戦の類似性、上陸地点とされ、戦後は演習場となった「チガサキ・ビーチ」と朝鮮戦争時の仁川上陸作戦の関係性など、相模湾、ひいては茅ヶ崎という一地域から戦争を捉えなおし、世界史のなかに位置づけようとする本書の意図は達成されているものと言えよう。そして、史料のあたり方、論の進め方等は実証的であり、手堅いものを感じた。

  • 新書文庫

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