若者が社会的弱者に転落する (新書y 74)

著者 :
  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896916782

作品紹介・あらすじ

就職しない、家を出ない、結婚しない-。社会に参画するチャンスが永遠に持てない膨大な層を生む元凶は、中高年との膨大な経済・就業格差、自立を促せない親、そして、いま直面している事態を見ようとしない社会の意識だ!パラサイト・シングル論ではもはや解明できない、フリーターやひきこもりなどの問題に通底する、看過しがたい「危機」の本質を、経済学・社会学・家族心理学の視点から指摘、新たな方向性を示唆する。

感想・レビュー・書評

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  • ショッキングな題名である。若者が置かれる現在の脆弱な立場の報告、そして裏付ける報告や記事、情報などの説明があり、それが形成される子供時代からの影響を説明し、これからの解決策を提供する。
    独身貴族、モラトリアム、親元で生活する若者たちをこう呼んだ。同棲しないので結婚できない。フリーター、若者は仕事を持てない社会構造となって来ている。人生ルートがなかった。若者は高学歴、自由を手にした。しかし、十分な仕事がなくなり、福祉国家の時代が終わった。彼らに自由で快適な暮らしを保証できるのは親なのだ。
    若者VS中高年の経済格差が広がる。木造アパート、ワンルームマンション、ルームシェア?
    太陽族VSクリスタル族(1956太陽の季節。1980なんとなくクリスタル)太陽族の若者の価値としたものをすべてダサいと否定する⇒現実社会がら逃避⇒社会が責任をとれない、自己選択、自己責任となる。
    子育ては苦労な仕事になってしまった。子育てが楽しいことではなくなった。育児不安。子供を十分愛している自信がない。思い通りに育たない、家族を含む、親族や地域社会環境にも問題がありそうだ。欧米でも子供を取り巻く世界は変わった。日本人は根っこがない。教育はあるが将来がない。

    友達親子、経済的に潤滑になった。消費だけが取り持つ
    エンゼル係数、教育費が全消費支出に占める割合

    日本の将来、学歴社会の視点から
    1教育コストは本人負担というしくみを
    2学生の仕事を職業につなげる
    3社会に若者を託すしくみ、若者が自分を試す時期をつくる

    やりたいこと
    1やりたいことの重視
    2やりたいことなら続けられるはず
    3やりたいことは今は分からなくてもいい
    4やりたいことは実在する、きっと見つかる、自分の内部にしか発見できない、呪縛となる。

  • 2021.68
    ・やりたいことは自分の内なる世界から出て、実際に体を動かすことが大切。
    ・働くことと学ぶことを自由に行き来できる様にすることが大切。
    ・批判的思考を育てる。

  • 誰かに薦められて読んだが、繰り返しの言説がくどいし、どうなってほしいのかが主張されてない。飽きてしまった。

  • 読了。現代の若者が抱える問題を、家族・教育など多面的に指摘したもの。2002年刊行なので、今となっては当然の問題意識が書かれている場合もあるが、2、3参考になる点がある。具体的には、自立のために、①親元を離れて生活する(短期留学・寮生活)、②大学時代に「ギャップ・イヤー」(学業を離れ、仕事・アルバイトをして学資を稼ぐ時期を1年間くらい持つこと)などである。

  • 埋もれた名著である。
     
    フリーターと呼ばれる若者達がなぜこれほど増えたのか? 
    パラサイトシングルと呼ばれる人達がなぜこれほど一般化してきたのか?
    なぜ、我々はなかなか結婚出来ないのか? 
    そして
    (私自身が若年層への取材を通して感じてきた疑問なのだが)
    「やりがい」や 「OnlyOneな職業・生き方」を過剰に、時に分不相応なまでに追求し続ける若者達が目立つのはなぜなのか?
    さらに、
    若者達の「生き辛さ」や「心の漂流」の背景に何があるのか? 

     …これらの疑問への答えを、本書は明らかにしてくれる。
     その回答の一つが、“標準的なライフコースの崩壊“なのであるが、日本社会が我々が気づかないうちに構造的に変化して来てしまっていることが明らかにされる。
     “最近の若い者は…”という表層的な世代論の一方で、真に構造的な変化が進行している。本書は、その構造的な変化を、社会学的なデータに基づいて詳らかにしてくれる。

     最近の若い者は…と感じているオヤジ世代諸兄、 「若者問題」に関心のある取材者、教育関係者、 そして、全ての親に、 本書の一読をお薦めしたい。
    “目からウロコ”の本である。

     十分に注目されることなく埋もれてきた感があるが、もっと評価されてよい重要な本である。

  • 【超速読】10年以上前の本ですが、この時点ですでにフリーターやひきこもりの拡大、貧困や格差の深刻化を予見しているようです。ということはこの10年でどれだけ社会的弱者が生まれるに至ったのか、ということを切に感じます。その後2006年頃NHKによりワーキングプアが注目されるわけですから、第2章のタイトル「若者の危機が隠蔽される社会」という言葉は重みを増すように感じます。

  • 日本の場合あまり「家」というファクターが大きい。
    これをいかに社会で役割を負担していくかだよな。

  • (「BOOK」データベースより)
    就職しない、家を出ない、結婚しない―。社会に参画するチャンスが永遠に持てない膨大な層を生む元凶は、中高年との膨大な経済・就業格差、自立を促せない親、そして、いま直面している事態を見ようとしない社会の意識だ!パラサイト・シングル論ではもはや解明できない、フリーターやひきこもりなどの問題に通底する、看過しがたい「危機」の本質を、経済学・社会学・家族心理学の視点から指摘、新たな方向性を示唆する。

  • 2002年出版で、1990年代のデータが使われているので、1970年代から2000年前後の若者の状況がよく理解できる。

    そこから、日本の経済的な背景から心理面、仕事感、結婚観まで書かれ、若者の根っこを作れ!と警告を鳴らす。

    しかし、その点は改善されず、2011年現在、その根っこを作れなかった若者が社会的弱者として、社会問題となってきている。

    1990年からの若者の問題の発端を知るのはこの本から。
    そして、その問題をどう対応すれば良いかは、宮台教授の就活原論を読むとよいと思います。

    ーーーーー
    豊かさを実現した社会ではややもすると、親世代も子世代も手に入れた豊かさを失うまいとして保守化し、活力を失っていく。とりわけ学歴や偏差値だけがよりよい生活実現の条件ととらえられている社会では、子どもたちは勉強をする機械となり、そこから落ちこぼれる大量の子どもたちは、生きる場がない。落ちこぼれない子どもたちも、親にとっての「いい子」を守ろうとして、限られた生き方しかできない。

    子育ては、転換すべき段階にある。厳しい労働の世界から子どもを遠ざけ、もっぱら教育の場に隔離した時代は、終わっている。共働き家庭があたりまえ、母子家庭や父子家庭の増加もみこまれるなかで、家庭の一員として子どもに役割や責任を与えるとともに、生きた社会にかかわることを積極的に進める方向へ転換がのぞまれている。

    自分の頭で考え、回答をみつけ、自分の道を選択しながら進んでいく時代がすでに始まっている。だから大人は、子どもの生活に根っこを生やすさまざまな試みをしなければ、次世代の大人たちは生きる力を見につけることができないのだ。

  • 本書の著者である宮本みち子さんの講義を奥さんと一緒に放送大学で見た。

    人生について夫婦話し合ってきたことを再認識し、奥さんに改めて感謝した。

    気づけばアラフォー、子供たちが人生について考える時に夢が膨らむような社会であるようにしたいなぁと思う。

    今、アー坊(5歳)がなりたいのはパン屋さん!

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著者プロフィール

放送大学名誉教授・千葉大学名誉教授。専門は生活保障論、若者政策論、家族社会学。東京教育大学文学部卒業(経済学専攻、社会学専攻)。お茶の水女子大学家政学研究科修士課程修了。社会学博士。こども政策の推進に係る有識者会議構成員、社会保障審議会委員、中央教育審議会委員、労働政策審議会委員等を歴任。著作に『ポスト青年期の親子戦略――大人になる意味と形の変容』(勁草書房、2004年)、『若者が無縁化する』(筑摩書房、2012年)、『すべての若者が生きられる未来を』(編著、岩波書店、2015年)、『下層化する女性たち』(編著、勁草書房、2015年)、『アンダークラス化する若者たち――生活保障をどう立て直すか』(編著、明石書店、2021年)など。

「2023年 『若者の権利と若者政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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