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- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896945904
作品紹介・あらすじ
太古から今世紀までの人間と狼の闘い。史実と伝説からとらえた異色のヨーロッパ社会史。
感想・レビュー・書評
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西洋、特にフランスにおいて長い間、人間の敵であった狼。人に害を加えるために絶滅が希求されていた、というのは驚いた。フランスにはこんな長い狼との闘争の歴史があったのだなあ。
カソリック普及のため、悪いことをしたら狼に襲われる、と説いた教会の話とか、野犬と見分けが付いていないのかあらゆることが狼の所為にされた、という話は嫌な気持になりました。しかたないのですが。野犬は獲物がいれば居るだけ荒らしてしまうが、狼は腹に収まるだけで留める、という話も印象的でした。犬って馬鹿だな。人間が馬鹿に作ったんだけど。
人間に危害を加える、コントロールできない恐怖を与える生き物=悪、としてしまうキリスト教圏の怖さみたいのも垣間見た気がする。坊主が権力拡大を謀るのも歴史だから仕方ないが。
狼が集団生活する生き物であることも長らく知られておらず、だから孤独なイメージが付加されているとのこと。
また文学における滑稽なイメージは長らく残忍で恐怖してきた敵を陥れる目的だったというのも納得。
ヨーロッパの狼についての歪んだ価値観に対し、その基盤となったきちんとした歴史的経緯を読めて良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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