甘い水 (真夜中BOOKS)

著者 :
  • リトル・モア
3.31
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  • (7)
  • (4)
本棚登録 : 158
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898152850

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいると、穏やかなんだけど、どこか不思議な気持ちになる物語でした。
    ひとつひとつの短い物語が語られ、少しずつ”甘い水”に関わる人物が増えていく。
    でも、それぞれの物語や人物が繋がりそうで繋がらなさそうで、、、ちょっと混乱します。
    ミトンさんのお話を読んでいると、甘い水の謎が少しわかる。
    でも、わかるとまたそれは切ない。
    自分にもう少し読解力があれば、もっと魅力的な一冊になっただろうなと思います。

    【「私たちは、地下から湧き出る甘い水を飲むだけで生きのびている。」
    ここはどこだろう。なぜここにいるのだろう。
    見えない力に強いられ、記憶を奪われた女性の数奇な運命。
    〈甘い水〉をめぐって、命とはなにかを痛切に描いた渾身の最新長篇小説】

  • たゆたう物語。振り返ると、よくわからない。
    わからないところにすとんと落ちて、満足。

  • 椅子の部屋、地下通路、砂の街、十五番目の水の部屋…閉ざされた奇妙な世界を行き来しながら、途絶えることのない感情のざわめきが、静かな輪唱のように、徐々に解き放たれていく―現代を生きる私たちの寓話。見えない力に強いられ、記憶を奪われた女性の数奇な運命。“甘い水”をめぐって、命とはなにかを痛切に描いた著者渾身の最新長篇小説(「BOOK」データベースより)

    既読の本を返した後、何気なく返却本のコーナーを眺めていたらこの本が目に入りました。
    ちょうど東さんの『私のミトンさん』を読み終わった後だったので、「あら、東さんの本だわー」と手にとってパラパラ読んでみたら、

    わーーー、ミトンさん登場してるーーー!

    どうやらこっちのほうが先に出版されていたようで。
    順番は逆になったけれど、またミトンさんに会えてうれしいなぁ。
    アカネやミキヒコおじさんの気持ちがちょっとわかったよ。

    中身はちょっと不思議な物語。
    ワタクシも一応〈お母さん〉なので、ソルとレミのお話が一等お気に入りでしたが、幾度も名前を変えてもグリンを求める、フランの姿にも惹かれるものがありました。
    こちらにも、小さな人たちの歌が流れていたので覚書。

    やわらかい土
    躍るあしあと
    にじみだす水
    どこでも唄う
    眠るゆびさき

    ねじりあう布
    夢なんて見ない
    くびすじに塩
    雲ばかり見て
    果てのない底

  • 不思議で不安な感じ。

  • 季刊真夜中で連載の途中を読んで気になったので読む。

    光がさす時間も限られ住む所も決められ、記憶もなく、
    ただ甘い水だけを飲んで生きていく人の話だったので、
    なんだか途中だけ読むと意味がわからなくて・・。

    甘い水、小さな人、個人としての名前でなく機能重視の
    物質的名前を持つ存在の人、などが出てくる不思議な話。
    物語がずっと続いている訳ではなく、地上?地下?天上?など
    詳しく書かれていないけれど、場所は違うが同じような時間と
    環境に住む人々の話が交互に書かれている。
    夢物語のような話もあれば、現実っぽい話しもあって、
    とにかく作者の世界に引き込まれる。
    でもどの世界もが、すべてあいまいで、ちょっと読後感悪い。
    結局本として何を伝えたかったのか、いまいちわからなかった。

    いしいしんじさんの不思議な物語の繊細な女性版って感じかな。
    でもいしいしんじさんの物語の方がはるかに秀逸かも。

  • 不思議で、抽象的な話は、どこか不安を煽る。

    物語全体を自分の中でどう解釈して、消化して良いのかがわからず、読み終わった後もどうにもすっきりしない。
    著者がこういう話を書くのが、少し意外でもあった。

    「瓶にヒビが入ったように、目から水が出てきた。
    これは、なに。
    誤作動だ。私、間違ってる。壊れている。変だ。どこから、変になっていたのだろう。私から流れ出る水が止まらない。ヒビ割れがひろがっていく。私の水がなくなっていく。シバシ、これはなに。説明してください。最初から最後まで説明してください。私が失ったものを教えてください。私からうばったものを返してください。いいえ、なにもしなくていいから、とにかくここに来てください。今すぐ来てください。来なさい。来い、今すぐ、来い。
    来い。」

  •  地下から湧き出る甘い透きとおった赤い水を飲むだけで,生き延びる。1日のうち光のある時間は,8時間と決められ,地上の人間から,水も光も操作されてる地下生活者者。1人が消えるとまた1人が現れる。次々に命と云うか人生が引き継がれてその都度,名が変わる。
    36時間不眠で活動する市長は,サイボーグなのか?小さな島の最後の生き残りの1人は,身長50センチメートルほど,という奇妙な人物設定も,SFファンタジーのような不可思議な世界観を感じさせる。

    この地球上で生きる,ありとあらゆるものたちの掛け替えのない命の尊厳が,伝わってくる爽やかな読後感だ。

  • うーん面白いけれどラストがイマイチ

  • 不思議な話。寂しくて、向こう側に行きたいのに行けない感じ。

  • SFかしら?と思わせて、ファンタジーというか心象風景というか。
    穏やかで寂しい不思議な世界が広がってゆきます。
    人が「部品」のように役割を決められた世界。
    でもやはり部品にはなりきれない。
    人には心があるから。

著者プロフィール

1963年広島生まれ。歌人、小説家。絵本や童話、イラストレーションも手がける。「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞、『いとの森の家』で第31回坪田譲治文学賞を受賞。歌集に『十階』、小説に『水銀灯が消えるまで』『とりつくしま』『さようなら窓』『薬屋のタバサ』『晴れ女の耳』、エッセイ集に『短歌の不思議』など。穂村弘との共著に『回転ドアは、順番に』がある。

「2019年 『しびれる短歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

東直子の作品

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