夜空はいつでも最高密度の青色だ

著者 :
  • リトル・モア
3.62
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  • (15)
  • (7)
本棚登録 : 1105
レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (100ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898154397

作品紹介・あらすじ

異例のひろがりで話題騒然となった
『死んでしまう系のぼくらに』を超える、
待望の新詩集!

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都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
塗った爪の色を、きみの体の内側に探したって見つかりやしない。
夜空はいつでも最高密度の青色だ。――「青色の詩」より抜粋

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現代詩の枠を超えたムーブメントを巻き起こした詩集前作『死んでしまう系のぼくらに』。
他方では小説家としても活躍し、SNSでも詩を発表するなどフィールドを問わず快進撃を続ける詩人・最果タヒが満を持して放つ、渾身の詩集最新作!


「ゆめかわいいは死後の色」「月面の詩」「花と高熱」
「美しいから好きだよ」「冷たい傾斜」「もうおしまい」
…ほか、書き下ろしを多数含む全43篇収録。


現代におけるポエジーとは? ひとつの答えがここに。

感想・レビュー・書評

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  • この詩人の詩集を読むのは3冊目です。
    1回目に読んだとき、今回の詩集は何か変。嫌なことばかり書いてある、好きじゃないかもしれないと思いました。ある意味とっても正直なことを言っているのかもしれないけど、毒が強すぎるんじゃないかと思いました。全部読んで「あとがき」を読みました。
    「憂鬱が、かわいく見えて仕方がなかった。人には話せないような、汚い感情、正論だとか優しさだとかで押しつぶされていく、そういう悩み、膿。あってはならないものとされている感情が好きだ。感情にあってはならないものなんて、ありえないのに、それでも押し殺すその姿が好きだった。どんなに因数分解したって理解を得られないだろうそんな感情が、その人をその人だけの存在にしている。人は自分がかわいいのだということをもっとちゃんと知るべきだ。(中略)
    世界が美しく見えるのは、あなたが美しいからだ。そう断言できる人間でいたい」
    これを読んでから、もう一度最初から読むと、みるみるうちに、この詩集の世界観がひっくり返りました。この人の言っていることは真実だ。そう思いました。


    「にほんご」
    きみがもしも病気なら「しにたくない」という六文字にだってきっと価値が出るだろう。それぐらい、言葉なんてどうだっていいんだ。
    わたしが何を言ったって価値は出ないんだよ。
    すきなひとってなんだよ。そうでないひととすきなひとって、差別だよね。きみとすきなひとだけが生き残ればいいと思っているんだろ、世界を怪獣が襲ったら。世界平和なんて、誰かを愛している限りは言うな。
    みんな元気?私は元気です。でもいつかは死にます。だから死にたくないと思う。でもそのうすっぺらなきもち、みんな同じだよって言われて、通り過ぎる車みたいに、きもちはききながされて海へと帰っていく。みんな同じだよって、いわれて、だれもわかってくれないという気持ちに、なるのはどうしてだろう、物理法則?
    目の前で、車が事故るまでは誰もふりむいてくれない。それを知っているから、みんなあぶない運転をする。気づいてもらおうとしている。そして、だれかをはねるんだね。殺しちゃうんだね。愛情なんてとっくに、なくてよかったんだ。ないほうがよかった。愛なんてなくてもいいって、「いいひと」たちに銃を向けられたって言える。私は世界平和を望んでいます。全員大嫌いです。



    1回目に読んだときは何という皮肉だと思いましたが、「あとがき」を理解してから読むと、言っていることがこの詩人の思いやりであることが伝わりました。


    「24時間」「春の匂い」「ようこそ」「空白の詩」「もうおしまい」もよかったです。

    • やまさん
      まことさん
      おはようございます。
      いいね!有難うございます。
      やま
      まことさん
      おはようございます。
      いいね!有難うございます。
      やま
      2019/11/23
    • まことさん
      やまさん♪おはようございます。
      こちらこそ、いつもありがとうございます!
      やまさん♪おはようございます。
      こちらこそ、いつもありがとうございます!
      2019/11/23
  • 最果タヒさんの詩集には毎回感情を揺さぶられる。
    とても共感する人としない人がはっきりと分かれると思うので、買う前にパッと開いたページの詩を読んで、好きだと思ったら買うという風にするといいと思った。
    私の語彙力ではこの本の素晴らしさは語り尽くせないので、一見してもらった方が早いと思う。
    ただ、現代社会の現代っ子の苦しみを表している本とだけ書いておきたい。

  • 個人的には星五つ。最果タヒさん好きには満足できる一冊だと思う。ただ、タヒさん自体好き嫌いが分かれるので要注意。他の方も書いていたけれど、パラ見して文体が合うかどうかのチェックは大切です。文体が肌に合えば文句なしだと思います。タヒさんはシンプルな語彙で面白い言葉をつくってくれるところが好印象。難解なのも好きですけどね。

  • 何度読み返してみても、どうも飲み込めなくて頭がくらくらしてくる感じが、粉の溶けきってないスポーツドリンクみたいだと思う。のに、突然蓋を開けたばかりの炭酸飲料を一気に喉に流し込んだ時みたいな衝撃で頭が冴えるのだから不思議。
    読まなくても人生に何の支障も生じないけれど、読めば自身の中の見えない何かが確実に変質を遂げているような気がする、そんな一冊。

  • 寂しさと怒り、それときらきらの本。

  • タイトルが最高に好きで、手に取った。
    この本を読んだ日は、私の片想いの失恋が確定した2018年6月29日。
    読みながら涙が出てきた。
    会社のデスクで読んでるのに、だ。
    私の読書姿勢には、恥も外聞もないのである。

    あぁ、誰がなんと言おうとタヒの言葉は10代の感性だし、
    痛い痛いと傷付く私の心を青春に変えてくれた。
    詩って、ここまでリアルな表現が出来るんだ。
    と、
    新しい出会いへ感謝の念を抱かせる力が、
    この詩集にはあった。

  • 愛と孤独と生と死...。解るようで解らなくて、指でなぞるように私は歌う。解るわけないんだよ、誰のことでさえ。だって私の苦しみ悲しみが誰に解るというのだろう。だとしたら人間は皆孤独だけれど、君にだけは生きていて欲しいとか、君が生まれてきたから出会えてよかったとか、そんな風に感じる想いは何なのかな。漢字一文字二文字で表せる簡単なものなのかな。毎日、泣いている。誰にも解らないから私の中で流している。この世界は穢いと思っている。いつか美しいと感じられる時が私にも来ればいい、そう思った。
    この詩集がどう映像化されたのか、気になるところである。

  • 『死んだ人も保存ができる。絵や言葉は保存ができる。いま、生きている人がきみにできるのは、裏切りだけかもしれないね。』

    『正しいことはすべてロボットに任せてしまって、私たちは理不尽に、感情的に支離滅裂に、わめいて嘆いて、泣きつかれたら眠りましょう。』

    『ときどき私やきみという存在が無駄で あいだの気持ちだけが本当に世界に必要だったものなんじゃないかと思うよ』

    『時間なんてものは要するに命だ。食べるものも、見るものも、作るものも、聞くものも、結局全てぼくの命を支払うことで手に入れたものだ。好きなものがないなんて、不幸だと思う。生きる意味がない。なんて嘘で、暇が一番、素材の味。命の、素材の味がする。』

    『私、ちゃんと募金しました。
    私、ちゃんと席譲りました。
    私、ちゃんといただきますって言っています。
    私、ちゃんと愛で幸せになれるって思ってます。信じてます。』

    『愛してで事足りるような孤独なんて持っていないよ。
    私をかわいそうだって言っておきたい人がいるから、
    ここはまだまだ優しい世界。
    全人類、私のために、生まれてきておめでとう。』

    『冷たい水が体内に一滴もないこと。誇っていいよ、きみは生きている。』

    『100%誰かに理解してもらえるなら、そんな人間、この世界にいる意味がない。』

  • 選ばれた一つ一つの言葉も、その組み合わせも面白くて鋭い。
    しかし、これは好みの問題なのだけど、それぞれの一文をツイッターで見たら即お気に入りを押すものもたくさんありそうなのだけど、それらが連なった詩になると、一文一文の押しが強過ぎて、なかなか飲み込めなかった…。
    緩急がもう少しある方が私は好みのよう。
    小説はどんな風なのか興味があるので、そちらも読んでみたい。

  • 何者かであることを求められ、キャラを持つことを迫られがちな社会の中で生きてると、こういう詩は染みる。これを書いてる現在、五月病の余波の残る時期には特に。

    著者はたぶん、ベクトル化するアイデンティティをスカラーに留めようとしていると思う。スカラーなアイデンティティは公約数で結び合うような静かな愛を持てるから。ベクトルのように刺さることはないかもしれないけど、フラットに寄り添い溶け合う愛の肯定。他の何者でもなく、ただ自分であるということを認めようとする最高の自己愛。

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著者プロフィール

最果タヒ(Tahi Saihate)
1986年、神戸市生まれ。2008年、『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2015年、『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『愛の縫い目はここ』、小説に『星か獣になる季節』『かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。』『渦森今日子は宇宙に期待しない。』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな噓つき』、エッセイに『きみの言い訳は最高の芸術』、対談集に『ことばの恐竜』がある。最新詩集に、2018年9月刊行の『天国と、とてつもない暇』。

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