夜空はいつでも最高密度の青色だ

著者 :
  • リトル・モア
3.66
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  • (28)
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本棚登録 : 2209
感想 : 136
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  • Amazon.co.jp ・本 (100ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898154397

作品紹介・あらすじ

異例のひろがりで話題騒然となった
『死んでしまう系のぼくらに』を超える、
待望の新詩集!

- - -

都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
塗った爪の色を、きみの体の内側に探したって見つかりやしない。
夜空はいつでも最高密度の青色だ。――「青色の詩」より抜粋

- - -

現代詩の枠を超えたムーブメントを巻き起こした詩集前作『死んでしまう系のぼくらに』。
他方では小説家としても活躍し、SNSでも詩を発表するなどフィールドを問わず快進撃を続ける詩人・最果タヒが満を持して放つ、渾身の詩集最新作!


「ゆめかわいいは死後の色」「月面の詩」「花と高熱」
「美しいから好きだよ」「冷たい傾斜」「もうおしまい」
…ほか、書き下ろしを多数含む全43篇収録。


現代におけるポエジーとは? ひとつの答えがここに。

感想・レビュー・書評

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  • この詩人の詩集を読むのは3冊目です。
    1回目に読んだとき、今回の詩集は何か変。嫌なことばかり書いてある、好きじゃないかもしれないと思いました。ある意味とっても正直なことを言っているのかもしれないけど、毒が強すぎるんじゃないかと思いました。全部読んで「あとがき」を読みました。
    「憂鬱が、かわいく見えて仕方がなかった。人には話せないような、汚い感情、正論だとか優しさだとかで押しつぶされていく、そういう悩み、膿。あってはならないものとされている感情が好きだ。感情にあってはならないものなんて、ありえないのに、それでも押し殺すその姿が好きだった。どんなに因数分解したって理解を得られないだろうそんな感情が、その人をその人だけの存在にしている。人は自分がかわいいのだということをもっとちゃんと知るべきだ。(中略)
    世界が美しく見えるのは、あなたが美しいからだ。そう断言できる人間でいたい」
    これを読んでから、もう一度最初から読むと、みるみるうちに、この詩集の世界観がひっくり返りました。この人の言っていることは真実だ。そう思いました。


    「にほんご」
    きみがもしも病気なら「しにたくない」という六文字にだってきっと価値が出るだろう。それぐらい、言葉なんてどうだっていいんだ。
    わたしが何を言ったって価値は出ないんだよ。
    すきなひとってなんだよ。そうでないひととすきなひとって、差別だよね。きみとすきなひとだけが生き残ればいいと思っているんだろ、世界を怪獣が襲ったら。世界平和なんて、誰かを愛している限りは言うな。
    みんな元気?私は元気です。でもいつかは死にます。だから死にたくないと思う。でもそのうすっぺらなきもち、みんな同じだよって言われて、通り過ぎる車みたいに、きもちはききながされて海へと帰っていく。みんな同じだよって、いわれて、だれもわかってくれないという気持ちに、なるのはどうしてだろう、物理法則?
    目の前で、車が事故るまでは誰もふりむいてくれない。それを知っているから、みんなあぶない運転をする。気づいてもらおうとしている。そして、だれかをはねるんだね。殺しちゃうんだね。愛情なんてとっくに、なくてよかったんだ。ないほうがよかった。愛なんてなくてもいいって、「いいひと」たちに銃を向けられたって言える。私は世界平和を望んでいます。全員大嫌いです。



    1回目に読んだときは何という皮肉だと思いましたが、「あとがき」を理解してから読むと、言っていることがこの詩人の思いやりであることが伝わりました。


    「24時間」「春の匂い」「ようこそ」「空白の詩」「もうおしまい」もよかったです。

    • やまさん
      まことさん
      おはようございます。
      いいね!有難うございます。
      やま
      まことさん
      おはようございます。
      いいね!有難うございます。
      やま
      2019/11/23
    • まことさん
      やまさん♪おはようございます。
      こちらこそ、いつもありがとうございます!
      やまさん♪おはようございます。
      こちらこそ、いつもありがとうございます!
      2019/11/23
  • 南果歩が絶賛した詩人とは「日常の言葉にハッと」
    日刊スポーツ
    https://www.nikkansports.com/m/entertainment/news/202012120000003_m.html?mode=all

    『夜空はいつでも最高密度の青色だ』 最果タヒ - リトルモアブックス
    https://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=943

  • 刺激が強い。理性や自制心が崩壊しそうな不安が襲う。乱視が突然悪化して、文字の一部が断層のように崩れ落ちる。残った部分はアクリルの立体作品みたいだった。キレーな散文詩がチョー新鮮。題名は決めゼリフ?

  • 青い春は透明な秋にならなくちゃ許せない
    それ以外の色はありえない
    死んでしまうものでなければ 終わるものでなければ
    美しいわけがないんだ
    僕の愛したすべてのものはかならず
    ぼくを捨てるべきだった

    そうでなくてはいけないと言う
    そのことばのうらには
    なにがあるのかな
    死んでしまったのはだれ
    終わったのはなに
    やっぱりぜんぜん「わからない」よ


  • 先に映画の方を知ってて。観たいなぁ、って思ってたから、「あっ、詩集が原作なのかぁ」って思って、借りてみた。

    内容は青臭いんだけど、それが良さなのかなぁって感じ。

    ぱらぱら見てはやめ、ぱらぱら見てはやめ、を繰り返す。

  • 何度読み返してみても、どうも飲み込めなくて頭がくらくらしてくる感じが、粉の溶けきってないスポーツドリンクみたいだと思う。のに、突然蓋を開けたばかりの炭酸飲料を一気に喉に流し込んだ時みたいな衝撃で頭が冴えるのだから不思議。
    読まなくても人生に何の支障も生じないけれど、読めば自身の中の見えない何かが確実に変質を遂げているような気がする、そんな一冊。

  • 最果タヒさん、初読みです
    というか、詩集すらも初読みだと思います

    好きとか嫌いとか、そういった感情をそうやっててだ書くんじゃなくて別の言葉と表現をして現しているところが凄い

    良い感情も、世間一般で言う悪い感情すら詩になると美しい

    わかろうとしなくてもいい
    自分が響いた、好きな言葉さえあれば

  • テーマは変わらず、「死」と「かわいい」なんだな、と思った。特に今回は「愛」を押しつけられることに怒っている。と思った。「愛」という価値観を徹底的に見つめて否定しようとするのめずらしくていいなあと思う。冷静な人だ。でも詩じたいはわりと反発しながら読んだ。前作のほうが心に響いたかもしれない。

  • 最果タヒさんの詩集には毎回感情を揺さぶられる。
    とても共感する人としない人がはっきりと分かれると思うので、買う前にパッと開いたページの詩を読んで、好きだと思ったら買うという風にするといいと思った。
    私の語彙力ではこの本の素晴らしさは語り尽くせないので、一見してもらった方が早いと思う。
    ただ、現代社会の現代っ子の苦しみを表している本とだけ書いておきたい。

  • 表題になっている詩が好きすぎて何回も反復できる

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著者プロフィール

最果タヒ(Tahi Saihate)
詩人。一九八六年生まれ。二〇〇六年、現代詩手帖賞受賞。二〇〇八年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。二〇一五年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(二〇一七年、石井裕也監督により映画化)『恋人たちはせーので光る』『夜景座生まれ』など。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では一〇〇首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『もぐ∞【←無限大記号、寝かす】』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』、絵本に『ここは』(絵・及川賢治)、対談集に『ことばの恐竜』。

「2021年 『神様の友達の友達の友達はぼく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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