往復書簡 初恋と不倫

著者 :
  • リトル・モア
3.85
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  • (21)
  • (5)
本棚登録 : 2015
感想 : 160
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898154618

作品紹介・あらすじ

「カルテット」「最高の離婚」「Mother」の坂元裕二、最新刊!
おかしいくらい悲しくて、美しく残酷な、心ざわめく2篇の恋愛模様。

- - - - - -
<不帰の初恋、海老名SA>

「わたしはどうしても、はじめのことに立ち返るのです。団地で溺れたわたしと同い年の女の子のこと。
わたしだったかもしれない女の子のこと。」

初恋の人からふいに届いた手紙。
時を同じくして目にしたニュースでは、彼女の婚約者が運転する
高速バスが横転事故を起こし、運転手は逃走中だと報じている――。
- - - - - -
<カラシニコフ不倫海峡>

「僕たちは捨てられた。問題は、さてどうしましょうか。ということですね?」

アフリカへ地雷除去のボランティアに行くと言い残し
突然旅立った妻が、武装集団に襲われ、命を落とした。
一年後、後を追おうとしていた健一のもとに、一通のメールが届く。

〝あなたの妻は生きていて、アフリカで私の夫と暮らしている〞

同じ喪失を抱えた2つの心は、徐々に近づいていき――。
- - - - - -

メールや手紙、二人の男女が綴るやりとりのみで構成された、息を飲む緻密なストーリー展開。
生々しい感触と息遣いまで感じられる、見事な台詞術。
「台詞の魔術師」 坂元裕二がおくる、忘れえぬ恋愛物語。

切なさに胸が痛む、ロマンティックの極北。

感想・レビュー・書評

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  • ここ数年、坂元裕二脚本というだけで無条件でドラマを見てきました。どうしようもない切なくてやるせない気持ちがいちいち刺さってくる名作ぞろいでした。
    しかし、anoneを最後にしばらくドラマから遠ざかると知り、坂元ロスになりました。
    心に空いた穴を埋めるためにこの本を読みました。

    なんだろ、逆にもっと寂しくなりました。
    どこかで聞いたセリフ、どこかで見た設定、すべてが坂元さんの世界で埋め尽くされていました(当たり前)。

    「初恋」の方が断然好きだと途中まで思いながら読み進んでいましたが、最後の最後の場面で、もちもとさんとあおばさんを見つけたような気になって、なんだか嬉しくなりました。うん、「不倫」もよかった。

    でもやっぱり坂元さんの生み出す言葉は、生身の人間のしゃべる声で聴きたい。坂元作品に出演する俳優陣が名優ぞろいなのか、彼の作品によって名優になるのかわからないけれど、一つ一つのセリフに命が込められているような。
    なんだか陳腐な言葉しか並べられない自分が嫌になるけど、坂元さんのドラマが好きってことです(笑)

    ドラマがだめなら秋になったら舞台を見に行こうかな。
    どんな俳優さんが出てくるんだろう。チケット取れるかな。
    今年の目標はお芝居を見に行くこと!を勝手に宣言してるので、頑張ってチケット争奪戦に参戦しようと思います。

    すいません、変なレビューで。

  • 二人しかいない会話の中で、二人の関係性が少しずつ変わっていく過程が分かる。最初は違和感、警戒。小さな出来事を経て、急な加速で近づいていく。そして思いもよらないアクシデント。でも読者はそのアクシデントを過去形でしか、二人がメールの中で言及している手がかりでしか知ることができない。それが余計に、想像を駆り立てる。

    小説とも、舞台の台本とも違う、二人の人間のやりとりの中に宿る物語。途中からページをめくる手が止まらなくなる。

    「きっと絶望って、ありえたかもしれない希望のことを言うのだと思います。」
    そんな気分で朝起きることが何度もあった。まさに、こういうことなんだと思った台詞。
    すごく新しい読書体験をした。

  • 「誰かの身の上に起こったことは誰の身の上にも起こるんですよ。川はどれもみんな繋がっていて、流れて、流れ込んでいくんです。」

    ドラマで大好きな坂元節は、本でもずっぷり胸を刺してくる。
    最後の公演情報で二人芝居(朗読劇?)として上演されたものだったことを知ったが、書簡体小説としても全く違和感がなかった。
    喜劇と悲劇がない交ぜの人生は続いていく、時々終わる。
    傷を消してはくれないけれど、寄り添ってそっと撫でてくれる、無力で優しいかみさまの手のような感触が後に残った。

    ああしかし公演も見たかった…特に高橋一生のを…高橋一生のを…のを…。

  • なんかこう…。失敗すると焦げてしまう…あぶりだし、のような、行間からじわじわじわ……っと迫ってくるような往復書簡でした。古くて新しい。そしてチクチクと小骨が刺さるような感覚。寂しさと恋しさと入り混じってなんとも言えない気持ちに陥った。どうしてくれる?

    不帰の初恋、海老名SA(玉埜広志と三崎明希)
    カラシニコフ不倫海峡(待田健一と田中史子)

    夜中に考えてはいけない種類のことがある(52ページ)
    言葉を尽くせばつくすほど、本当のことから遠ざかる(73ページ)
    人間の心で制御出来ないのは、嫉妬とプライドだ。(129ページ)


    途中で本物かわからないけど村上龍が登場して、少しだけ笑った。
    もし小池栄子さんもいたら「カンブリア●殿」収録じゃないですか。

    けどね、=ロマンティックの極北=という帯の通り
    違う世界の北の果てにいて遠くから来る流氷を眺めているようで…。うまく言えないけどヒリヒリして切ない。
    二組の男女の気持ちと気持ちのスキマを埋める想像力が必要。


    ダ・ヴィンチのプラチナ本
    ダ・ヴィンチ 2017年11月号で瑛太さんのおススメ本。

  • 初恋と不倫という言葉から連想されるような話ではなかった。こんな感じの方がいいけど。
    手紙やメールのやりとりだけで話がすすむのでテンポよく読みやすい。
    相手のことを考えてるようで無視したり自分の言いたいことだけ述べてみたり答えたくないことは答えないところが面白くてよかった。不倫はダメだから同じ映画を別々にみて感想だけ言いあっていくのが笑えた。
    思ってもみなかった方向に話が進んでいき驚いた。

  • 坂本裕二はままならない人生を書かせたら右に出るものは居ないな。
    本人は懸命に生きているのに、周囲の圧力や搾取が彼らの生活からまともさを奪っていく。
    ハズレだらけの選択肢からせめてものマシなハズレを選んで行くうちにどんどん窮地にはまり込んでいく。
    外から見たら「いや逃げれば良かったじゃん」と簡単に言ってしまいそうになるけど、ひとつひとつ歩みを辿っていくと、それ以外の道が無かったとわかる。

    心がグッと重くなるんだけどどこかに救いがある空気なのがすごい。サクッと読めた。

  • 「絶望ってきっとあり得たかもしれない希望のことを言うのだと思います」というセリフ、わたしたぶん一生忘れないな

  • カルテットの時も同じようなセリフがあった。
    昔の私だったらよく分からなかったかもしれないけど、今はとても腑に落ちる。
    恋って、心と頭のどこかで私を守ってくれるものな気がする。

    =======
    わたしの初恋は、わたしの日常になりました。
    例えば長めで急めな階段を降りる時。
    例えば切手なんかを真っ直ぐ貼らなきゃいけない時。
    例えば夜寝る前、最後の灯りを消す時。
    日常の中のそんな時、玉埜くんと繋いだ手を感じているのです。
    あの日バスに乗った時も君の手を感じていました。支えのようにして。
    お守りのようにして。
    君がいてもいなくても、日常の中でいつも君が好きでした。

  • 友人が大ファンだという。
    その名前に惹かれて、長い待ち時間に手に取る。

    男女の手紙(メール)のやり取りで構成される、二編の物語。 関連性はないのだが、第三者としてあげられる豆生田という珍しい名前が共通している。

    最初のは、中学時代にはじまって30歳くらいまでか。
    対人関係がうまくなさそうな男子と これまた偏執的というかタイミング悪そうな女子。
    まぁ、クラスにいてもわりと避けるタイプ?
    この二人の若干噛み合わないやりとりのあと、いきなり時間が跳んで、対話がはじまるキッカケがバス事故。
    そのバス事故に女性の方が巻き込まれているのだけれど、経緯がまた奇異。
    事故をおこした運転手を男性の方が追うのだけれども、その理由も度を越しているというか ......

    もう1つは40を過ぎていると思われる男女。
    まったく面白くない公務員の男が、突然メールで女に絡まれる。 どういう理由なのかよくわからん。
    このふたりのつながりが徐々に見えてくる過程がこれまた薄気味悪い。
    両者とも、大人なようで、まるで空箱のように意志を感じさせない気持ち悪さだ。

    何を感じ取ればいいのか途方に暮れながら読んだが、なるほど、二人の人間が対話をしているときにはすでに両者が了解している事項がいくつもあって、そこに、読者には伏せられた事実を置いておき、次々にその蓋を開けていく。
    その手法が見事だ。
    対話形式の新書などは、両者の了解事項が結局わかんないままで、どうもモヤモヤすることが多く滅多に読まないのだけれど、そこはさすが脚本家。
    観客の視線から きちんとチェックされている。

    そして最後に強烈に残るのは 登場人物のキャラクター。
    どなたも 友達にはいない 友達にはなりたくないタイプだけど、いるんだろうな こういう変な人って ...  とリアルに想像できる。

    坂元裕二氏を有名にしたのは 東京ラブストーリーだそうだが、あいにく観たことがない。
    ウィキペで検索してみたら、チェイス〜国税査察官〜 と カルテット を知っていた。

    あの  ARATA(井浦新)と ありすちゃん(吉岡りほ)は強烈でした。

  • これは...こんなに先の読めない、起承転結が何回あるんだろうみたいな、ジェットコースターみたいな話が2つも書けるなんて天才だと思う。初恋の方も素敵で、ロマンティックで良かったけど、不倫の方を読みきると初恋のこと忘れちゃうくらい、パンチ効いてた。関連があるようでなかった豆生田の設定も素敵。すとんとは落ちない展開もいくつかあったけども、そんな違和感も感じさせないくらいのスリル感じが最高だった。
    ●絶望って、ありえたかもしれない希望のことを言うのだと思う
    ●人間の心で制御出来ないのは、嫉妬とプライドだ。だけどその二つがない人間には何も出来ない。それは生きるための糧でもあるから
    ●大切な人を守りたいのなら、その人の手を引くだけでは足りない。その人の周りの環境もかえなくてはならない。
    抜き出してみると、初恋の方は名言ばっかりだ。響いた。

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著者プロフィール

脚本家。作品に「Woman」(日本民間放送連盟賞最優秀)「東京ラブストーリー」「わたしたちの教科書」(向田賞)「それでも、生きてゆく」(芸術選奨新人賞)「最高の離婚」(日本民間放送連盟賞最優秀)等。

「2021年 『大豆田とわ子と三人の元夫 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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