ラブという薬

  • リトル・モア
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  • レビュー :7
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898154731

作品紹介・あらすじ

患者=いとうせいこう+主治医=星野概念(精神科医) による対話のカタチをした薬。

本書は、いとうせいこうさんが普段から患者として通う、
精神科の主治医・星野概念さんとの診療の模様を伝えたい、
そんな思いから始まった対談集です。
いとうさんの悩みはもちろん、精神医療の基礎、診療のシステム、
そして星野さんの悩み、さらにはネットにおけるスピード感への危惧、
ふたりが抱える社会への不安へ話は進みます。

もう我慢を大切にするのはやめよう。
怪我をしたら外科へ行くような単純さで、つらいなら精神科へ行こう。


1. 怪我なら外科、つらい気持ちなら精神科。行ってみよう。
その1 診察室の話をみんなに伝えたかった
その2 精神科には行きづらい、なんて思わないでほしい
その3 話を聞く、聞いてもらう、ってどういうことだろう?
その4 わたしたちは、なんでこんなことにハマり、さいなまれるんだろう?

2. 精神科にはどんな医師がいて、どんなことをしてくれるんだろう?
その1 治療、医師、症状のエトセトラ
その2 星野さんはなんでお医者さんになったんだろう?
その3 精神科にはプロがいる。安心して大丈夫
その4 「物忘れがひどい」すら親身に診察する。精神科医のできること

3. みんなも辛くないのかな?
その1 地味で素朴な救い、ラブ
その2 映画、小説、お笑いが社会にもたらすもの
その3 ゆっくりいこう、小さく話そう
その4 二人きりでお茶をするように

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・星野 いとうさんの悩みを掘り下げるのを公開することで、何かの参考になったり、
ホッしたりする人が少なからずいると思うんです。(中略)これはいとうさんが思ってるより、すごいことですよ。

・いとう よしわかった、自信持つわ、俺(笑)。

・星野 「あっ、いとうせいこうもカウンセリング通ってるんだ!」って思う人、絶対いると思うんですよ。それがとても大事で。

・いとう 「そういうの、当たり前なんだ!」 みたいなね。
(本文より)
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感想・レビュー・書評

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  • あの‘いとうせいこう’が精神科のカウンセリングに現在進行中で通っていて、その主治医との『診察』を対談本として世に出したとブクログのレビューで知って軽く驚いた。
    テレビで見るいとう氏と『精神科』のイメージがくっつかなかったのだ。
    『通っている』ということを公にする人も少ないような気がする。特に日本では。
    そんな現状を憂い『精神科』のハードルを下げようと企画したのがこの本『ラブという薬』。
    カウンセリングという『対談』の相方はミュージシャンもやっている精神科勤務医、星野概念氏。
    ネットでもコラムを書いているらしい。
    前半3分の2は精神科、及び精神科医の役割と治療を受ける患者との関係性やどのような治療が行われるかをざっくばらんに話している。もちろん、医者によってそれぞれ違う部分も多く、星野氏の場合はということだそう。多少専門用語が出てくるがちゃんと説明もされているので、置いてきぼりを食らうことはなかった。
    後半3分の1は文学や映画やSNS についての話題が多い。
    小説や映画は『(自分とは)反対の立場でも想像できる』メディアという言葉には納得しきり。
    時には意外な人物に感情移入しちゃったり、そこまではしないけど許容してみよか、という気分になったりする。
    星野氏のキーワードに『傾聴と共感』があって、しきりにでてくる。『傾聴』とはひたすら相手の話に耳を傾けること、この場合の『共感』はひとまず相手の気持ちを想像してみること、だろうか。...どっちも難しい。
    もしかしたら、オリンピックのカーリング女子の「そだねー」が日本中に優しく響いたのも、みんなそれを求めてるからかもしれない(笑)
    このふたつをプロフェッショナルにこなしてくれるのが精神科医ってことかな。でも、カウンセリングが中心になるかはその医者や症状によって変わるそうだけれど。

    おふたりの対談を読んでるだけでちょっと心が軽くなる。
    精神科も思っているより怖くないところ(笑)
    心がピンチのとき頼れる人や場所はなるべく作っておいた方がいい、と思った。

  • 販売ブースに積まれたこの本の前に立って表紙を眺めていると、出版社の人が説明をしてくれた。話し方は淡々としていたけど、話の内容の熱量がすごくて、この人はほんとうに本が好きなんだなと思ったので、半分くらいはその人の熱意を買うつもりで購入した。そういうふうに、目の前の人にお金を払う気持ちで買い物をするのが好きだ。たとえそれが赤の他人でも、というか赤の他人だからこそ、お金を使うことで敬意を示したい。
    その出版社の人が言うには、この本はいとうせいこう氏と精神科医の対談をまとめた本だという。いとう氏自身が精神科を受診した経験から、「みんなにももっと気軽に精神科を受診してみてほしい」という思いを抱くようになり、この本を出すに至ったらしい。怪我をしたら外科に行くような気軽さで、つらいことがあったら精神科に行ってもいいんだよ、ということを書いている本だと言われた。

    この本を読んだあとだから言うけど、実は少し前に心療内科を受診したことがあった。そのときの私は心療内科と精神科の違いもよくわかっていなかったけど、この本を読み終えた今、「何かつらいことがあったり、ストレスを感じたりしたら精神科に行ってみようかな」と思えている。そういうふうに、「何か困ったことがあったとき、どう対処すればいいか」がわかるようになれば、生きるのはちょっと楽になるんだと思う。わからないから怖いのだ。
    いとう氏に関しては、かなり偏っている自覚はあるけど、やっぱり「フリースタイルダンジョンの審査員」というイメージが一番強い。そのいとう氏が精神科を受診しているというのはかなり意外だった。いとう氏はそういうふうに、「この人が精神科を受診するなんて意外だな」と感じてもらうことが何かの取っかかりになればいいなと考えたようだ。いとう氏のことはよく知らないけど、この人は世の中のできごとに対して自分に何ができるかを考えるとき、なるべく優しい手段を選ぶ人なのかもしれない。

    ・SNSのこと
    私には論破癖みたいなものがあって、とにかく頑固で理屈っぽくて、納得いかないことがあったらすぐに「こっちのほうが正しい!」って主張してしまうんだけど、最近は意識的にそれを控えるようにしていた。自分の意思や立場を表明せずに、なあなあにしておくことに心地よさを感じるようになったからだ。それは「そのほうが敵を作らずに済むから」だと思っていたけど、星野概念氏の言葉を読んでいると、それ以外の理由がなんとなくわかってきた。
    「いろんな人がいる、多様性がある、とどれだけ言ったところで、見落とされてしまう人は絶対にいます。だから、自分が何か意見を言うときに、そうじゃない人たちもきっといるよな、
    っていう気遣いが常にないと、極端な理論になって、ゆくゆくはそれが戦いになると思うんです」(本文から引用)
    「そういうふうに考えちゃうのって、何か話題になっている問題に対して、それなりに説得力のあることをコメントしなければならないっていう脅迫的な義務感が根底になるのではないかと思います。(中略)別にコメントなんてしなくても大丈夫なのに、勝手にその義務を負わされた感じになってしまう」(本文から引用)
    今までは「みんなが話題にしているから、私も何か言わなきゃ」って焦ってたんだなあと思う。別に何も言わなくてもいいんだよな。

    ・偽善のこと
    「偽善」という言葉がきらいだ。私の大好きな人が「偽善者」と言われるのをたくさん見てきたからだ。その人はよく、「やらない善よりやる偽善」という言葉を使っていて、私はまったくその通りだと思っている。偽善を偽善だと叩く人は、結局何もしていない。何もしないよりは、たとえ偽善だろうとなんだろうと、人のためになることをして人の役に立ったほうがよっぽどいい。だからこそ「国境なき医師団」の取材をしているいとう氏の言葉は腑に落ちた。
    「金が最強の価値ってことになって、逆に人助けが『偽善だ』と言われるようになったような。儲かるんだったらいいけど、お金にならないなら、人助けなんか単なる偽善だし、やってもしょうがないよ、みたいなことを平気で言う人が出てきた」(本文から引用)
    「なんかさ、いいことは目立たないようにやるほうが美徳とされがちだよね」(本文から引用)
    「自分がわずかながらでも役に立てるんじゃないかと思って何かをすることに対して、あまりに評価が低すぎるよ、日本の社会は」(本文から引用)
    そうだなあ、私も駅前で中学生が大きい声を張り上げながら募金を呼びかけているとき、その箱に小銭を入れるのを「はずかしい」と思ってしまったことがある。いいことをするのに、何をこそこそする必要があるんだろう。いいことをしている人がいたら素直に褒めたいし、あの人はいいことをしてるなあ、と言える人でありたい。

    あと、対談中にいとう氏が「みうらさん」を連呼するのがなんだかかわいかった。みうらじゅん氏が唯一の親友だと言ってたけど、ほんとに仲が良いんだなと思う。

    【読んだ目的・理由】出版社の社員さんの熱意に胸を打たれて
    【入手経路】買った
    【詳細評価】☆4.1
    【一番好きな表現】
    彼らについてのいとうさんの文章を読むと、すごい大変そうだなとは思うんですけど、一方で、そういう大変なことに取り組んでいる人がこの世界のどこかにいるんだ、っていうことがわかって、勇気をもらえる。国境なき医師団のラブが、まわりまわって、僕にとっての「ラブという薬」にもなるんです(本文より引用)

  • いとうせいこう氏は言葉のイメージ。ツーと言えばカーではないけれど、言われた言葉に対してパッと適切な返しをそれも相手が思わずうむむと言ってしまうような切れる返しが出来るイメージ。つまり頭が良く世間の波を乗りこなすような感じに見えていたので精神科と結びつかなかった。が、人間どんな人でも調子の波もあったり人間関係の中での波もあったり不調に陥ることがあるよなぁと思う。いとうせいこう氏はそんな時気軽に身体が不調なら病院に行くように、心の不調には精神科へと勧めてくれている。彼が星野先生に会えたように自分にとって良い先生を探し当てることが出来たならそれも可能、それが一番難しいよなぁとも思う。とはいえ、そんなに怖い所ではないということは思えた。
    この本で印象的だったのは、ネット社会になっての世間の声、例えば自己責任論や社会に有用な人間のみ生きるに値するみたいなことってどーなの?嫌いなのものは認めないとかあまりに退行じゃない(←こんなに簡略で単純な言葉で書いてないけど)というニュアンスのことが2人の対話であった。ハリウッドとかで語られる多様化を認めよは優等生的で多様化でない人を認めないような息苦しさを感じたがこの2人に語られるそれは世間ってありとあらゆる人や物で出来てるのよね〜という柔らかな受け止め方が出来る感じで、少し世間への見方を考えてみようと思えた。

  • 帯に【「きつい現実」が「ゆるい現実」になりますように】とある。自身がたった今「きつい現実」を抱えているというよりも、そうであろう周囲の人のことが頭をよぎり手に取ることにした。
    読み終わる頃には、すっかり私も星野概念氏のような先生と巡り会いたい!(もしくは、いとうせいこう氏にとってのみうらじゅん氏のような。詳しくは割愛)という気持ちでいっぱいに。きっと私も周囲で起きている「きつい現実」のいくつかの影響を受け取っているのだと気が付いた。

    それにしても、傾聴をベースにした対話のなんと心地よいことか。これまでに何人か出会いのあった精神科や心療内科の先生方にも似た心地よさを感じたことを思い出し、訓練によるそれの凄さと、いわゆる「精神科」というイメージギャップの強さを思い知らされた。
    確かに、精神科への興味は俄然湧いて来たが、いとう氏がそう勧めるように、気軽に行けるかというとちょっと別な気がしている自分がいる。

    後半は、心に関するストレートな話から遠ざかり(また、診療を公開するという設定にも慣れたこともあり)、映画や小説、政治やSNSの話へと。そこでは、我々が日常生活の中でいつの間にか「きつい」に囲まれてしまう心の構造が解かれ、それらを少しでも「ゆるい」に置き換えていける薬がいつの間にか処方されている。しかも、“飲みやすい適量” で。

    …やはり、精神科へ少し行ってみたくなっている自分がいる。うずうず。

  • バックチャネリングという考え方。対話は実はノンバーバルな部分が大切。アグリーしているのに、心がこもってない、と言われることがあったけど、それは私の態度に原因があったのかも、と気づいた。言葉で同意しているのか、心底そう思っているのか。

    共感することが、相手を知る第一歩になる。自分と違う考え方をする人はたくさんいて、その人が何を考えているか、どういう考え方をするのかを聞く。

  • これを読んでも精神科、カウンセリングというものの心理的ハードルはやはり高い。キツくなる前にこそ信頼できる医師を見つけておく、というのがよい。
    プライベートに立ち入られないで世間話ができる(というか聞いてもらえる)相手ってよいなあ。
    精神科の話からもっと大きな話へと広がっていくが、ゆっくり、慎重に、を心がけると大きな問題も減るのではということ。確かに。、、自分も相当せっかち(というか分からないあいまい、モヤモヤな状態が苦手)だから、もっと一呼吸おくこと、慎重になることを心がけていきたい。
    ビジネス書などだと即断とか即レスを推奨されるスピード社会だが、ゆっくり、アナログということが、あえて逆をいくんた!という感じではなく、社会的退行を防ぎひいては戦争までも防ぐのではということはとても印象に残った。そして文化、芸術はゆっくりや慎重な思考を担う促すものという事も。
    いとうせいこう氏の国境なき医師団の話が読みたくなった。

  • もっと気楽に精神科を利用して日々の悩みや鬱憤を気軽に晴らせればいいのにということを二人の対談を通して伝えていくという趣旨の本。
    内容としては今の自分にはあまり興味のあるものであるとは思えなかったが所々になるほどという内容が含まれていた。
    P116自分は人と揉めるのが嫌だから対話を通して解決したいという星野さん。
    明確に人ともめるのが嫌だからと表現できることは新鮮で面白い意見だなと思う。
    P205人との対話にはユーモアが必要。それがないと対立してしまう。
    確かにその通り。いつもユーモアを持って人と接することができる様になりたい。
    P222声が大きい人が声が小さい人を支配してしまう。
    これもよく思う。声の小さい人の言葉がきける人間に自分はなりたいと思う。
    などなどさらっと雑誌感覚で読めるのは手軽でいいかな。

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