ネオ日本食

  • リトル・モア (2024年3月27日発売)
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  • 本 ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898155844

作品紹介・あらすじ

ユネスコ(※)は、
「ネオ日本食」を見落としている。

(※)無形文化遺産に「和食」を登録


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「ネオ日本食」とは:海外から持ち込まれたはずなのに
日本で独自の進化を遂げ、わたしたちの食文化にすっかり
溶け込んでいる食べ物&飲み物。
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B級グルメ、せんべろ、町中華、ヌン活 ──
フード界の次なる最注目キーワードは「ネオ日本食」だ!

かつてパンケーキ・ブームを牽引したトミヤマユキコが見出した“新概念”。
本書は、その歴史・魅力・美味しさを徹底的に取材し描き切った、読みものとしても一級の渾身作です。

さあ、身近なのに広大な「#ネオ日本食」の世界へ!


[登場する店/会社/人とテーマ]
・「ホットケーキ」 珈琲ワンモア
・「パフェ」 浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica
・「たらこスパゲティ」 スパゲティ ダン
・「ランチパック」 山崎製パン株式会社
・「ホイス」 有限会社ジィ・ティ・ユー
・「餃子」 ホワイト餃子 野田本店
・「カツレツ」 ぽん多本家
・「カレー」 インタビュー=稲田俊輔
+ナポリタン、名古屋めし等の論考も!


あなたの好きな、ネオ日本食はなんですか?

感想・レビュー・書評

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  • トンカツ、ラーメン、カレーなど、舶来ながら日本で独自の進化を遂げ、「日本食」の一翼を担うに至った食べ物は多い。そんな外国生まれ日本育ちの日本食を「ネオ日本食」と規定して、ネオ日本食を生み出し、(撞着的ながら)守り続ける全国の人々を取材した一冊。登場するのは目黒ダンのたらこスパゲティ、野田のホワイト餃子、白金に本社・工場を持つホイス、ヤマザキのランチパックなどなど。単に食べ物の蘊蓄だけではなく、その背景にいる「人」を描いたことで、巷のグルメ本とは一線を画した。収められている写真も魅力的。夜中に読むと食べたくなるのが難点だ。

  • ネオ日本食ということばが良かった。
    日本で独自に発展を遂げた食べ物。ナポリタンを食べたくなった。

  • 2024 リトルモアのnoteでの連載「ネオ日本食ノート」から着想を得た、書き下ろし

    トミヤマユキコ

    確かに、和食と日本食は違っていて、私たちの周りには日本食があふれて、好まれている

    餃子、カレー、スパゲティ・ナポリタンなど
    どれも海の向こうからやってきてこの土地に根付いた「ネオ日本食」ばかり p2

    しかしそのモノだけでなく、「ひと」にもフォーカスした

    ネオ日本食の多くは、戦後のドサクサ期にネオっているため、戦争の話も多い

    おいしいものを届けたいというまじめさと、まじめであるがゆえに、どんどん創意工夫をふるネオらせ力と、元のものとはちがっていてもおいしければヨシとする肯定のマインドが奇跡のようなバランスを保っている

    和食の定義は〜  海外にアピールしたい和食
    多様な新鮮な食材とその持ち味の尊重
    健康的なな食生活を支える栄養バランス
    自然の美しさや季節の移ろいの表現
    正月などの年中行事との密接な関わり

    ホットケーキ 珈琲ワンモア@平井 
    パフェ Typica @西荻窪
    たらこスパゲティ スパゲティダン@目黒
    ランチパック 山崎パン@岩本町
    ホイス 有限会社ジィ・ティー・ユー@白金
    焼餃子 ホワイト餃子 野田本店@千葉野田
    洋食 ぽん多本家@上野

    ネオ日本食は歴史や伝統に囚われすぎないある種の「飛躍」があってこそ新しいうまみを生み出させるというのがわたしの考えなのだが〜p36

    「僕たちがやりたいっていうよりかは、需要に合わせて店の形を変えていったんです。それがすごく楽しくて。どうやったら喜んでもらえて、どうやったら利益が上がって、けどまあ僕らの体力もあるしな、って考えるのが楽しかった。すべて自分のコントロール下にあって、幸福感が高かったんめす。他人に介入されずに、完全に自分たちでできるっていうのが、性格に合っていました。p37

    世の中の流れに振り回されるどころか、むしろ試行錯誤することをとことん楽しんでいる。

    愛すべき「飛躍」


    本当に柔軟だと僕らも思いました。p75

    日本にいて、日本にあるもので、おいしくするp80

    〜風という言葉による独自解釈 p82

    成功する人は、語学と地頭の良さ

    官僚になる道を絶たれて、さぞかし悔しかっただろうと思いつつも、わたしは別のことをかんがえていた。
    語学堪能
    頭脳明晰
    介入の早さと展開
    自分の信じるおいしさを追求するタフネス
    p130


    エリックサウスマサラダイナー神宮前

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000069724

  • ネオ日本食という概念を新しくまとめ上げ、丁寧な取材のもとに名店等を紹介

    和食という仰々しいものではなく、むしろB級だったり、馴染みすぎていて洋食と勘違いしていたり、元は海外だろうけど日本独自で発展をしている食べ物を取り上げている。

    商品開発の物語であり、現代日本の食文化論であり、美味しいお店の紹介でもある。

  • 「ネオ日本食」。
    すでに存在している日本の食べ物を新たな見方で捉え直した新しい概念への気づきなんだけど、確かに言われてみると「ネオってる」。

    本書はその定義づけや紹介に留まらず、その「ネオ日本食」がどういう変遷を経てそこに辿り着いたのかを、生み出した人たちのバックグラウンドごと纏める内容になっていて面白い。
    単にワードや事実の説明にせず、人間模様が文脈として読み込まれていくことで「ネオ日本食」が立体的に見えてくる。その成り立ちはとても血の通った文化的行為なのだなと思った。

    貴重な街場の記憶の記録だとも思うので、シリーズ化して単行本として続編も期待したい。

  •  いつも聴いているpodcast番組に著者のトミヤマユキコさんがゲスト出演していて紹介された著作です。
     トミヤマさんが命名した「ネオ日本食」とは、「海外から持ち込まれたはずなのに、日本で独自の進化を遂げ、わたしたちの食文化にすっかり溶け込んでいる食べ物&飲み物」とのことですが、トミャマさんは本書にて、その「ネオ日本食」そのものにとどまらず、「ネオ日本食」を産み出し提供し続けている “人” や “家族” にもスポットをあて、その魅力を余すところなく描き出しています。
     とても興味深いエピソードや蘊蓄が満載の内容です。

  • 続編期待!日本独自にガラパゴス化に進化をとげた多くのメニュー。ネオ日本食は筆者の定義では「海外から持ち込まれたはずなのに日本独自の進化を遂げ、日本の食文化に溶け込んだ食べ物&飲み物」。
    ホットケーキ、パフェ、たらこスパゲティ、ランチパッ(山崎製パン)、ホイス、ホワイト餃子、とんかつ(ぽん太)。
    丹念な取材に裏付けられた濃厚な一冊。

  • 洋食のことかなと思ったら、餃子やカレーも扱っていて、確かにそのジャンルの総称はまだなかったな!と思った。ホワイト餃子、食べてみたい。
    言語感覚、特に造語の感じから「おいしいもので できている」の稲田俊輔氏を思い出していたら、最後に著者との対談があって嬉しくなった。良いな、蕎麦屋みたいにカレー前のあるカレー屋。

  • 日本食というと和食が浮かんでくるが、ナポリタンはイタリアのナポリのお店に行っても食べることはできないので、洋食風の日本食と言ってもいい。





    今回の本は、海の向こうからやって来て日本に根付いた「ネオ日本食」にフォーカスしている。




    ネオ日本食の多くが戦後の混乱した時代にネオっているため、「食べ物と戦争」が裏テーマになっていると、著者は述べている。





    最初に登場するのは、JR総武線平井駅近くにある喫茶店「珈琲ワンモア」。





    昔ながらのホットケーキを食べることのできる店として有名。




    創業は1971年で、2015年に「マツコの知らない世界」で、マツコにホットケーキを提供したことがある。





    ワンモアを開業する前、渋谷にあった喫茶店「マウンテン」で働いていた。





    戦後の混乱した時期だったので、食べ物が自由に手に入らなかった。





    近くにワシントンハイツというGHQの将校クラスが住んでいる兵舎があり、そこからの横流しされたものを扱っていた闇屋があった。





    そこへマウンテンのマネージャーが足繁く通って、おいしい缶詰めなどを仕入れてきたとマスターの福井明さんは語っている。






    そのマウンテンでは、たまにホットケーキを作っていたそうだ。





    ホットケーキの作り方見て覚えるしかなかったと述べている。





    ワンモアのメニューは、ホットケーキ以外にはトーストとサンドイッチがあるくらいで、著者はどうしてメニューを増やさないのか聞いた。





    すると福井さんは「それ以外のものは邪道」と教えてくれた。




    その理由として、コーヒーの匂いを消してしまうような食べ物はアウトとおっしゃっている。






    ホットケーキについ注目してしまうが、コーヒーにもこだわりがあった。





    自家製の深煎りコーヒーは、キッチン脇にある直火型焙煎機で作っている。





    長く喫茶店の世界で働いている人だけに歴史がある。





    他に取り上げているものを見たら意外なものを発見。





    それは山崎製パンで製造している「ランチパック」。




    「ネオ日本食発生装置」とは思いつかなかったなあ。

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著者プロフィール

1979年、秋田県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科に進み、少女マンガにおける女性労働表象の研究で博士号取得。ライターとして 日本の文学、マンガ、フードカルチャーについて書く一方、東北芸術工科大学芸術 学部准教授として教鞭も執っている。2021年から手塚治虫文化賞選考委員。

「2023年 『労働系女子マンガ論!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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