日本は侵略国家だったのか ─「パル判決書」の真実 (渡部昇一ベストセレクション 歴史1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898311769

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  • 東京裁判という言葉を初めて知ったのは大学1年生の時で、当時のテニスサークルの友達からオールナイトの映画で誘われたのを覚えています。恥ずかしながら殆ど寝ていたのですが、数年前にレンタルDVDで見る機会があり、凄い裁判だったと認識を新たにしました。

    さて、この本では渡部氏が日本が侵略国家であったかどうかについて、東京裁判をどのように捉えるべきかが重要であるということを解説しています。東京裁判における日本側の主張は残念ながら取り上げることは少なかったようですが、判決の後に勃発した朝鮮戦争によってマッカーサーは日本の意図を理解したようでした。

    歴史を他国の人と共有するのは難しいと言われる中で、あの時の日本の行動はどのような意図を持って行われたのかを理解して、自分としての意見を持っておきたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・朝鮮戦争がはじまって、東京裁判における日本側の弁護人たちの主張は全く正しかったことを、マッカーサーは実感した(p3)

    ・日本国内においていまなお東京裁判史観がマスコミの主流をなしているのは、1)敗戦利得者が社会の重要なポストに多く残っている、2)サンフランシスコ講和条約に反対したがいる(p5)

    ・戦争犯罪は3つ(A,B,C)に分けられるが、BC級は東京裁判では扱われなかった、B級は捕虜虐待などの通例の戦争犯罪の指揮官、C級はその命令を実行した者、A級は「捕虜に対する監督不行き届きの罪=通例の戦争犯罪」がメイン(p26)

    ・欧州の「中世」とはカトリックによってつくられた時代、カトリックに反対するプロテスタントは中世は暗黒時代とする、奴隷制度を廃止した中世が抜けているので、古代に存在した奴隷制度がアメリカで復活し、中世独特の騎士道精神は抜けた(p29)

    ・昭和24年頃には、占領は最低でも25年、おそらく50年は続く、日本には農業と軽工業しか許さない状態が続くと見られていた(p34)

    ・東京裁判が問題になるのは、日本でマッカーサー証言が報道されなかったことが大きく影響する(p37)

    ・普通の民家まで破壊する準備を手掛けたのは、イギリスとアメリカのみ、日本とドイツは爆撃機のエンジンが2つ、攻撃対象は軍事施設程度になる(p68)

    ・昭和20年9月2日からは休戦で、昭和27年に発効したサンフランシスコ講和条約によって終戦となる(p71)

    ・日本が宣戦の対象としたのは、英米二国であり、ソ連やオランダにも布告していなかった、オーストラリアはイギリス連邦のからみから日本へ宣戦布告した(p82)

    ・東京裁判は、反対尋問を設けないで伝聞証拠が採用された(p98)

    ・ニュルンベルク裁判はドイツという国家ではなく、ナチスという政党、一つの政党なので共同謀議が成り立つ、日本の場合は、政友会や民政党等の敵対する政党が組閣しているので、共同謀議はあり得ない(p117)

    ・日清戦争で割譲された遼東半島は、旅順や大連がある半島部分だけではなく内陸まで含まれていた、当時の日本人が喜んだのは人口問題が解決するから(p127)

    ・9か国条約は明確な満了期限を規定していないので、国際法によれば「現状の持続する限り」という黙契条件によって結ばれたことになる(p133)

    ・海上作戦は陸上と違って、純粋に文明レベルの戦いであり、文明度が高い方が強い、当時、航空母艦6隻を主力とする機動部隊が6000キロを走破し、大空襲を敢行するという発想は世界になかった(p212)

    ・ハワイのアメリカ軍は油断はしていたが、日本の特殊潜航艇が真珠湾に入る前に沈められていたり、第二次空襲のわずかのあいだに高射砲で応戦できたのは、臨戦態勢をとっていたから(p213)

    ・南京が落ちて漢口まで200回もの外国人記者との記者会見を蒋介石はしているのに、南京虐殺をしていない(p231)

    ・マレーにおいて10万のイギリス軍が3.4万の日本軍に降伏したので、捕虜の管理は難しかった(p232)

    ・東京裁判を受け入れたのではなく、東京裁判の諸判決を受諾したのが正しい(p248)

    2012年6月2日作成

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著者プロフィール

昭和5(1930)年10月15日、山形県生まれ。上智大学大学院修士課程修了。独・ミュンスター大学、英・オックスフォード大学留学。Dr.phil.(1958), Dr.phil.h.c.(1994)。上智大学教授を経て、上智大学名誉教授。その間、フルブライト教授としてアメリカの4州6大学で講義。専門の英語学のみならず幅広い評論活動を展開する。昭和51年第24回エッセイストクラブ賞受賞。昭和60年第1回正論大賞受賞。平成29(2017)年4月17日逝去。享年86。

「2018年 『平成後を生きる日本人へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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