渡部昇一の昭和史 正 (WAC BUNKO 92)

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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898315927

感想・レビュー・書評

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  • 今までの目線とは異なった目線で書かれた近代史、昭和史の本
    今までは、日本は、アジア、欧米に対して、戦争で悪いことをしてきたから、ちっちゃくなっていくのが基本だった。

    でも、そのような見方は実は誤りなんだと気づかされた本。

    印象に残った具体例としては…

    ○明治憲法
     不磨の大典として扱われてしまったため、改正するという概念がなかった。明治憲法を作った伊藤博文も、欧米に並ぶため、突貫でつくった意識はあったはずで、いずれは改正されるだろうという考えはあったと思われる。現状、欠陥があっても元老たちがいるから歯止めがきく。
     しかし、その元老たちが死去した後のことを考えていなかったのは悔やまれる。
     最後の元老、西園寺公望が亡くなってから、軍部の歯止めがきかなくなっていった。

    ○ジョン万次郎への扱い
     アメリカから沖縄へ戻ったのであるが、通常なら死刑にあたるものの、薩摩の属国の沖縄だったため島津斉彬が接見。
     アメリカにいただけあって、欧米、海外の情報をかなりもっており、それにすぐ気づき、死刑にせず。柔軟性があった。

    ○財閥
     欧米に追い付くため、財閥への優遇策をとる。なぜならば、中小企業が集まったところで欧米にはかなわない。
     ならば、大企業、すなわち財閥へ優遇策をとり、さらに大きくならせることで、欧米に対抗できるようにした。
     この手法は、韓国の朴正煕大統領も真似る。
     今の、現代、三星、大宇がまさにそれ。
     1960年代、韓国は朝鮮戦争が終結したのにもかかわらず、北朝鮮にも遅れをとっていて、GDPもアフリカ並み。
     打開策として真似た。

    ○井上馨
     井上と三井財閥の癒着はすさまじかったらしいが、それは財閥を優遇することで、欧米に対抗できるようにしたためやむおえないこと。
     日本国内でかなりバッシングがあったみたいだが、それには一切気にかけず、海外での自分の評価を気にしていて、かなりグローバルと言える。
     そのような政治家は、吉田茂くらいだったのでは。

    ○日露戦争
     日露戦争は、もともと日本はロシアに対して物量の点で劣っていると感じていたため、いつどのタイミングで終わらせるかを常に考えていた。
     よって、当初から当時友好的なアメリカを仲介役として、ロシアとの戦争終結へ向けて交渉を重ねていた。
     かなりの外交センスがあったと思う。
     太平洋戦争、日中戦争みたいにどうやって終わらせるか全く考えずに始めた戦争とは違い、すごいことだと思う。
     
     何か物事を始めた以上、終わりを見据えながら行うものだと思うが、当時は本当に優秀だった。

    ※この本は、従来と違った歴史の見方をしている。
     真実を見る目は本当に大事と感じられた。

  • 本はどうして太平洋戦争を始めたのだろうか?どうしてあんな悲惨な結末になったのか?
    戦前の日本は好戦的な国家だったのか?

    その理由をさぐるべく明治維新から歴史を見直すのが本書

    教科書では知ることのできないどうしてそうなった?の部分が詳しく書かれているので出来事出来事の間を有機的に結びつけて理解することができます。

    以下、自分メモ

    戦争をするときに考えなくていけない大事なことは、どうやって戦争を終わらせるかを予め決めておくこと。

    これができた日露戦争は勝つことができた。太平洋戦争ではできなかった。

    内閣が機能していたから戦争は止められた。軍人は戦争はできても戦争を終わらせる術を持たない。

    明治憲法には内閣に関する規定がなかった。明治政府設立当初は元老の権威があったので内閣の機能を維持できた。
    伊藤博文らの最大の失敗は維新の英雄達のいなくなった後のことを考えていなかったこと。

    日本が自衛のために大東亜戦争を始めたきっかけ
    アメリカのホーリー・ストーム法による関税高税率による貿易活動の低下→イギリスなどの植民地を持つ国のブロック経済→自給自足経済確立のため、東アジアへの進出→ABCD包囲網→アメリカとの開戦

  • Amazonで以前読んだ昭和史モノの半藤一利氏の著書の書評欄で半藤氏は偏った見識で渡部氏の本書が正しいとの意見を書いている方がいたので、これは偏った意見だけ読んでいてはいけないと思い読んでみました。

    内容は大変勉強になりました。
    明治維新から東京裁判までの出来事をわかりやすく日本人目線(ココ重要)で解説してくれます。

    しかし文章としては半藤氏の文章の方が好きだな。
    半藤氏は歴史ドキュメントという感じだが、渡部氏は歴史エッセイという感じ。

  • 近代日本史を教科書で教わってきた僕らの世代は、肝心なことになればなるほど日本の言い分を知らず、世界から見てどうだったって事実だけを暗記してきた。
    おかげさまで、日本は"敗戦国"として世の中に認知され、僕たちは靖国に参拝するだけで是非を問われるような、とても世界に「日本が好きだ」なんて大声出して言えないような心象を持ってしまっている。

    でも、本当にそうなんだろうか。
    もしペリー来航時に戦いを挑んでいたら、明治維新が失敗に終わっていたら、日清・日露戦争で世界に無様に負け姿をさらしていたら、、、日本はきっとこんなに(世界的に見たら)平和で安全に生きていける国になってない。
    日本には日本の歴史があって、他国の文化を取り込んでいくだけの素養・見識を持った人物がいて、好奇心旺盛で技術力の高い、そして組織としてのまとまりを重んじる民族性があって、はじめてアジアの中でも欧米の植民地と化さなかった。
    国内で対立もしたけど、「日本はこれからどうしていくべきだ」ってことを本気で考えてた人たちが確かにいた。
    そんな人たちの尽力のかいもあって日本は開国から数年で欧米にすぐさま並んで、世界的な流れの中で欧米との政治的な意味合いもあって占領した国もある。でも、その国のことを日本は考えて、基盤となるインフラをちゃんと整備して、下手な真似を一切せず、いまだに日本に対して親日感情を持ってくれてる国だって多い。欧米が植民地にした国は何も整備されず、搾取されただけだ。どっちが相手の国のことを考えてるって言えるんだ?

    日本人は南京大虐殺で20万人の中国人を殺したことになってるけど、当時の資料では南京には5万人しかいなかったそうな。どうやって20万人も殺すんだ?数の問題じゃないと言っても、ほとんどの民間人を日本人は殺していない。世界的に、戦争をする際には民間人を守る為に兵隊は軍服を着ることになっている。それをしなかったのは、ゲリラ戦術を取ったのは中国じゃないか。ゲリラ戦をしかけられれば、戦ってる相手は怪しい民間人は殺さざるを得なくなる。それで「民間人を殺す日本人」というのは、全く間違ってる。だから、この南京大虐殺だって、原爆を落として20万人以上の犠牲者を出した国が、自分たちだけが殺したわけじゃない、日本だって同じようなことをやってるじゃないかって言いたいが為にでっちあげた事実だったんじゃないかってことがここ数年公開されてきた資料から明らかになってきてる。

    そして、外務省のボロボロの状況も。外務省に親が勤めている人は、海外赴任が多いので日本以外の場所で幼少を過ごして、その間に仲良くなった人たちがまた海外での経験を活かして外務省に入っていって・・・結局、外務省は血縁関係や昔から知っている人たちが集まって温床化してしまって、自分たちの先人がした過ちを認められる状況じゃない、と。
    真珠湾攻撃が日本の意に反して奇襲攻撃になってしまったことは、前日の夜米国赴任していた外務省の人たちが誰かの送別会のために仕事そっちのけで飲み会をしていて、翌日の定刻までに「宣戦布告」って外務省として一番大事な仕事を果たせなかったことが原因になっていて、今でもそれが日本国民全員の泣き所になっているとしても、自分たちを守る為に謝罪一つできない人たちが集まっている、と。

    そんなことが書いてある本です。
    俺はこれを読んでものすごく為になったし、日本には日本の言い分があって、歴史の中でそうやって振舞ってくれた先人たちに感謝したいと思いました(一部のダメ日本人を除いて)。日本をもっと好きでいていいんだなって思えるようになりました。いい本だと思います。自分たちの先輩って、すごい人たちいたよ。彼らが必死で守りたかった日本の今の現状を見せたら、ガッカリされるかもしれない。でも、その国で笑って生きてる自分たちがいることを、もしどこかで会えるなら見せてあげたいなと思います。
    そして、そんな先人たちに負けないように、自分たちもこれからの世代の為にできることをしていけたらいいのかなと思いました。

    この本は、今まで生きてきた価値観を変えることになるかもしれない1冊になると思います。
    時間がない人でも興味のある人がいたら、予定キャンセルしてでも読んでみて欲しいと思った本でした。

  • おもしろかった〜♪目からうろこでした。
    なーんだ、日本人はそれほど悪くなかったんだ。
    日本は中国、朝鮮を始めとするアジア諸国に謝罪ばかりしているので、
    私たちも戦争中に日本人が引き起こした悲劇についていやというほど知らされ、
    少し卑屈になりすぎているところもあった。

    確かに「三たびの海峡」のようなことや従軍慰安婦という被害者もいたでしょう。
    でも渡部氏曰く、それは日本が国家としてあるいは軍が連れてきたのではなく
    朝鮮の業者があっせんしていたものだという。
    それを日本に謝罪や慰謝料を求めるのはおかしいと。
    彼によると南京大虐殺も東京裁判を正当化させるための作り事だったという。
    そしてその根拠もあげている。

    日本人は人がいい。良く言えば協調性があり、悪く言えば日和見主義。
    そんな国民性の日本が、なんの理由もなく、ただほしいだけで他国を侵略するわけがない。
    日本が戦争することになった主な理由は
    ・朝鮮を独立させ、西側諸国の手に落ちないようにすること。
    ・西へ進むに日本軍を見て、アメリカ等列強国が、「日本には何も売らない」という作戦に出たこと。

    渡部氏の意見を鵜呑みにするのは危険な感じはするが、あのアメリカならやりそうな・・・
    なるほどーーーと思うところ満載です。


       (その後の湾岸戦争、イラク戦争など見ているとますますなるほどーーです。)

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著者プロフィール

昭和5年鶴岡市生。旧制中学のとき恩師佐藤順太先生に出会い、英語学、英文学に志して上智大学に進学。昭和30年(1955)英文学科助手。同10月西ドイツ・ミュンスター大学留学(大学院博士課程)。英語学・言語学専攻。 1958年Dr. phil. magna cum laude の学位を受ける。昭和46年 (1971)上智大学文学部英文学科教授。平成13年(2001)上智大学名誉教授 。 平成29年 (2017) 4月逝去

「2022年 『アングロ・サクソン文明落穂集 12』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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