私は、なぜ日本国民となったのか (WAC BUNKO 117)

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  • ワック
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898316177

作品紹介・あらすじ

「わが日本人よ、国家意識をもちなさい!」いま、彼女は、日本人としてこの国の最前線で戦おうとしている。

感想・レビュー・書評

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  •  日本の高校マーチングバンドが、台湾で旋風を巻き起こしたことから台湾に興味を持って読み始めた。
     著者については、真っ当な目線で日本を見つめている親日家として知ってはいたが、著者の考えに触れて、日本人自身より外国人の方が日本を深く分析理解出来ていると感心した。
     現代日本人は、クローズアップされた社会の一部だけを見て自分の不幸を嘆き、真実から目を逸らし、個の幸せのみを追及して公を蔑ろにしているのではないかと改めて気付かされた。
      

  • 日本のことをあまり知らないで、テキトーに日本のことを悲観的、自虐的に見る若者ってどれだけいるだろう。この本を読んで、日本人であることに誇りを持つとともに現在の日本の台湾に対するスタンスに羞恥心を覚えた。

    涙腺刺激されまくり。みんな読んだ方がいい。

  • 台湾人として生まれ、戦後中国人率いる国民党の支配、弾圧を経験し、中国人による支配と戦った著者が、なぜ日本に帰化したのか。著者が今日本人に国家意識の大切さを語りかける。

  • 今年の「正論」1月号に金さんの「私はなぜ日本国民となったか」という一文を見つけ、ただちに店頭で立ち読みした。われわれはいつだって外国人から教えられて気がつくのろまなのだ。いや気がついても、なお気がつかないのろまなのだ。

    1.私はなぜ日本国民となったのか
    2.台湾人に生まれた悲哀
    3.台湾独立運動に身を投じた五十年
    4.台湾人の「日本精神」
    5.「国家意識」なき日本人へ

    という内容なのだが、彼女はこの50年間いったい何をしてきたのか、というと、中華帝国と闘ってきたのだ。彼女にとってそれは切実な問題だった。彼女はそれがために母国に帰ることすら最近までできなかったのだ。
    言ってみれば、思想犯ということだ。李登輝さんが主席になってもそれは直ぐには実現されなかった。しかし李登輝さんは実に我慢強く主席として台湾の民主化に努め、ついに金さんは国へ帰ることができるようになったのだ。しかし、李登輝さんが引退し、代わって政権をとった陳水扁さんは期待を裏切り、遂に国民党の復活、馬英九さんが政権を握り、対中融和政策をとるに至り、金さんは母国に絶望したそうだ。案外国内にいる台湾人にも世界は見えていないのかもしれない。中国の正体というのは、誰でも分かっているはずだ。最近でもチベットに対する対応、ウイグルに対する対応、民主化運動家に対する対応、あちらこちらにその正体は出ている。問題は中国という国は悪気があってやっているのではないということだ。彼らはそれが自分たちの生きる道なのだ。何千年もそうしてきたのだ。我々は内田樹氏のいう「辺境」にあって、それに二千年も対抗してきたのだ。しかし、太平洋戦争の敗北により、民主化という名のアメリカ化が行われ、アジアの中の極悪人として教育され、我々は台湾人から、「国家意識」のない国民と呼ばれるようになってしまった。ちょっと前には「愛国心」という言葉が少し流行ったこともあった。しかし、それと「国家意識」とは少し違う。もう少し相対化された概念といったらよいか?
    いずれにしても、金さんは対中国戦線を台湾から日本に移し、今後も闘うために日本国籍をとったという。
    有名な二・二八事件を経験した金さんなら当然だと思える。公表二万八千人が虐殺された事件だ。当時日本軍と蒋介石率いる中国軍とを直接比較することのできた台湾人からみると、それはあまりにも違うものだったという。
    つい昨年もNHKによる台湾に関する偏向番組があった。たまたま見る事が出来たが、見ながら愕然とした覚えがある。誰が見てもこれはおかしいんじゃないのか、と思えた。司馬遼太郎さんの「台湾紀行」などを読んでいる人ならば、これは意図的な捻じ曲げ報道だとしか思えないはずだ。
    そんなことが「いまだに平気で行われることが可能だ」ということがわかった。このことに愕然としたのだ。日本は平和で民主的な、そして先の戦争でわかった思想統制の恐ろしさ、また山本七平氏や内田樹氏のいう「空気」というものに左右されやすいお人好しの国ではない。戦後は終わったというものの、「国のかたち」が出来ていない国なのだという気がする。
    金さんの生き方から、われわれはこの「国のかたち」をつくるために、たくさん学べる。そして金さんが同じ日本人になったということに勇気づけられる。

  • デタラメな女占い師の代わりに、この人がずっとメディアからいろんな言葉を発していてくれたらきっと日本はもっと再生していたんじゃないかなと思う。金美齢さんは安心して、耳を傾けられる数少ない誠の言葉を話してくれる人だと思う。そんな金先生が日本国籍を取得して思った事を綴った本。パスポートのありがたさや台湾で自然と使われた「日本精神」と「中国式」という言葉の意味が印象的だった。金先生はそうは書いてないけど、中国式になりつつある日本に、今一度台湾で語られたよき「日本精神」を取り戻したいなと思った。

  • 日本について知りたくて読書。

    著者の本は数冊読ませてもらっている。その中でも著者の生い立ちから帰化までを詳しく紹介している1冊。

    あとがきに代えてで取得した日本のパスポートについて書かれている。私も2001年に初めてパスポートを取得して海外へ行くようになった。しかし、それでも比較対象がないのでビザなしで入国できるのは当然くらいに思っていた。その後、外国籍の知り合いと接するようになって、日本のパスポートの力、つまり、それが日本の国際信用力なんだと知った。

    感銘を覚える内容にいつもファーストクラスを利用しているなんてさらっとを書き入れるあたりが実に著者らしくていい。

    著者からは日本について考えさせてもらえることが多い。本書に登場する思考停止の代表格の故松井やより氏とのやりとりや、靖国神社での講演は、YouTubeに残っている。いずれも著者の方が筋目が通っていると私は思う。

    日本人が台湾について反省するべきは戦前よりも戦後。これは多くのに日本人が認識していない。東日本大震災での台湾からの多額の支援などで、日台関係が話題となっているが、私も含め日本人はもっと台湾を知る努力をする必要があるのだと思う。中国が大国になりつつある今だからこそ。

    台湾の将来に失望し、帰化した著者。しかし、期待していた自民党の政権復帰と安倍晋三氏の総理再任は実現した。著者には今後も元氣に日本人に厳しく指摘をし続けて欲しいと願う。

    読書時間:約1時間5分

  • 私は、なぜ日本国民となったのか (WAC BUNKO) [単行本]
    金 美齢 (著)
    1934年台湾生まれの金美齢は、1959年に早稲田大学文学部に留学した
    10年在学したとのことなのでキャンパスですれ違っているはずだ。

    在学中に台湾独立運動に參加,夫とともに活動を続けた。
    しかし2009年に日本国籍を取得している。

    なぜか?
    台湾独立運動は、戦後台湾を支配した中国、国民党政権への抵抗であった。
    活動参加者は、強権政権による突然の逮捕、死の危険があり、長く帰国することも出来なかった。
    金美齢自身、父の臨終にも立ち会えず、葬式に出ることも出来なかった。帰国できたのは31年後であったという。

    チベットやウイグルをはじめ、周辺を飲み込んでゆく中華思想、国民党及び中共中国に対する、明確な拒否がバックボーンとしてある。

    その台湾が今、馬英九親中国政権になり、経済的に、そして次には政治的に中国、中共に飲み込まれようとしている。
    「チベットで起きていることは、将来、台湾にも起こる」
    中国に抵抗する次の最前線は、今や日本である。日本人としてその抵抗を実現するしかない・・
    台湾独立の可能性が見えない台湾の現状への諦めがあり、その苦しさを抱えながら踏み出した新しい一歩がある。

    尖閣諸島どころか沖縄は中国のものだであるという中国人の主張はもう始まっている。その次は日本の「徳化」なのだ。と日本人に警鐘を鳴らしている。

    日本の台湾への向かい合い方は、戦前よりも戦後が問題である。
    日本人は1945年と1972年と2回台湾を見捨てている。
    普段、ほとんど関心も持たずに来ている。

    日本統治時代台湾には、産業が興り、本土より早く上下水道が整備されるなど
    日本文化、日本精神が育っていた。それは良いものであった。
    今の繁栄の基礎は日本統治時代に作られたものだ。

    中国と日本の決定的な違いは「公」という観念の有無だ。

    「台湾で終戦を迎えた11歳まで私は日本の勝利を願う軍国少女であった。」
    「台湾に自由化、民主化をもたらした李登輝元総裁の兄をはじめ
    靖国神社には27800人の台湾人が合祀されている。」
    「靖国神社を思う時の私は、日本と台湾という二つの祖国の歴史が重なりあう中に、居場所を感じていたのである。」

  • 日本人で、生まれ 育った 私は 今 一度 自分の 国を 愛すべきだと痛感 した。 日本人で あることに 背筋を 伸ばして 堂々と 生きて行きたい。この本に 出逢えて 感謝してます。

  • 台湾のこと全然知らなかった。
    日本とどういう関係があって現在に至るのか。

    もっと自分の国のことを好きになっていいんだなあ。
    戦前の日本精神に恥じないように日本人として生きたい。

  • あたりまえを実感するのは難しい。あたりまえのことがあたりまえでなくなるかもしれない事を考えさせてくれた本。

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著者プロフィール

金 美齢(きん びれい)
1934年台北出身。59年に来日し早稲田大学第一文学部英文科入学、71年に大学院文学研究科博士課程修了。多くの大学で講師を歴任、早稲田大学では20年以上英語教育に携わる。75年ケンブリッジ大学客員研究員。88年にJET日本語学校設立。2000年には台湾総統府国策顧問に就任。2009年日本国籍取得。現在は評論家として活動を続けている。著書に『凛とした日本人』『家族という名のクスリ』(PHP研究所)、『戦後日本人の忘れもの』(WAC BUNKO)、『夫婦純愛』(小学館)他多数

「2020年 『愛国心 - 日本、台湾ー我がふたつの祖国への直言 -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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