2012年、中国の真実 (WAC BUNKO 155)

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  • ワック
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898316559

感想・レビュー・書評

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  • 今後10年以内の中国の経済動向がどうなるのかとても興味があります。私が勤務している会社は製造業であり、グローバルで見た場合には、中国やインドの経済発展が業績にかなり関係してくるので、個人的には今までのように順調に発展していって欲しいと思っています。

    また、中国の将来については、日本の経済予測以上に、楽観論と悲観論が分かれているような気がしますので、現時点では両者の言い分を公平に理解しようと努めています。

    この本の著者である宮崎氏は、この本を書くために都市部のみでなく、地方都市に何度も足を運び、自分の目で見てきたとのことです。

    この本で書かれていることは、5年以内には是非が明らかになると思われますので、今後とも中国経済に注目して社会人生活を送りたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・ユーロの失敗はギリシア、スペイン等の経済失墜が原因でなく、欧州中央銀行の金利政策(引下げ)である(p5)

    ・中国は自由闊達なプライベート部門が希薄、重要産業には自由競争が不在、資本主義でも市場経済でもなく、国家統制国有企業優先メカニズムが機能する(p7)

    ・高速道路は寒村僻地にもつくる、新幹線(北京ー上海)は営業開始1週目で乗車率2割で赤字(p8)

    ・新幹線の新駅は、旧市内からアクセスが悪すぎる、北京西駅や上海虹橋駅も同様、ただし上海ー南京、上海ー杭州は異なる(p28)

    ・北京ー上海間の新幹線工事費(4兆円)は、世界最大の三峡ダムよりも多い(p35)

    ・水力ダムは全土に22万あり、そのうちの2万数千は決壊している、2010年7月の豪雨では、毎秒7.9万トンの放水をしたとき、水しぶきが150メートルとなった(p39)

    ・中国は中央銀行と財務が直接、債権回収機構を設立して、不良債権を買い取り国有銀行の帳簿を身軽にした、バランスシートを綺麗にして3つの大手銀行は香港に上場した(p57)

    ・日本の銀行は株式は100%取引されるが、中国の銀行は大半の株式を依然として国家が保有しているので、市場では30%しか取引されない、外貨準備から資金投入される(p62)

    ・中国の1人あたりGDPが2030年までに1.6万ドルになる前提条件として、内需拡大・貯蓄抑制・消費促進等の改善が必要(p65)

    ・西側の企業が増資するのは工場の増設等の事由によるが、中国の場合は不良債権処理のため(p67)

    ・中国で工業化に成功した都市(大連、天津、青島、福州、アモイ、上海、杭州等)は天然の良港をかかえる前提条件があった(p73)

    ・中国都市部でバブルが崩壊しても、これからバブルが開始する地方(黒竜江省、吉林省、遼寧省の東北三省)がある(p96)

    ・黒竜江省では、工員の給料はベテランでも3000元、女給見習いは月500元(p102)

    ・中国で「愛人」は女房、「情人」が愛人、「セフレ」は情婦(p141)

    ・中国では、実際には1万人が海外移住して、4000億ドル前後が外貨準備から消えた(p146)

    ・過去5年間に人民元の対ドルレートは30%前後切り上げとなって、輸出競争力を失い、さらに賃金上昇が重なって浙江省の繊維産業は斜陽産業になった(p163)

    ・台湾中文大学教授の朗教授によれば、中国GDP成長率9.1%はウソで、本当はマイナス10%、インフレ率:6.1%も、16%とコメントしている(p178)

    ・ごまかしが難しい数字である、電力消費量、石炭消費量、コンテナ取扱高等を使うと、過去20年間のGDP平均成長率は、3-4%になる(p179)

    ・通貨供給がGDPの2倍近い、インフレをこれで抑える高金利政策がとれないとすれば、通貨人民元を引き下げざるを得ない(p213)

    2012年2月25日作成

  • 人民元の国際化に伴い、世界基準の情報開示がなされてゆくことが求められてくると思うのですが、その過程で欧州問題より金額的に大きいかもしれない問題が表面化したとしたら。。。日本はまず無傷ではいられないでしょう。(あの手この手を使って表面化はさせないようにするのかも知れませんが。)

  • 2012/04/27:読了。
    あまり印象に残らない本だった

  • 宮崎正弘 (著)
    いよいよ中国バブルの大崩壊が始まった!

    ガラ空きの工場団地、幽霊屋敷のようなショッピング街、住民がいない団地。GDP成長率はマイナス10%、インフレ率は16%?! 中国経済はバブルそのものであり、そのGDPの根幹を支えてきた不動産価格のバブルの瓦解が猛烈な勢いで始まった!
    不動産価格のバブル破綻という問題は、2012年に確実に発生する不良債権の爆発に結びつく。いまはその序奏にすぎない。
    心筋梗塞のような破壊的結果が急襲する事態は不可避的である!

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著者プロフィール

一九四六年生まれ。東京工業大学理工学部卒業。新潟大学名誉教授(情報工学)・工学博士。現在、新潟大学発ベンチャーとして創業した株式会社ラングテックの代表取締役社長として、コンピュータによる文の意味理解の研究、高品質な日英翻訳ソフトや使いやすい英語学習支援ツールの研究開発など自然言語処理の基礎研究から応用研究に至る幅広い活動に取り組んでいる。著書に『日本語語彙大系』(共著、岩波書店)、『言語過程説の探求 第三巻 自然言語処理への展開』(共著、明石書店)など。

「2023年 『言語本質論と個別言語分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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