2015年〜 世界の真実 (WAC BUNKO 202)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898317020

作品紹介・あらすじ

国際情勢の激動の本質は見誤るな!いま、進行していることは、東アジアの「冷戦」の終結だ。つまり、中国と北朝鮮の体制の解体・崩壊が着実に進行しているということだ。

感想・レビュー・書評

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  • 自動車産業が景気を牽引する。
    軍事力も経済には大切。
    シェールガスは、大変大きな革命。
    日本も、メタンハイドロレードが実用化されれば、大きな改革である

  • 明快。でも本当かなあ?

  • 長谷川慶太郎氏が書かれた来年の世界経済を予測している本です。彼の本はもう25年以上読んでいますが、いつも断定調なので読んでいて分かりやすくて気持ちいいです。

    数ヶ月前に「2014年からの予測本」を読んでレビュー書きをサボっていましたが、先週本屋さんで「2015年版」を見つけたので早速読んで、今回は早目にレビューをアップします。

    中国の支援が難しくなり北朝鮮の崩壊、それを支援せざるを得ない韓国、そのために日本の必要とする韓国はその前から日本との関係を修復しておく必要がある、と全てが繋がっているのだなと感じました。

    これは何かに似ていると思ったら、彼が指摘している通り、1989年に起きた東ドイツ崩壊によるドイツ統一と同じ姿ですね。思い起こせば、ドイツ統一はその後に大きな変化をもたらしましたので、これから数十年にかけてアジアを中心に激動の時代を迎えるのだと思いました。

    以下は気になったポイントです

    ・拉致問題は解決済みとしてきた北朝鮮の姿勢の変化は一目瞭然、背景には、東アジアで冷戦が終結するということ(p4)

    ・中国人観光客が買って帰るのは「電気釜」これを中国に戻って売ると旅行代が浮くこともある。中級階級が大金を払うのは高級口紅、人民元を疑っているから(p22、23)

    ・建設現場で最も足りないのは、建設機械のオペレータと技能工、そこで法律を変えてロボット使用を認められないかという動きが出てきた(p30)

    ・日本の金利は0.7%と安く、アメリカは2.9%、日本のメガバンクは、アメリカの貸出金利に1%くらい上乗せして世界の優良企業に貸し出す(p39)

    ・ギリシアは2004年にオリンピックを開催した後に債務が拡大し、ついにはギリシア危機を引き起こしてしまった。したがって、金持ち国しかオリンピックを開けない時代になっている、そこが1960年代と大きく異なる(p42)

    ・石炭ガス化複合発電のポイントは、石炭を「二度使う」、石炭をガス化してタービンを回す、次にガスタービンから出る排ガスの熱で水を沸かして蒸気をつくって回す。三菱重工は、この発電機をつくっている以外に、硫黄酸化物除去技術も持っている(p45)

    ・重粒子線がん治療の装置は、アメリカのGE・オランダのフィリップス・ドイツのシーメンスの3社による寡占状態、現在は、東芝・日立・三菱電機が参入している(p46)

    ・2013年にアメリカがシェールガスの対日輸出を認めた、それまではFTAを結んでいない国への輸出は禁じていたから大きな政策変換である。2017年から大阪ガスと中部電力が年間440万トン、第二号は東京ガスと住友商事が230万トン(p47)

    ・シェールガスの輸出のためには、ガスをLNG化する設備を整える必要が有る、これには、日揮・千代田建設・鹿島が強い。LNGを輸送するには、LNG輸送船が必要で、海運大手三社(商船三井・日本郵船・川崎汽船)が世界シェアの半分をもつ(p49)

    ・東海道新幹線のぞみは、1メートルレールの重さが80キロであり、時速300キロがだせる。これを作れるのは、新日鉄住金の君津、JFEの扇島のみ(p51)

    ・NYの地下鉄車両で最もシェアを伸ばしたのが川崎重工、全体の65%となり川重はニュージャージに組立工場を作った。残りのシェアを持つカナダのボンバルディアには注文が来ない。同様なことがワシントンの地下鉄にも当てはまる(p52)

    ・アメリカは原子力空母を11隻保有、そのうち6隻が第一線で就役中、一隻にトマホーク4000発。さらに農業は、機械化と農地の大規模化が進んだ(p56)

    ・アメリカの農作物の競争力があるのは、ミシシッピ川に沿って、ニューオリンズから上流へ4000キロまで3000トンの艀(はしけ)が使えることにある。現在1万トンの艀が通れるように経済界は求めている(p59)

    ・日本で、最も、とうもろこしを消費するのは畜産の飼料ではなく、異性化糖である。清涼飲料水の甘味料である(p60)

    ・アメリカの農民は、自分で修理も行う。サービスセンターは高くで採算が取れないので(p65)

    ・アメリカ国内で生産拠点が復活しているのは、企業そのものが弱体化したのではなく、生産コストが高いために工場を海外移転したところ、自動車のフォード・建設機械のキャタピラー・化学のダウ・ケミカルなど(p68)

    ・現在では、シェールガスを採掘するのに水を使わずに、LPG(原油精製時に発生する石油ガス)に置き換わっている(p73)

    ・2013.10.16に、暫定予算は1月まで、国債発行枠引き上げは2月まで認めるという妥協成立、2014.11の中間選挙後までは対立を棚上げすることが合意された(p84)

    ・戦前の衆議院議員の任期は2年、4年に延ばしたのは戦争中の翼賛選挙のとき(p89)

    ・アメリカの憲法には、国籍がなくても軍人になれるので、密入国者も軍人になって脱走しない。4年勤務して名誉除隊になったらグリーンカード(永住権)がもらえる(p93)

    ・中国社会科学院は、2012年末のシャドーバンキング残高を、348兆円とした。実際は500兆円はあるだろう(p100)

    ・上海とその周辺にある造船会社の倒産が相次いだのは、シャドーバンキングを使ったシッピングローンが組めなくなったことにある(p101)

    ・中国では、すでに3000のシャドーバンキングが正規銀行に変わった。これはシャドーバンキングの1割にあたる。残りの9割はつぶれるに任せていて救済しない(p107)

    ・中国は保有するアメリカ国債(2013.12末で1.3兆ドル)を売り始めた、2014.1だけで346億ドル、これを人民元買いの資金に充てたが、それでも下落を止められなかった。中国政府が人民元安を止めようとするのは、外国資本が中国から出て行くのを警戒している(p113,114)

    ・戦闘機がスクランブル発進するには、常にエンジンをかけておく必要がある。すると寿命が3分の1になる、中国はこれに対応することができない(p125)

    ・日清戦争時に、清国に北洋艦隊と南洋艦隊があり、日本の連合艦隊は北洋艦隊を全滅に近い形で打撃を与えた。そのとき清国宰相が南洋艦隊へ命令したが従わなかった(p127)

    ・JFEのある扇島を埋め立てるのに、千葉県の山が3つなくなった(p130)

    ・中国が解体した後は、7大軍区(南京・広州・瀋陽・北京・済南・成都・蘭州)に分かれる(p134)

    ・湾岸戦争でイラク軍の持っていた最新鋭の戦車が多国籍軍の持っていたアメリカ製の戦車に対抗できなかった。これを知ったソ連軍は愕然とし、この認識が冷たい戦争を終結させた(p138)

    ・アメリカ国務省のアドバイスは、アメリカ人を中国に出すな、アメリカに留学した中国人を雇うこと、である(p139)

    ・韓国朴大統領は、ドイツメルケル首相に、東西ドイツ統一にかかった費用・時間をきき、20年で4兆ユーロと答えた、北朝鮮を韓国のみで吸収できない、日本の支援が必要とアドバイスした(p156)

    ・日本には、備蓄米が350万トン、原油は120日分の現物があるのが強い(p158)

    ・日本ではサラリーマン経営者でもオーナーにならざるを得ないのは、社長は個人保証をいまだに銀行にしているから(p166)

    ・EUの銀行が痛手をこうむったのは、ギリシア国債の85%を持っていたから(p174)

    ・ドイツでは共同決定法があり、労働組合に高い地位を与えていた。これを1991年に止めた、東ドイツの負担のために。これがドイツの競争力の源泉になった(p178)

    ・2020年オリンピック開催決定の前に、トルコイスタンブールで暴動が起きた。それはエルドアン首相がコーラン戒律を生活に適用としたのが原因、最たるものが飲酒の制限(p192)

    ・メタンハイドレードの実用化は2018年実用化を目指しているが、もっと早くなるだろう(p202)

    ・日本にはLNGを3回使う発電システムがある、液化したLNGでタービンを回す(1回目)、天然ガスを燃やして回す(2回目)、その排ガスで水を沸騰させてその蒸気で回す(3回目)(p206)

    ・2013.11に減反の廃止が決定、2018年度に完全廃止となる(p208)

    ・中国に出たい日本企業へのアドバイスとして、アメリカに子会社をつくり、その名前で中国に出ること、するとアメリカ政府がカバーしてくれる(p215)

    2014年8月3日作成

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著者プロフィール

国際エコノミスト。1927年京都生まれ。1953年大阪大学工学部卒業。新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、1963年に独立。1983年に出版した『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で、第3回石橋湛山賞を受賞した。

「2020年 『中国は民主化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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