境界性人格障害(BPD)のすべて

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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784899760702

作品紹介・あらすじ

「21世紀はパーソナリティ障害の時代」と言われている。「他の障害の合併症」としても頻出するBPDは、実はその当事者が非常に多い障害。感情が不安定。怒りと親密さを短時間に行き来する。ベクトルが内部に向けば自傷行為、外部に向けば激しい怒り。本人も周囲もへとへとになってしまうBPDの原因から実践的コミュニケーション法にいたるまで、BPDのすべての疑問に答えた米国ロングセラー良書。福島学院大学星野先生のわかりやすい巻末解説付き。

感想・レビュー・書評

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  • 「I HATE YOU -don’t leave me」これが境界性人格障害(以後BPD)の偽らざる真実の状態である。
    僕は幼いころBPDであり、現在、BPDの人とメールのやり取りをしている。
    少しでも、その人のことを理解するためにこの本を読んだ。そして、この本に書いていることはすべて、以前の自分と、そして、今やり取りをしている人の特徴に当てはまる。
    BPDの人とのコミュニケーションを困難たらしめている最大の要因は、その情緒の一貫性のなさ、爆発的な感情の発露である。
    そしてそれは、主として依存している相手にたいして顕著に表れる。もっとも大切に思っている人たちに対して抑制のない怒りをぶつけてしまうのだ。
    BPDの人々の心の中には、見捨てられることへの恐怖と、親密になりすぎることへの不安、この二つの相反する感情が混在している。親密さを切望しつつ、同時にそれにおびえ、最もつながりを持ちたいと思っている相手を撥ね付けることになってしまうのだ。
    BPDの人々は、安定した核としたアイデンティティをもっていない。つまり、常に他者を過剰に意識しその他者の対応によってぐらぐらと自己像(自分に対する価値)が揺らぐことになる。当然、それは相手との信頼関係においても、同様であり、通常の人が持つべき、対象恒常性に欠けている。対象恒常性とは、相手が離れていても、自分とその人との関係が継続しているという状態に対する認識のことである。境界の人は、自分から、少しでも相手が離れようものなら、自分が見捨てられたと解釈するか、もしくはその恐怖に駆られてしまうのだ。
    これはいまだに僕も改善できずにいる問題だが、BPDの人は、矛盾を見過ごすことができない。常に、白か黒、二者択一的な考えをしてしまうのである。対人間に対しても自分に対して、敵か味方か。自分を嫌っているか好いているか。その中間は存在しない。僕は今はそれらの関係はある程度克服したが、善悪のモラルに対して、未だに矛盾を看過できずに、大きな障壁となっている。

    BPDを克服するには、まず、変わるべきは自分であって他の人たちではないことを理解しなければならない。自分自身を変えていくためには自分の心と向き合っていくしかない。長年の間に身に付けた意識は、その意識を意識することによって、意図的に努力しなければ変わらないのだ。
    二者択一的な感情の改善。幾重にも積み重ねられた感情の層を打ち破り、自己の本当の気持ちを掘り起こし、それが自分の一部であることを受け入れなければならない。「不快な感情」を否定したり拒絶したり非難したりせずに、受け止めることの心地よさを学ぶ必要がある。
    BPDの人は、現実に立ち向かうのではなく、運命を呪うことで、自分を正当化しているにすぎないこと、怒りというもっともらしいベールに隠れて、恐ろしい自己分析や、自分を変えざるを得なくなる問題を直視するのを避けているからこそ、無力な自分を脱することができずにいるのだということを理解しなければならない。
    そうして立ち向かうには、様々な助けや、努力が必要だ。論理的な思考を身に付けること、自分の感情や、混沌とした思考を掘り下げ、真実を判断するための沢山の材料をもつことも努力のひとつといえよう。僕がそもそも映画や本を読み出したのも、そういった理由からであった。
    自分にかかわる最終的な責任はBPDである本人にしかとれない、そしてそれは、どれほど力になろうとする気持ちはあっても、他の誰にも肩代わりすることはできないのだ。

    では、BPDの人に対して、我々が力になれることはというと、その材料の提供と、彼らをそういった姿勢へ導いていくこと、そして、決して、自分からはBPDの人への門戸を閉ざさないという覚悟を持つことである。

  •  何年か前、ADHDが話題になり始めた頃、境界性人格障害(BPD)について解説された本を読んだことがある。まだ、話題にの登り始めた頃のせいか、漠然とした記述で終始し定義らしい定義も示されずよく分からなかった。

     しかし、この本は違う。

     その定義がはっきりと示され、具体例を示しながら解説している。その心情面からもその特性がよく分かる。
     社会が直面している様々な問題(児童虐待、家族の崩壊、離婚等-)にも、深く関与しているという。

     境界性人格障害(ボーダーライン症候群)について学ぼうとする人には絶好の教科書となるだろう。

     また、仕事上対応せざるを得ない、所謂トラブルメーカー、クレーマー、ドクターシーカーと言われる人たちの行動を比較してみると、この症例に当てはまる場合が少なくない。
     この本を読んで知識を得ていたら、もっとスマートで効果的な対応できたかもしれない。

  • 自分を客観的に見れるようになった時期に読むのがおすすめ。自分をもっと知れるから、いい本だと思う。

  • BPDの様々な事例が書かれていて、とてもよく理解できた。

  • 境界性人格障害の特徴や治療法などについて、事例を交えながら解説されているので、具体的でわかりやすい。文章が優しく、著者の温かみが感じられた。専門家はもちろんのこと、当事者や家族、周囲の人が読むにも良いだろう。

  • 治療の成功にとってなによりも大切なのは、患者とセラピストの相性。

  • 翻訳のせいなのか、冗長で読みづらかった。

  • 読みやすくてわかりやすい。事例も数件あったけど、治療内容とその経過を具体的に書いてもらえるともっと良かったかな?

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  • 心理学だとこういうカテゴリが好き。

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