神山健治の映画は撮ったことがない~映画を撮る方法・試論 (STUDIO VOICE BOOKS)
- INFASパブリケーションズ (2009年3月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784900785823
作品紹介・あらすじ
『功殻機動隊S.A.C.』シリーズの監督・神山健治が企画開発から仕上げにいたる映画作りの全工程を具体的に解き明かす。
感想・レビュー・書評
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この本の希少性は2点。
1点めは、ここまで当事者が具体的に制作について語った映画論は少ないこと。
現場の人間が語る映画論には、説教や回顧録が多くて、後進にとって役に立つ情報は少ない。それに対してこの本は、制作現場で監督(およびスタッフ)がどんな仕事をするのか(するべきか)、どう考えるのかが具体的に提示されている。参考資料として、過去の映画作品を参照しているのも、映画好きには楽しめる。
2点めは、「企画」「制作」についての普遍的な話になっていること。
ここで書かれている内容は、「映画制作に関して」「神山監督の場合」と二重の意味で限定された話なのだけれど、企画に関する考え方やそれを実現していくプロセスは、「企画を立てる」「ものを作る」ことに関わっている人すべてにとって何らかの形で参考になると思った(実際私は参考になった)。
難点を上げるなら、誤字脱字の多さ。編集者にしっかりしてほしい、と思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか
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私にとってはカリスマ。
どえらく頭のいい人です。
押井監督の秘蔵っ子ですがもう少し分かりやすいかな。。 -
言わずと知れた日本アニメーション界の新世代旗手・神山健治監督による映画論。
本書では、実写映画にも共通する企画や脚本・演出・ポスプロなどの議論が中心に据えられている。そのため、アニメ特有の作画や絵コンテに関する議論はほとんど見受けられず、アニメーターの名前も出てこない。
その代わりにヒッチコックやコッポラ、黒澤明などを引き合いにした演出の心得や妙義についての議論が展開され、執筆当時に神山監督が初めて経験した実写映画の制作とアニメーション制作の違いが述べられている。同じ内容を盛り込む場合でも、アニメよりも実写の方が時間尺が必要となるという発見は新鮮だった。
もちろん映画論も楽しめたが、個人的には神山監督個人のバックグラウンドに触れられたことが一番の収穫だった。確かに日本でSFを撮ろうとしたらアニメが最良の選択になるのだろう。 -
実写映画とアニメーション映画のいろいろな違いがよくわかる。映画とはなんぞやということへの神山監督の考え方がわかって面白い。
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とても勉強になった。リアリティはあくまで『現実っぽい』であって『現実』ではないのに今更気付かされた。
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TV版「攻殻機動隊」「精霊の守人」「東のエデン」なんかで有名なアニメ監督が自らの監督術を指南する本。
映画を撮りたいのになかなか撮れないジレンマなども楽しく読めました。
アニメ監督と言ってもかなり映画を観た方らしく、映画好きの私も、読んでいるとおおっおおおっとかなかなか触発されるものがありました。
映画撮らないけどなんだか勉強になった。
小説家とか脚本家志望の人にも勉強になるよーな気がします。
そしてアニメの裏話なんかも読めてなかなか楽しい。
しかし、ハタで面白くないとかあそこがイマイチだよなとか、言うのは簡単だけど、作ってる側は大変だねこりゃ。 -
構造をつくる。三層にも四層にもして。
TV1話21分。俯瞰可能。 -
アニメの世界ではかなりの著名人クリエイターで、その人が映画を作る上でどうするのがいいのかという部分を事細かに自分のアニメ監督としての経歴をひっさげて教えてくれる本。
師匠・押井守さんとの対談や直伝の手法エピソードなどもあり、読みごたえはバツグン。 -
港さんの映画批評とは異なり、映画制作者としての自身の創作論を展開した著書。
建築は映像を積分したものではなく、全感覚的に知覚、認識するものであるが、氏が述べる「構造」というメタレベルの概念は現在の意匠設計に通じるものがあると感じた。
また、彼の映画にかんする思いがにじみ出てくる文章は、何かをクリエイトする立場である人ならばそのストイックさに共感を覚えるのでは。