菊地君の本屋

著者 :
  • アルメディア
3.54
  • (10)
  • (16)
  • (27)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 184
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784900913028

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • みなさんは、ヴィレッジヴァンガードって本屋さんを
    ご存じですか?名古屋で育った僕には、とてもなじみの
    深い本屋さんです。

    なぜなら、一号店が近所にできたとき、当時中学生だった
    僕は、友達に「面白い本屋ができたから行ってみよう」と
    連れられて行って以来の、ヴィレッジヴァンガードのファン
    だからです。

    ちなみに、僕の住む町で有名な「大和田書店」もヴィレッジ
    ヴァンガードの開店に大きく関係していることがこの本を
    読んで分かりました。(この大和田書店は、大和田獏さんの
    お兄さんが経営している本屋ということで有名でした。)
    ※大和田書店で店員さんをしていた菊地さんを
     なんとなく覚えています。

    みなさんは、ヴィレッジヴァンガードって店長の趣味で好きな
    ことやってる本屋だっていうイメージないですか?
    僕も実は、店長の趣味がそのまま売っている本・モノに
    反映されている店だと思っていました。
    しかし、この本を読んで驚いたのは、菊地さんの「読みたい
    本はヴィレッジヴァンガードに一冊もない」とのことでした。
    しかも、菊地さんは商品ラインナップを利益率で語り、
    顧客(しかも具体的な個人名)がどんなものをほしいか
    を考えて商品を選んでいました。

    ビジネスの世界でよく言われている顧客志向ですが、
    まさに、菊地さんは根っからの顧客志向をもった商売人
    だということをこの本を読んで強く感じました。

  • 「お好きな方にはたまらない」本屋さん。ヴィレッジヴァンガードの創業期の記録です。今では全国展開して上場もはたしておりますが、この本を読む限りですと、その裏には大変な苦労がしのばれます。

    この本は「お好きな方にはたまらない」遊べる本屋さんのキャッチコピーでおなじみのヴィレッジヴァンガード。その創業期を記録したノンフィクションです。創業者の菊池敬一さんの経歴が掲載されているんですが、北海道から青山大学に入学して、大学時代は登山とバイトとジャズと麻雀の日々だったそうです。そして気乗りのしない就職活動を経て最初に勤めた会社は商品相場・先物取引の世界だったのだそうです。

    結局そこは三ヶ月で「逃げ出した」そうですが、
    「もともとデラシネだからね」
    というセリフが作中にあって、僕も似たような経験がある以上、こういう人生並びに大学生活を送ってきた人間には絶対に水が合う世界じゃありません。そして彼は日本実業出版の営業を3年勤めたあと、大和田書店で本屋としての基礎を学びます。それから起業をするのですが、この本にかかれている限りでは、まだに綱渡りのような毎日を送っています。奥様も役員に名を連ねたり、自宅マンションを抵当に事業資金を捻出したりと涙ぐましい苦労の果てにヴィレッジヴァンガードはしり上がりの成長を見せ、全国展開を果たす様子が描かれています。

    僕もこの本屋のヘビーユーザーですが、その裏には緻密な準備や日々の業務があるわけで、自分の人生に何らかのヒントを、という方には、一読の価値アリと思っています。

  • 2015.8
    ヴィレッジヴァンガードがどうやって生まれ、どういう考えで存在しているのかについて。ヴィレッジヴァンガードとは。スタッフ。商品。棚作り。すべて筋が通ってる。既存の方法でなくても、やろうと思えば何でもやれる。軸がブレなければ。本屋の可能性、書店員としての自分の信念に喝を入れられた気分。やりたいようにやればいいのだ。

  • 前に別の業界(DVDメーカー)にいた時に先輩に勧められて読んで以来、2回目。小手先のテクニックじゃなく、本屋の心意気をビンビン感じる。これ読むとほんと本屋やりたくなるんだよなぁ。他業種でも多くの学びがあること間違い無し。

  • 名古屋本店に行かなくては!と思った . 菊地敬一氏自身が書いた『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』も併せて読むと尚

  • p20
    ヴィレッジヴァンガードを専門店にはしたくなかった。専門店の啓蒙主義的なクサさがいやだった。
    p34
    昔、大和田書店にいたころ、「フォーカス」の創刊号を買い占めたことがある。周りの本屋には一冊もなくて、大和田書店にだけは大量に積んであった。
    p37
    一つのアイテムで100冊売ったほうが、100のアイテムを1冊ずつ売るよりも得だ。しかもそのほうが迫力もある。
    p38
    今ぼくは天井まで積める本はないかなと探しているところだ。
    p39
    返品の問題、とくに返品率の高低の問題は取次だけの問題で、本屋には関係ない。
    p71
    好きなものだけ置いてやれるほど、本屋は甘くない。数ある専門店を見よ!ああいうのをビジネスとは言わない。
    p75
    値引きして売るくらいなら捨てたほうがましだと思っている。
    p93
    ぼくは客にアンケートをとるようなクサイことは一切やらない。ああいうのは嫌いなんだ。
    p118
    ことわざに「親の言うようには育たないが、親のように育つ」
    P123
    たくさん売ろうとするとコンセプトは崩れてくる。人権費や経費もかさむ。
    p128
    一般の本屋で置いてあるグッズのレベルは、市中引き回しの品が辿り着くところだ。いまだに「あっこちゃん」なんてハンコが置いてある。
    p133
    よくバイク仲間が集まる店はつぶれるという。ある程度一定の距離を置いておきたい。
    p135
    店舗間での本の移動は基本的には許さない。せっかく50冊仕入れても、20冊持っていかれたら、その店長は悲しいと思う。
    p137
    あめ玉置く暇があったら本の品ぞろえをよくしたほうが売り上げは上がる。
    いろんなものを置くのはそれからでいい。
    p138
    すべての小売店の敵はレジャー産業だ。
    p141
    本屋で楽しいことはその一貫作業にある。
    p144
    ぼくは固有名詞にこだわるんだ。漠然と「地域に愛される店になりたい」なんて死んでもいいたくない。
    p158
    ぼくは問い合わせがあったら、その背後に客は20人いると思っているから。

  •  先に「ヴィレッジヴァンガードで休日を」を読んで、創業者 菊地敬一氏を知る。
     彼の書店に関する経営理念と従業員の雇用理念に関心を持った。
     本によって、その人となりを好きになることは余りないと思うが、今回はあった。
     それで、引き続き「菊地君の本屋」を読んでみた。
     これを読み終わると、今にも自分がヴィレッジヴァンガードのFC店が開業出来そうな気がするが、落ち着いて考えてみれば、そんな才能があれば薄給のサラリーマンなんかはとうに辞めていたはずである。
     巻末のあとがきを読むと、これが本屋の参考書の風であることが書かれていた。
     そうであっても門外漢でもその内容は面白い。

     だからか、本屋の参考書でありながら2006年10月15日第12刷目であることを見ると、結構菊地ファンは多いのかも知れない。

  • ずいぶん昔のことになりますが、あるとき、偶然、本と雑貨のジャングルのような空間に迷い込んだことがあります。見るものすべてが、キッチュでポップでキラキラしていて、メッチャ興奮した覚えがあります。それが「ヴィレッジヴァンガード」という店の原体験です(きっと当時は、今よりもっと“ドンキ”度が高かった気がします!)。この本のタイトルの「菊池君」とは“遊べる本屋”ヴィレッジヴァンガードの創業者、菊池敬一さんのことです。今やどこのモールや学生街でも見かけるほどの規模になったヴィレヴァンがどう生まれて、どう拡大していったのか!?創業時ならではの熱気ある苦労&成功談はワクワクだし、現在に至るまで変わってないポリシーがどう形成されたかという話も興味深い(どんなものを扱っても、あくまで“書店”に拘るという姿勢には、出版畑で働く者としては感動!)。特に心に刻まれたのは「新刊と既刊を並列に扱う。なぜなら、初めてその本に出会った人にとっては、どちらも“新刊”だから」という発言。…ちなみに、上記文章は、原典を確認せずに書いているので、微妙に違っているかもしれませんが、逆に言えば、本書はそのくらい自分の中にしっかり蓄積されている、大切な一冊なのです。

  • ホームページに感想を書きました。
    「読むと無茶苦茶行きたくなります」
    http://www.ne.jp/asahi/behere/now/newpage024.htm

  • ヴィレッジヴァンガード

    http://www.village-v.co.jp/shopcount/index.php

    直営店:269、FC:26、ダイナー:10、new style:22

    平成10年5月 (創業 昭和61年11月)

    この本は、1994年に書かれて、5号店までが書いてあるが、
    16年で327店とは、凄すぎる。

    売り上げ: 33,226百万円
    経常利益: 3,171百万円
    正社員300名+臨時雇用者2,032名 (2009年8月末現在:連結)

    チチカカが連結子会社とは?

    大宮ロフト、横浜ルミネ、海老名サティ、横浜ルミネ

    ト、2010.4.17-4,18

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1958年生まれ。ライター。書籍輸入販売会社のニューアート西武(アールヴィヴァン)を経て、フリーの編集者兼ライターに。90~93年、「宝島」「別冊宝島」編集部に在籍。その後はライター専業。「アサヒ芸能」「週刊朝日」「週刊エコノミスト」などで連載をもつ。ラジオ「ナルミッツ!!! 永江朗ニューブックワールド」(HBC)、「ラジオ深夜便 やっぱり本が好き」(NHK第一)に出演。
おもな著書に『インタビュー術!』(講談社現代新書)、『本を読むということ』(河出文庫)、『筑摩書房 それからの40年』(筑摩選書)、『「本が売れない」というけれど』(ポプラ新書)、『小さな出版社のつくり方』(猿江商会)など。

「2019年 『私は本屋が好きでした』 で使われていた紹介文から引用しています。」

永江朗の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
井原 万見子
田口 久美子
村上 春樹
フィリップ・マグ...
村上 春樹
三島由紀夫
トニー・ブザン
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×