レプブリカとグラウの交差点:南米新世代作家コンピレーション(1)

  • 葉っぱの坑夫
4.00
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 3
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (114ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901274371

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 出版は非営利団体によるもので、有名無名・国籍に関わらず日本人の目に触れて欲しい作品を紹介している。
    こちらは若手南米作家のもの。日本に紹介される南米作家というとボルヘスやガルシア・マルケスのような世代が多く、現在新しい作品を発表している作家のものはあまりない。
    こちらに収録されている作品は、それぞれ英語に翻訳されたものからの日本語訳となっている。

    『エボ・モラレス/リカルド・リジエス』
    ブラジル人チェス選手の”わたし”は、空港のコーヒーショップでボリビア人のエボ・モラレスと知り合った。その後にエボはボリビアで初の先住民族出身大統領となり、”わたし”はチェスの世界チャンピオンになった。彼らはその後も2回空港で出会い短くも親しい話を交わした。
    そして”わたし”はぷくぷくした頬と腹の持ち主であるエボを親友と思い、必ず空港で会えるはずだと世界の空港を回ってあらゆるコーヒーショップや土産物屋を探し回り、ボリビア大統領府に手紙を書き続ける。
    そしてどうやら”わたし”は心身を病んで精神病院にいるようだ。だがボリビア大統領府へのエボへの手紙は書き続けるのだった。

    …という話なので、なにがなにやら何が起きたんだ(@。@)
    ”わたし”の語りに少しずつ違和感が出てくるあたりが読みどころ?

    『ユタにも山はある/フェデリコ・ファルコ』
    アルゼンチンのカルロス・パスに住むククイは自分探し真っ最中。
    まずは神様を信じてもしょうがないと確信し、無神論者になることにした。
    次にはカルロス・パスから出て有名になる方法を考えなければ。
    そんなとき、カルロス・パスに布教に来た二人組みのモルモン教徒のうち、とてもハンサムなスティーブに夢中になる。
    彼のガールフレンドになって楽しい日々を送らなきゃ!
    ククイは二人組を追い回す。
    だが布教期間が終わり彼らは別の町に旅立つ。
    最後にククイは、モルモン教徒のいるユタ州ってどんなところか聞く。「ユタにも山はあるよ。このカルロスとあまり変わらない」
    そうか。変わらないのか。
    それなら私はどうしよう?まだ夏休みは 1ヶ月ある。次のことを考えなければ。

    『気持ちのいい暮らしの情景/アンドレス・レッシア・コリノ』
    日系青年のジミー・タナカには可愛いガールフレンドのヴィルナがいる。酒にドラッグに車に、イケてる生活を送りたいけれど、周りからはまだまだの若造。
    そしてヴィルナのドイツ系の父親ブルーノに釘を差された。「ドラッグをやったって問題はない。だがその場限りの偽物に手を出すな。手を出すなら本当の本物を見分けろ。ただ安いものを消費するだけのシステムに組み込まれるな」


    『レプブリカとグラウの交差点/ダニエル・アラルコン』
    十歳のマイコ少年は、盲目の男の物乞いの手伝いに出される。マイコの両親と盲目の男との間で、儲けは折半と決められたのだ。
    だが世を渡ってきた盲目の男はマイコの目を掠めて分け前を減らす。
    父親にこっぴどく殴られながらもまた盲目の男の手伝いに出されたマイコは、ついに破滅的解決方法でうっぷんを晴らすのだった。


    『最低賃金で六ヶ月/アンドレス・フェリペ・ソラーノ』
    メキシコのメデジンで、工場で最低賃金で働く男の日常、嘆き。

全1件中 1 - 1件を表示

リカルド・リジエスの作品

最近本棚に登録した人

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×