絶望から出発しよう (That’s Japan 6)

著者 :
  • ウェイツ
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901391306

作品紹介・あらすじ

いったいこの国はどうなっているのか?旧いシステムはそこから生み出される問題を解決できないし、超えることもない。気鋭の社会学者・宮台は、市民エリートの育成を呼びかけ、ロビー活動を始めた。「アホ」な官僚や政治家任せをやめ、自分たちでチェックしないと、座して地獄に墜ちるしかないと危惧するからだ。敗戦・占領下の日本人の「虚脱」には飢餓にも負けない夢があった。一方、いまの日本は、あらゆる領域において戦後以上に絶望が深いと氏は断言する。では、どういうシステムを構想すべきなのか?ヒントは戦中・戦後の歴史にある。まずは忘却のかなたに置かれた「アジア主義の顛末」から始めてみよう。

感想・レビュー・書評

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  • その後出版される著書より、まとまりはないが舌鋒鋭く勢いがある。

    [more]<blockquote>P25 あり得ないはずの道徳的な「良き父」「良き母」を、テレクラのガス抜きが支えてるんだからね。ことほどさように「道徳的な家族」や「道徳的な地域」を維持するために必要なさまざまな装置は、かつてないほど奇妙きてれつなものになってきているんです。

    P45 当初はオタクとかテレクラ少女とかコギャルが「しるし付き」だったんだけど、15年20年経ってみると、面白いことに家や学校にへばりつく「良い子」のほうがむしろ「しるし付き」になったんですね。そこここに第四空間があるのに、未だに家や学校にしか居場所がないというのは、当人の環境をめぐる問題というより、当人の自意識の痛々しさの問題なんじゃないか、という感覚が広がったわけですね。

    P68 現実に何が起こっているのかを知らず、しかも、何をすればどうなるかという歴史的知識や理論的知識もなく、単に嫌のものを見たくないとか、悪そうなやつを吊るし上げたいという、素朴な情緒的衝動に従ってなされる立法や行政が、この日本では枚挙にいとまがないわけですよ。これじゃまずい。【中略】感情的な立法活動も、感情的な立法反対活動も、思考停止ゆえに問題を正しく評価することができず、そのために、よかれと思ってやっていることの大半が裏目に出るということが繰り返されているんですね。気分がスッキリする「表出」ではあっても、政治的に実効性のある「表現」になっていないんですよ。</blockquote>

  • 304-ミヤ 000472845

  • 人気な頃だからか、口が悪い(^q^) ここでフィールドワークの優位性を強調しているのは、現在でも社会学を実体的に捉える研究者らと仲良くしていることにもつながっているようです…市民エリートを育てるという考え方は、今も実践してますね。ここで痛烈にたたいてる既得権益というのが今でいえば原発利権でこちらにも切り込んでいるし、現在とも共通項を見いだせるという意味では10年前のこちらの本を読むのも発見があるんじゃないかと思います。

  • [ 内容 ]
    いったいこの国はどうなっているのか?
    旧いシステムはそこから生み出される問題を解決できないし、超えることもない。
    気鋭の社会学者・宮台は、市民エリートの育成を呼びかけ、ロビー活動を始めた。
    「アホ」な官僚や政治家任せをやめ、自分たちでチェックしないと、座して地獄に墜ちるしかないと危惧するからだ。
    敗戦・占領下の日本人の「虚脱」には飢餓にも負けない夢があった。
    一方、いまの日本は、あらゆる領域において戦後以上に絶望が深いと氏は断言する。
    では、どういうシステムを構想すべきなのか?
    ヒントは戦中・戦後の歴史にある。
    まずは忘却のかなたに置かれた「アジア主義の顛末」から始めてみよう。

    [ 目次 ]
    「まったり革命」その後
    市民エリートを育てよう
    アジア主義の顛末に学ぶ
    絶望の深さを知れ

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 「かけがえのないもの」なんてない。誰もが「入れ替え可能」である。人生はどこにでもある話の組み合わせでしかない。そう、世界は絶望で満ちている。この絶望から解き放たれるには絶望を知り、絶望と向き合わなければならない。この壊れた世界に出口なんてないけれど、この(絶望に満ちた)終わりなき日常を生きて生きて行けというお話し。

  • 日本には絶望が足りない、との指摘は、3.11後の日本について色々考えさせる。

  • 宮台真司氏がブルセラ援交のリサーチを経て、今日的な、というか90年代のコミュニティの衰退、都市の郊外化における、人々の精神的な社会生活の現状、政府施策の問題点等にインタビュー形式で答える本。

  •  

  • ここではないどこか。

    入れ替え可能な仕事をする入れ替え可能な存在。

    かけがえのなさを望むものたちの、パターン化された凡庸さ。

  • んー…

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著者プロフィール

宮台真司:1959年宮城県生まれ。社会学者、映画評論家。東京都立大学教授。1993年からブルセラ、援助交際、オウム真理教などを論じる。著書に『まちづくりの哲学』(共著、2016年、ミネルヴァ書房)、『制服少女たちの選択』(1994年、講談社)、『終わりなき日常を生きろ』(1996年、筑摩書房)、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(2014年、幻冬舎)など。インターネット放送局ビデオニュース・ドットコムでは、神保哲生とともに「マル激トーク・オン・ディマンド」のホストを務めている。

「2024年 『ルポ 日本異界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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