山口昌男の手紙 文化人類学者と編集者の四十年

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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901510547

作品紹介・あらすじ

抜群の行動力と旺盛な好奇心で世界中を駆け巡り、知的挑発者として20世紀後半の人文学や芸術に決定的な影響を及ぼした稀代のトリックスター、山口昌男。
 編集者として40年にわたり濃密に交流した著者が、その光と陰を、80余通の手紙と回想で綴る。

感想・レビュー・書評

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  •  著者の大塚信一さんはこの前まで岩波の社長をしていた人であり、本書より先に『理想の出版を求めて』という本を出している。岩波の多くの本の編集をしてきた人だ。本書は、その中でもしばしば触れられている山口昌男からの手紙とそれに対する、そのときどきの大塚さんのコメントを入れて編まれたものである。大塚さんは、山口昌男がまだ無名のころからその才能に気づき、山口の強烈な個性につきあってきた。山口の本に対する執心はかなりのもので、印税の前借りをしてでも本を買おうとしたらしい。大塚さんはそんな山口の奔放さに当惑しながらも、その魅力に惹かれ、山口の成長を喜び育て、また自らも成長していった。しかし、同時に山口が有名になり、本への執着が薄くなり、大塚さんへの手紙も減ってくると、大塚さんも山口さんに対しかつてほどの情熱をもって接しなくなる。山口昌男はまだ存命であり、かれに対する大塚氏の毀誉褒貶が各所に現れるこの本を本人も読むことを考えると、この本を出した大塚信一という人はただものではないと思った。

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著者プロフィール

大塚 信一(おおつか・のぶかず):1939年生まれ。1963年岩波書店に入社。『思想』『岩波新書』編集部などを経て多くの単行本、シリーズ、講座、著作集などを立案・編集。1984年には文化総合誌『へるめす』を創刊、編集長。1990年、編集担当取締役、1997年―2003年、代表取締役社長。近著に『反抗と祈りの日本画 中村正義の世界』(ヴィジュアル版 集英社新書、2017年)、『長谷川利行の絵 芸術家と時代』(作品社、2020年)、『哲学者・木田元 編集者が見た稀有な軌跡』(作品社、2021年)、『本の森をともに育てたい 日韓出版人の往復通信』(カン・マルクシルとの共著 岩波書店、2021年)、『津田青楓 近代日本を生き抜いた画家』(作品社、2023年)。

「2024年 『岩波書店の時代から 近代思想の終着点で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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