父が子に語る日本史

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901510660

作品紹介・あらすじ

中国大陸や朝鮮半島、沖縄、北海道など周縁地域とのかかわりの中で記述された、歴史の見方は一つでない事に気づかせるユーモア溢れる歴史読本。
 国家形成のためにつくられた一国史的視点を超える歴史認識へのいざない。

感想・レビュー・書評

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  • 戦国武将モノには
    全く興味がない

    時代小説を読むなら
    藤沢周平さん
    澤田ふじ子さん

    幸いなことに
    「学校」の現場でつらい授業として「日本史」を
    学ぶことがなかった

    それだけに
    大人になってから 自分なりに自分のリズムで
    「日本の歴史」をひも解いていくのは
    実に楽しい。

    「日本史」の学びの
    私の教科書の一冊になっています

  • 中国思想の研究家が、中学生の息子に語りかけるように書かれた本。日本史を単独で考えるのではなく、世界史の中で、特に関係の深い東アジア史の中の日本史として捉えている。大陸との関係性を抜きに日本史は考えられないはずなので、当然だと僕は思うけど、そういう視点で書かれている本は少ない。
    あと、歴史を、その当時を生きていた人の世界観を通して見る必要性を強調されている。戦国武将の誰もが、天下統一を目指したわけではないという、当たり前のことが忘れられるのは、その後の結果を知っている我々からの視点にすぎない。
    深く突っ込んだところまでは書かれていないので、マニアックに歴史を学びたい人には向かない。あくまで、「視点」「切り口」を考える上で役立つ本。
    父が子に語る日本史
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  • 前書きから、日本の歴史を簡単にざっと学ぶことを期待したが、日本の歴史教育の中で疑問に思う点を語っていく形式であった。目的と異なっており半分手前で興味が薄れて断念。

  • 南朝から後亀山天皇が京都にでてきて、北朝の後小松天皇に三種の神器をわたし、天皇を辞めた 
    林羅山 の息子の林鵞峯が本朝通鑑 漢文による日本通史
    徳川は新田(義貞 南朝の忠臣)の分家を名乗っていたから南朝に好意的な書き方

    渋川春海 貞享暦 日本独自の暦

    魯迅 仁義道徳は人を食らう

    秀吉 近衛家の養子として藤原をなのる 関白は藤原氏嫡流の五摂家に限られる。 関白を退いた人を太閤と呼ぶ

  • やっぱり日本史って面白い!!

  • 父が子に語るようになっているが、その点は一貫しておらず、その形式にする必要はないように感じた。
    世界史を語らずに日本史を教えていること、北海道や沖縄の歴史は本州を中心とした歴史とは異なるなど、学校での歴史教育の問題点が挙げられていた。聖徳太子や大化の改新などは教科書では美化されている点などは、学校教育の重大さがわかった。教育されると、なんの疑いも持たない。韓国や中国はその点徹底していて、今の領土問題など生じているんだろう。再度、教科書を見る機会があれば、そういう目で読んでみたい。
    いろんなことを考えさせられた本であった。
    でも、教科書も批判的吟味が必要とは、、、、。

  •  頼山陽「日本外史」が日本人の歴史認識のベースになったという考え方をベースとして、父が娘に日本の歴史のエッセンスを語るという形式で書かれている。
     一部、歯に物が挟まったような言い方をしている所が微妙だけれど、一つの考え方としては面白いと思う。続編として「父が子に語る近現代史」がある。

     頼山陽「日本外史」を近代以降の歴史認識の典型例として、そこに至るまでに天皇が日本の歴史にどのような影響を与えてきたのかという問いを設定し、その回答を形成するであろう歴史の断片をつづっている。
     古事記、日本書紀にある神話の時代から室町時代後期くらいまでが対象となっており、特に平安初期から鎌倉時代くらいのエピソードが多い気がする。中学を卒業する娘に語る、という形式を取っているためか、口語調の記述になっている。

     著者が中国思想史の専門家であるためもあるとは思うが、日本の歴史にいかに中国・朝鮮が影響を与えてきたのかという点と、現在の歴史教育で行われているという日本国内に閉じた日本史認識がどれだけ狭い考え方かを主に説いていると思う。
     娘に語るという形式のためもあろうが、安易に結論を与えることなく、考える材料を与えるような書き方をしているのが特徴だろう。ただこれには、あまりにもナイーブなテーマであるため、著者の仮説を書きにくいという理由もあるのかもしれない。

     頼山陽流の仁義道徳史観の背景にあるもの、神話の背景にある歴史観が持つ日本優位の願望、日本の文化的発展に及ぼした中国・挑戦の影響をそれぞれ語り、それらが武家社会を経ることでどの様に絡み合い近代に至るかをひも解く。日本史の授業では語られない、当時の人々が信じていた世界観を知らせる。
     そんな試みとしては大変意義のあるものだと感じたが、著者がどの様な仮説を持っているのかも明らかにしていただいても良かったと思う。特に、ボクが読み落としただけなのかも知れないが、なぜ白雉改元について知っておいた方が良いのか、その理由については書いておいて欲しかった。
    (読後にちょろっと調べた範囲での推測はあるのだけれど。)

  • "「そうだ 京都、行こう。」の京都とは"の章が気になったので、カルチャー的な知識が得られるかという軽い気持ちで読んでみました。
    父親が中学生の息子に語りかけるという形式で、柔らかな口調になっていますが、そこに書かれていることは全体的に結構過激な印象を受けました。
    歴史教育の土台に横たわる教科書問題を意識しながら、日本史は日本だけでは語れないと、歪みや偏りを指摘しています。
    現在の教育法に異議を唱える、はっきりとした主張を抱えた内容でした。

    それを別にしても、雑学的にいろいろとためになる情報が得られました。
    厩戸王は聖徳太子とは別人だったとか。
    厩戸王とはすなわち厩戸皇子の成人した呼び名なのかは言及されていませんでしたが。

    武田信玄の軍師、山本勘助は架空の人物と書かれていて、ショックを受けました。
    実際にいたとしても、あそこまで軍師として活躍はしていないそうです。
    当時の実際の軍師は禅宗寺院の僧侶だったそうです。

    「太平記」の楠正成も、相当誇張されているとのことです。
    著者は、歴史研究家の著書よりも、司馬遼太郎の歴史小説の方が圧倒的に読まれていることに危惧感を抱いており、確かに読む側として、小説には多分にフィクションが含まれていることを了解していないと、自国の歴史を誤って認識してしまう危険性はあると思いました。

    また、よく時代劇に登場する、戦国武将の「この戦国乱世を終わらせねば」というようなセリフは、全くもってありえないそうです。
    彼らは、その時が異常な事態とは誰一人思っていないからとのこと。
    確かにそうですね。そのセリフは、現代人の意見にほかなりません。

    歴史研究家からすると、日本人が本や映画などから得た日本史の知識が、さまざまな間違いを含んでいることが、とても気になるだろうなと思いました。
    現代では、歴史ものが娯楽としてまかり通っています。
    それは受け手たちが歴史にドラマを求めているからですが、虚構と史実の境界線ははっきり線引きをしておかないと、大多数の意見が通って誤解の日本史が生まれてしまいかねないため、時代劇などはきっぱり史実と別物と割り切って楽しまなくてはと思いました。

  • 著者は歴史専攻ではないのですが、一般とはちょっと違った斬新な視点で日本の歴史が通史的に解説されていて、興味深く理解できました。
    大化改新の真相、古代から中世に移る時代的背景の話、信長や秀吉の革新性・・・などなど。
    日本史が好きな方にはオススメ。専攻された方も読んでみてください。

    [10.4.5]

  • 自分たちが小学校から高校まで習ってきた「日本史」。自分にとっては暗記物の最たるものだった。毎年の検定教科書をめぐる歴史記述の問題も、研究者の主義主張の差異によるつばぜり合い程度と思っていた。

    この本は、そういった教科書的な歴史認識が、最新の研究成果によってアップデートされていること、そしてその教科書に記載されている歴史上著名な著作や事件の背景を、より広い視点から検証したときに見えてくる事実があることを教えてくれる。

    歴史上の事件・史実は、その背景に思考を巡らせなければ、その記録を残した側のバイアスを見落としてしまうという、あまりにも当然過ぎる、しかも重大な視点を欠落してしまう。

    父から子に語る形で綴られたこの本は、とても分かりやすく、我々に真実はどこにあるのかを問いかけてくれる。良書です。

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著者プロフィール

1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授。中国思想史。『儒教の歴史』(山川出版社、2017年)、『近代日本の陽明学』(講談社、2006年)、『宋学の形成と展開』(創文社、1999年)、『中国近世における礼の言説』(東京大学出版会、1996年)、『中国思想史』(共著、東京大学出版会、2007年)、ほか。

「2021年 『東アジアの尊厳概念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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