花はどこへいった 枯葉剤を浴びたグレッグの生と死

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901510684

作品紹介・あらすじ

グレッグの癌は枯葉剤のせい? カメラを手に渡ったベトナムで出会った被害者たちの生活。
 最愛の夫との死別を乗り越え、岩波ホールなどで公開されたドキュメンタリー映画『花はどこへいった』の完成までを綴った書下ろしノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 『母は枯葉剤を浴びた』を読んだのは、中学生の終わりか
    高校生になりたての頃だったと思う。掲載されていた
    写真にショックを受けた。

    結合双生児はまだいい方。水頭症や眼窩そのものがなかった
    り、一つ目、手足の欠損や歪曲した赤ん坊の遺体がホルマリン
    漬けにされていた・

    食糧の供給元を断つ為と、ゲリラが潜む森林を破壊する為に、
    ヴェトナム戦争時にアメリカ軍と南ヴェトナム軍は枯葉剤を
    大量に散布した。

    ダイオキシンを含む枯葉剤の影響を受けた人体は、想像を
    絶していた。その影響はヴェトナムの人々だけではない。

    ヴェトナム戦争に従軍したアメリカ兵のなかにも、深刻な
    影響を残した。本書の著者の夫であり、日本を本拠にして
    アジア情勢をリポートし続けたカメラマン、グレッグ・デイビス
    もその一人だ。

    2003年4月、体の不調を訴えたグレッグは検査の結果、
    肝臓がんと診断される。そして、1カ月も経たぬうちに
    急逝した。

    パートナーの死の原因となった肝臓がんは、枯葉剤を浴びた
    ことで発症したのではないか。著者は愛しいし人を失った
    悲しみを乗り越え、枯葉剤の影響を映像で残そうとヴェトナム
    へ渡る。

    そこには枯葉剤の影響で健康被害を受けながらも、必死に
    生きようとしている人々がいた。

    戦争が終わっても続く被害がある。40代以上の人なら結合
    双生児のベトちゃん・ドクちゃんを覚えているだろう。彼らも
    枯葉剤の被害者だ。

    皮肉なことに枯葉剤散布を推進したアメリカ軍将校の子息
    も、枯葉剤の影響で亡くなっている。この将校はアメリカ議会
    で枯葉剤暴露者の救済を訴えたが、それはアメリカ人のみ
    であり、ヴェトナムの人々には一切触れていなかった。

    アメリカが他国の武力行使に対して「非人道的だ」と声を
    上げる度に思う。あなたたちがインドシナでなったことは
    人道的なのか…と。

    戦争に良いも悪いもないように、武器に人道的なものなんて
    ありゃしないさ。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB08265633

  • 写真家グレッグさんの足跡を妻の坂田さんが詳細に描いていて、アジアの苦悩、とくにカンボジアやベトナムの負の側面について知ることができる。

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著者プロフィール

1948年、長野県生まれ。65年から66年、AFS交換留学生として米国メイン州の高校に学ぶ。帰国後、京都大学文学部哲学

科で社会学を専攻。70年にグレッグ・デイビスと出会い、結婚。写真家としてのグレッグの仕事を手伝うかたわら、76

年から、写真通信社インペリアル・プレス勤務。95年、社長に就任。98年にIPJを設立し社長となる。2003年のグレッグ

の死をきっかけに、枯葉剤についての映画製作を決意し、米国メイン州のフィルム・ワークショップでドキュメンタリ

ー映画制作の基礎を学ぶ。04年から06年、ベトナムと米国で、枯葉剤の被害者やその家族、ベトナム帰還兵、科学者等

にインタビュー取材を行う。2007年、坂田雅子製作・監督・撮影・編集で、映画『花はどこへいった』(英語タイトル

『Agent Orange -a personal requiem-』)を完成させる。著書に、映画にもとづく同名のノンフィクション「花はどこ

へいった 枯葉剤を浴びたグレッグの生と死」(トランスビュー)。

「2009年 『花はどこへいった ベトナム戦争のことを知っていますか[DVD]【ライブラリー版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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