魂とは何か さて死んだのは誰なのか

著者 :
制作 : わたくし、つまりNobody 
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901510738

作品紹介・あらすじ

その人はなぜその人なのか?〈魂〉と名付けた不思議な気配を、哲学が辿りついた感じる文体で語り出す。
 旧版『魂を考える』(1999年、法藏館刊)を大幅増補改訂。『私とは何か』(講談社刊)『死とは何か』(毎日新聞社刊)と共に著者の思索を凝縮する。

感想・レビュー・書評

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  • 198冊読了。
    魂とは何か?という論考は正直わからない。
    が、最後の方にある「なぜ自分はこの人間をやっているのか」「与えられた仕事や境遇においてより善く生きようと努めること」が考えるべきことで、それがすべてなのだろう。

  • 私としての存在の不思議と、私が私であり他者と隔絶していることの表現として「魂」に行き着いた池田さんの本。理解できないものを理解できないものとして理解するという考え方、解釈不要論など人の論理癖の行き過ぎに警鐘を与えています。「その人を考える」で自分以外の存在を池田さんがどう考察しているのか話しているのも興味深いです。その時にも「魂」から理解に乗り込もうとしています。個人的にはその先の対談で言っていた「横軸で物を語るっていうのは、事実ではなく、価値を語っているんだと思います。」というくだりがすごく好きです。彼女は価値ではなく事実を論理でとことん追及する人だからこそ、読んだ後の爽快感がたまりません。形而上学や哲学、差異学、自分探しなどに興味がある人にオススメ。

  • 「哲学を学ぶ」のではなく「哲学する」ことにふれる哲学エッセイ。

    「なぜ、<私>はこの人間なのか」
    「さて死んだのは誰なのか」

    小学校にあがる前のある時、ふと、”「僕」が〇〇君になったら…”と、そんな思考が頭ををよぎった。誰かになる「僕」とは何か。「僕」が抜けて〇〇君になるとき、残された「あれ」は何だろう?それは僕だった何か。いや、あれは「僕」が抜けた後でも僕だ!ではあれが「僕」ならば、いま「僕」を考えている"これ"は何?

    まさに、この、数十年前に突然襲ってきた、そして今も傍らにある感覚(気配)。この「私」問題を考える、いや感じる機会を得られるとは。

    著者は「私」を性格や帰属といった社会的内容から開放し、形而上的な「私」の形式としての「魂」をおく。「私」について「考える」ためには、「私」であるところの ”これ” が ”これ” であることが「考える」に先立って「感じられ」ていなければならない。これは論理的思考の向こう、いや、手前にある感覚であるといい、ある時、自分が「ある」こと、自分が「私」であることに気づく(不思議に思う)感覚である。
    この、感じまた感じられる「存在の気配」により主客は崩壊し、自己=思考の等式は自己=魂へとシフトする。そこでは思考される以前の事柄の一切が包摂されてしまい、存在の全現象は「魂」においておいてこそ成立する。

    全てを魂が包摂するとなると、自己(私)の内に魂があるのではなく魂の内に自己(私)があることになる。主客不分離となった「私」はどう捉えればよいのか。輪郭が崩壊した自分(魂)が世界に、宇宙に溶けていく感覚、これはまさに数十年前のあの時に触れた感覚、気配。戻ってしまった。答えはないのかもしれない。ただ、考えることは楽しい。

  • 恥ずかしいことにここにかかれていることの、5%も理解は出来なくて、「なぜ生きているのか」と言われても生きてるから生きてるんじゃない?と考えもせずに答えてしまう。でも本当はそういうことじゃなくて、池田さんのところに届いた若い人の手紙の中にあったある日突然何かがわかる、その感覚がわたしにはまだ来てないから、それが欲しいので、世間の常識に凝り固まったわたしの頭でそれでも考えたい。

  • ペンネーム:フライングマンさんからのオススメコメント
    いわゆる哲学に分類される本。考える本。
    「何で私は私なの」「死にたくない」「生きたくない」
    一度でも思ったり、考えたりしたことがあるあなたに読んでほしい。
    「生(ある)」と「死(なし)」の当り前であるところの驚き、当り前であるが故の確信に至ること、まちがいなし。
    まずは読めるところから読んでみよう。

    ちなみに・・・
    本のサブタイトルの『魂とは何かさて死んだのは誰なのか』は著者の墓碑銘からきています。


    OPACへ ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000024766

  • 魂について語らうことの難しさを感じながら、書くことによって考えを進めていく思索者としての試みに感服しました。

  • 池田晶子さんの死後、未発表原稿、書籍未収録原稿を集成した「「私」「魂」「死」をテーマにした3冊のうちの1冊。
    魂をテーマにしているのが本書。
    この本では、読者からの手紙や生前に親交があった著名人とのエピソードなどが多数収録されている。
    著者が言うところの「わかる人にはわかる」、の具体例になっている。
    私自身、その領域へは行けないようだが、行けないのはわかる。
    なので、もう少し、時間をかけて考えてみようと思っている。

  • 読むたびに発見してしまう

    こんなにも しなやかに
    こんなにも 自由自在に
    こんなにも 染みこんでくる

    テツガク とは
    こういうことであったのです

  • 「死とは」「私とは」「魂とは」のシリーズは圧巻である。

    このクレバーな著作に対して何をかいわんやだ。

    この中でひとつ、犬は犬という衣を着ている魂・・・と書いてあった。
    そんなペットが身近にいてよかったと思う。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。文筆家。専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立して多くの読者を得る。とくに若い人々に、本質を考えることの切実さと面白さ、存在の謎としての生死の大切さを語り続けた。著書多数。2007年2月23日没。

「2022年 『言葉を生きる 考えるってどういうこと?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池田晶子の作品

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