競争しなくても世界一: フィンランドの教育

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制作 : 国民教育文化総合研究所 
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  • Amazon.co.jp ・本 (62ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901927260

感想・レビュー・書評

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  • フィンランドの教育の秘密を扱った本.テストも宿題も競争もないのに世界一になったフィンランドの教育.先生は修士課程修了で,尊敬を集める存在.人気の職業である.国は全体の方針を決めるだけで,実施は現場や地方に任されている.不具合があれば,チームとして解決にあたる.自主性を重んじるが,勉強しないのは個人の自由.落ちこぼれには専任教師があたる.
    日本とは社会そのものが異なるので,そのまま真似はできないが,今後の教育を考える上で重要なヒントがあるように思う.

  • フィンランドは教育世界一と言われ、小学生の学習到達度テスト(PISA)では、数学、読解、科学、問題解決すべての科目で上位に来ています。

    どんな教育内容なのでしょう?

    基本的に6-3-3制です。

    小学生では教師が普段から生徒の学力を把握しているので、序列をつけたり他人と比較するためのテストはありません。

    また、中学生でも教科ごとに評点はつきますが、他人との比較ではなく、個人の到達度をはかるものです。

    高校生では、学年制ではなく単位制で、必要な単位を取れば卒業できます。

    そして大学入学資格試験は大学入試資格試験委員会が実施し、合計四科目です。


    高校や大学に序列がないため、生徒は競争という意識がほとんどなく、生徒本人がどう学ぶかということに重点が置かれています。


    さて、教師の仕事を見てみましょう。教師はなりたい職業の上位にきており、自分で自由に教えることができます。日本とは違ってほとんど外部(同僚や上司の先生も含め)からの干渉はないのです。実際、教師は授業が仕事のほとんどを占め、授業が終わると14時過ぎには帰ってしまいます。放課後活動にはそれを専門とするまた別の人がやってきます。


    これはいいことだと思います。まず、先生が常に学校にいるわけではないので、皆さんも体験されたことだと思いますが、あの学校独特の厳しい雰囲気。規律でガチガチした感じがないと思います。学校は図書館や地区センターといった雰囲気に近いのではないでしょうか?それならもっと学校へ行くのが楽しくなるに違いないでしょう。また授業中に水を飲むために教室を歩いたり、他の人に教えるために席を立ってもいいそうです。さらにグループを組みたくない人は一人でやってもいいそうです。自由ですね。その代わり、勉強をしない人は自分の責任だと言ってあまり注意されません。

    またフィンランドの子供たちはよく読書をします。そして知識を理解してそれを現実生活に生かすような読書をしています。
    ちょうど大学生のような読書であるといえると僕は思います。例えば環境問題について知識を得るのは環境問題について自分で考えるため。

    今の僕のように、各国の教育を知って日本の教育について考えたいから、フィンランドの教育について本をを読もう。といった読書だと思います。

    受験のために勉強する、暗記する、なんでこんなことを勉強しなきゃだめなの?
    こういったことをフィンランドの子供たちは言わないそうです。


    韓国やアメリカの競争のための勉強とは正反対ですよね。これが実際世界一の学力をもつといわれるフィンランドの教育です。日本はその中間にあると言えるでしょう。


    これらをふまえると、日本の制度はたしかにフィンランドとは違いますが、PISAではある程度上位に来ています。足りないのは読解力などです。
    そこの解決法として、今自分がしている読書法(実際このような主体的な読書ができるようになったのは大学生に入ってからですが…)を小さいうちからやることでしょう。
    そしてもっとグループ学習を増やしてお互いに意見を言い合って、それをまとめるという訓練が必要だと思います。

    決して受験が悪いというつもりは全くありませんし、むしろ日本には必要なことだと思いますが、カリキュラムを少し変えるだけで、上にあげた授業を導入することは可能です。

    みなさんはフィンランドの教育は楽しそうだと思いませんか?

  • フィンランドの教育について紹介されているお勧めの一冊。そんなに分厚くないのですぐに読み終わってしまうが、内容はかなり充実している。日本の教育に疑問を感じたり、どうすればいいのか迷ったりした時に読むといいだろう。きっと今の悩みが解決し、日本の教育のみで迷うのはもったいない、前向きに行こうと思えるはずだ。

  • 競争を煽るだけの日本型教育がよいのか、
    「異質集団方式」に転換を図ったフィンランド型教育がよいのか、
    本を読まなくとも、明らかにわかるであろうが、
    これまでの日本は国として、そんな簡単なことをわかっていながら、
    あえて日本型教育(欧米型教育)に固執し続けているんだろうなと。

    いち教員に、国レベルで教育を返ることは不可能に近いけど、
    国の教育方針に対する不満エネルギーを、
    フィンランドが大切にしている教育へと注ぐことはできるのではないか。
    なんて思いつつ…

    日本への不満が高まるだけの報告だと思うが、
    いろいろとフィンランドの教育の秘訣もわかってきたので、
    そういった意味では有意義な本であるともいえる。

  • うすい

  • PISAで一位になったフィンランドの教育についてざっと分かりやすく書かれている。

  • フィンランドの『ゆたかな教育』のシステムが紹介されています。フィンランドには日本からもかなり視察に行ってるみたいなのですが、はて、彼らは何をどう理解して日本に持って帰ってきたのか??とか思っちゃいました。まぁフィンランドの教育をそっくりそのまま盗む事は無理でしょうけど、ただしっかり見つめれば日本で何が重要なのか見えてくる気がします。この本はそれを教えてくれました。

  • 分類=北欧・フィンランド・フィンランドメソッド。05年7月。同著者の『競争やめたら学力世界一』の元になった本。

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著者プロフィール

1950年、岐阜県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。都留文科大学副学長。主な著書に『格差をなくせば子どもの学力は伸びる』『フィンランドは教師の育て方がすごい』(小社刊)、『競争をやめたら学力世界一』『競争しても学力行き止まり―イギリス教育の失敗とフィンランドの成功』『こうすれば日本も学力世界一』(朝日選書)、他多数。

「2015年 『国際バカロレアとこれからの大学入試改革』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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