旅するアメリカ文学 名作126

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  • アクセス・パブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901976701

作品紹介・あらすじ

メルヴィル『白鯨』、ミラー『北回帰線』、ケルアック『オン・ザ・ロード』、シェパード『モーテル・クロニクルズ』、チャトウィン『パタゴニア』…18世紀から現代文学の最前線まで、旅する名著126タイトルを厳選し、抜粋とともに味わう。

感想・レビュー・書評

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  • おすすめ資料 第120回 旅をするように文学を読む(2011.2.4)
     
    英語タイトルはBook of Journeys: Travellers' Guide to American Literature 。
    アメリカ文学を「旅」するためのガイドブックです。

    ひとつの作品につき2、3ページ分の引用が126本収録されています。
    アンソロジーの定義からは外れますが、アメリカ文学の中の年代もジャンルも様々な作品から「おいしい」ところをつまみとって並べてみせているのはやはりアンソロジーのようです。
    掲載作品はジャック・ケルアック「オン・ザ・ロード」、ジョン・クラカワー「荒野へ」、ポール・オースター「偶然の音楽」など。共通するテーマは「旅」です。

    引用は編者が気に入った箇所ですから、それはその作品の中で読者が気に入る箇所とは必ずしも重なりません。
    気になるページがあれば、スムーズにその作品に辿りつけるように、比較的入手しやすい版が紹介されています。
    多くの作品は外大の図書館でも手に入ります。

    この本の紹介にふさわしい一節を、掲載作品の中から引用します。

    出かけよう、君、誰であれ、ぼくといっしょに旅に出よう、
    ぼくといっしょに旅をすれば、いつまでも飽きのこぬものが見つかるはずだ。
    (ウォルト・ホイットマン「草の葉」より)

    「いつまでも飽きのこぬもの」が何であるかは読み手の解釈に委ねられます。
    この本が文学の「旅」のガイドであるように、大学や図書館が、あなたにとっての「飽きのこぬもの」を自力でみつける助けになれたら、と思います。

  • ナイス選!
    読みたくなる本が満載。
    それぞれの短い解説がさらにそれを煽る。

  • この本の企画に大共感!
    映画やテレビドラマと同様、小説の舞台を旅するのって、楽しい!
    感動の振幅がより大きく振れるから。

    それに、この企画のすごいところは、タイトル通り、「旅」を題材にしたアメリカ文学の名作126編を厳選し、2pageほどの本文抜粋を掲載するだけ、というところ。余計な解説が一切なし!
    とはいうものの、必要最低限の、5行ほどの小説説明はあるし、そして、抜粋にあたってのキャッチコピー(というかリードコピー?)が秀逸。

    たとえば、こんなかんじ。
    「釣れない鱒を釣る人のための 詩的なファンタジー」(ブローディガン「アメリカの鱒釣り」)
    「天蓋の空、果てしないサハラ。虚無へとつづく旅路。」(ボウルズ「シェリタリング・スカイ」)

    日本への旅、もちゃんとセレクトされているのも○♪

    読んで旅するか、旅して読むか・・・
    あなた次第!

  • いろんな小説の抜粋集

    こんな本わたしも作りたい!

    編者の感想とかそういうのがほとんどないのが潔い

    これは雑誌に連載されていたのかどうかわからないけど、もし連載されていたとしたら毎月一話ちょっとだけおすすめの小説が読めるってのはすごく贅沢なことだと思う(読んでみたいけど読んでないのが満載だし)

    アメリカにはロードムービー(小説の場合はなんていうのかな)がよく似合う 広大な大地をどこまでも走り続けるあのあけっぴろげな感じはやっぱりアメリカ独特のものなんじゃないか と

    都市もいいけど そのあいだの空白の大地にこそ こみあげてくるものがある ロマンチック!

  • 私が勝手にアメ文師匠と仰ぐ、青山南さんの最新刊。いやぁ、おしゃれな表紙!と思って手にとったら、この造本がまた!思わず、何冊か手に取って「ここまで狙うかなー」と確認しちゃいました(笑)。もう、内容はタイトルのとおり。あれこれ言うのは野暮というものでございます〜。あとは「名作126」に、どれだけ興味を持ってついていけるかじゃないかなぁと思います。クラシックあり、定番あり、映画化あり、もちろん変化球も…の贅沢なセレクション。絶妙なトリミングがシンプルなイラストとあいまって、知ってる作品も知らない作品も、その作品世界を楽しめるように思います。私が読んだ、あるいは気になっているものがたくさん…さすが、わかってらっしゃる(笑)。もう、これ以上ないという直球勝負の本で、久しぶりに鮮やかに一本とられちゃったよー!の1冊。アメ文ファンだけではなく、海外文学ファンのかたは、ぜひお手元に置かれても損はないと思います。イッキ読みもアリですが、ビールやらポテトチップス(ここらへんをアメリカンに:笑)やらをおともに、行きつもどりつぱらぱらやるのもまた楽し…の本です。◇アヴォカドさんとmanuさんのご声援で、手に取ることができた本だとも思います。ありがとうございました。

  • 名翻訳家の著者が、忘れられない名作を抜粋したこの本。装丁も中の絵も、本の完成度をあげている!さすがエスクヮイヤ編集!!!
    本の紹介、感想、ではなく、抜粋なところがこの本のいいところ。
    アメリカ文学の大きな柱、旅の文学。旅のきらめき、冒険感、焦燥感、無力感がちりばめられていて、人生の有限性と精神の無限性を感じます。

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著者プロフィール

青山 南(あおやま・みなみ):1949年、福島県生まれ。翻訳家、エッセイスト。早稲田大学卒業。著書に『小説はゴシップが楽しい』(晶文社)、『60歳からの外国語修行』(岩波新書)、『ピーターとペーターの狭間で』(ちくま文庫)、『南の話』(毎日新聞出版)、『短編小説のアメリカ52講』(平凡社ライブラリー)ほか。訳書にカルヴィン・トムキンズ『優雅な生活が最高の復讐である』(田畑書店)、ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』(河出文庫)、阿部真理子のイラスト満載のアメリカ現代短編傑作選『世界は何回も消滅する』(筑摩書房)ほかがある。

「2024年 『本は眺めたり触ったりが楽しい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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