センセイの書斎: イラストルポ「本」のある仕事場

著者 :
  • 幻戯書房
3.32
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本棚登録 : 173
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901998161

作品紹介・あらすじ

あの作家、この研究者の書斎が見たい!細密なイラストと文章で明らかにする、31の「本が生まれる場所」。

感想・レビュー・書評

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  • 「書斎」繋がりで読んでみた内澤旬子さんの本。
    31名のセンセイ方の書斎紹介だが、写真で見るのとはひと味もふた味も違う。
    どれも丹念な線画イラストで描かれ、センセイ方の似顔絵とデスク周りの風景、天井から見た俯瞰図で書斎のレイアウトを紹介し(妹尾河童さんのシリーズみたい)、更に本棚に並んだ本などを描いて細かな説明もつく。
    思わず歓声をあげてしまう著者の熱量だ。
    「絶景本棚」では見えにくかった書名も、今度は鮮明に見える。
    センセイ方へのインタビュー記事も入り、読み応えじゅうぶん。
    何とまぁ、石井桃子さんも取材を受けていらっしゃる。ああ涙腺がゆるむ。。
    内澤さん、偉い!素晴らしい!良くやった!という本である。

    当本棚で内澤さんのお仕事ぶりを書くのは2冊目。
    1冊目は「本に恋して」だった。
    今回前書きで知ったことだが、イラストも文章も誰かから教わったことがないらしい。
    色々な人からコツを教わりながら来たというが、たぶんお人柄が成せるわざだろう。
    他人に本棚を公開するのは、案外勇気のいるもの。
    仕事場である書斎を訪ねて、書棚だけでなく書名まで克明に載せ、なおかつ似顔絵まで描かせてもらうなんて僥倖と言えるのではないだろうか。

    作家さんのみでなく、評論家や翻訳家、フランス文学者や建築家、茶道史家、社会学者、ブックデザイナー、古書店や新刊書店まで訪問している。
    養老先生、米原真理さん、荻野アンナさん、上野千鶴子さんのお名前も。
    こーんなに読んだの?!あ、この本は私も読んだ!これはどんな本?
    食事もここでするの?うわぁ、すごい仕掛けの本棚・・(これは林望センセイ)。
    紙だらけでカオス状態の書斎。茶室のような書斎。密林のジャングルのような書斎。上野千鶴子さんのデッドストックが全くないという奇跡のような書斎。
    猫がいたり楽器が置いてあったり段ボール箱だらけだったり。
    ひとつひとつ見ていると、どのセンセイも不思議に親近感が湧いてしまう。
    上に載せた石井桃子さんや金田一春彦さんのように、主の亡くなられた書斎もちらほら。

    7年間にわたって3つの雑誌に連載したという、書斎イラストルポのまとめらしい。
    居心地良い書斎を作り上げようとするセンセイ方の努力と、それを伝えようとする内澤さんの情熱が圧倒的だ。
    図書館本なので見ることもなかったが、帯文は荒川洋治先生が書かれたという。
    しかも幻戯書房の代表取締役は、本書の刊行当時辺見じゅんさんだった。
    鬼籍に入られたのが2011年。
    この本を手にされたことを思い、ちょっぴり胸を撫でおろした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      「ちょっと時間をかけて読んでみますね。」
      ケストナーにファージョン、カニグズバーグに河合隼雄も待っていますから、ごゆ...
      nejidonさん
      「ちょっと時間をかけて読んでみますね。」
      ケストナーにファージョン、カニグズバーグに河合隼雄も待っていますから、ごゆるりとどうぞ。。。
      2020/11/15
    • nejidonさん
      猫丸さん。
      もうウルウルです。
      ケストナー、ファージョン、カニグズバーグ、すごいラインナップです。
      ありがとうございます。
      猫丸さん。
      もうウルウルです。
      ケストナー、ファージョン、カニグズバーグ、すごいラインナップです。
      ありがとうございます。
      2020/11/15
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      にゃ~
      nejidonさん
      にゃ~
      2020/11/16
  •  蔵書に埋もれているように仕事をなさっている人々の雰囲気が個性的に伝わります。でも、何よりも、書庫のたくさんの本を描く、著者のイラストのすごさに引き込まれます。妹尾河童さんも、同じような構図の絵を描かれているのを記憶しています。イラストのわかりやすさとともに、著者の説明の的確さにも、納得します。

  • 「世界屠畜紀行」を読んでいて、同じ内澤さんの本ということで、手に取ってみた「センセイの書斎」。どこか、妹尾河童さんの河童さんがのぞいた「トイレ」とか「インド」の本と似ているところがあります。写真で書斎を見せて、文章がついているという本や記事はたくさんありますが、手書きの見取り図に文章という組み合わせはやはり味があってよいですね。本棚に並ぶ本の並べ方というのは、何が並んでいるのかということでいろいろなことが見た人に判ってしまうという恐ろしさもあるけれど、何をどんなふうに考えているのかが丸見えになることでもあり、よくもまあ、そんなことをさせてくださいましたね、と大公開してくださったみな様に感謝です。
    そして、何よりもうらやましいなと思ったのは、書き手、描き手の内澤さんが、今は亡き米原万理さんや石井桃子さん、金田一春彦さんと会われていることでした。

  • それぞれの人にそれぞれの本棚。

    「世界屠畜紀行」以後の内澤旬子さんのカラーはまだない。でも、細部へのこだわりは一貫しているなあと思った。

  • 書誌学の研究は学問的野心とかアカデミズムよりも古書が好きってことから始まる。なんだかんだいっても、書斎に入ったときの古本独特のにおいが好きだ。

    古代スラブ語研究はどこに行っても入手できないが、市場でも売れない。特殊言語をしている人の運命だそうだ。

  • いろんなセンセイの書斎のイラストを見ているだけで、なんだか幸せ。私は書斎を持つタイプではないが、いくつかは整理術の参考になる。できるセンセイは違うのである…

  • ウチザワさんの”これでもか!”のイラストで表現される、作家や編集者、そして書店や収蔵館のいでたちは、まさに百花繚乱で、そっと覗かせていただくワクワク感がページを開くたびに出現する。
    ああ、静嘉堂文庫のお宝本はあの森の中にひっそりとあるのだな、とか月の輪書林の書棚をじっくり鑑賞しないな・・・とか。
    見てはいけない、見せられないものをそっと見せていただいたような気分の高揚がいつまでも残ります。

  •  書斎を覗くというのは、その人の頭の中身を覗いているようで、少しドキドキしてしまうものだ。圧倒的な知的パフォーマンスを誇る、作家や学者の秘訣はいつでも引っ張ってこれる蔵書にあるというのは一面の真実である。アイディアが浮かんだ時、あの時読んだあれが使えるかもと思ったらすぐ読み返すことができる。このような工程があるかないかで、全然違うものになる。自分も将来魅力的な、自分だけの書斎を創ってやろうと固く心に決めた。

  • CD-ROMやインターネットだけだとやっぱり視野が狭くなる。自分の選んだ項目しか出てこない。紙の媒体だと、全然読むつもりがないものがついでにぱっと目に入ってくる。目的に向かいつつ、途中でまだ私が把握していない魅力的な世界に遭遇できる。だから両方必要。

  • ひとんちの本棚を眺めるのってなんて楽しいんだろう。ただただ、そういったマニアックな欲求をみたしてくれる一冊。今は亡きセンセイもちらほら登場されて、不思議な気分を味わった。

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著者プロフィール

ルポライター・イラストレーター

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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