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- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784901998581
作品紹介・あらすじ
小林秀雄、白洲正子、吉本隆明らがつくった"中世"幻想はわたしたちのイメージを無言の拘束力をもって縛りつづける。日本的なるものへのやわらかな鋭さ。
感想・レビュー・書評
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Ⅰの中世という時代区分を論じるところは、一般には冗長に感じられるかもしれません。筆者は「「中世」に限らず。時代に「本質」などはない」(p10)という立場なので、「わび」「さび」「幽玄」を中世の特質として=「日本的なるもの」とストレートに考えることに抵抗を覚えているようです。「近代のなかで「日本的」とみなされてきたものを、そのまま日本的なものとしてうけとり、そのうえでとやかく論ずることのむなしさを痛感する。」(p68)
Ⅱ以降は西行・実朝・世阿弥はまるで「三題話」として近代知識人がいだいた「中世」のイメージの根拠のなさを扱き下ろしています。川田順の西行はそれほど旅をしていないという説を白州正子が批判した個所をあげて、「「和歌とわずかな記録しか残っていない西行の場合、もっとも確実な伝記研究の方法は残ったものを詳細に読み解いてゆくことしかないはずである。そこから出てきた説を「新説」と皮肉る態度には、自らの感性を至上のものとし、資料を無視する驕慢さが浮き出ていよう。」(p99)
ネイティブ京都人である筆者の活躍に期待します。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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