- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784901998604
作品紹介・あらすじ
井坂洋子の詩の世界へつながる自叙伝的エッセイ。
感想・レビュー・書評
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詩と同様、エッセイからも生きる力をもらえる。光、とか強さ、とかの類ではない力。
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★3.5。深いなぁと思わされるところが多かったし,全体的に好感が持てた。お父さんと蜘蛛とか,巧いなぁと思うところも多し。最初は慣れなかった詩も,段々読めるようになった気がする。
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一篇の詩から連想をつなぐ井坂洋子さんのエッセイは、ちくまの広報誌で出会ってから大好きになりました。目に見える世界の外をのぞかせてくれるような詩の力が、日常の現象にかかわるエッセイからさらによく見えてきたりする。
高橋千尋さんの挿画がまた素晴らしい。造本もていねいで、しみじみいい本だなあと嬉しくなります。 -
言葉を生業にする人だけあって、この人の感度はとてもいい…と、素直に思える。
『噛めば噛むほど』で紹介されていた「夜 松井啓子」の詩と解釈が、ダイアローグの本のイメージの一部。食べる、という行為のつながる愛の交歓。
加害者は忘れ、被害者は忘れないということについて考えていたときに、こういうものにまためぐりあうので、本を読む順番の神さま、ありがとう!
「
責任を、人間は本当には背負いきれないのではないかと思った。…略…
人間は多分、そんなに理に適った生きものとしてできてはいない。…略…
…略…人はあまりの重圧には耐えられない。身も心も感覚も、誠実に引き受けたならノイローゼになるか自滅するかだ。
罪をおかしてしまった自分の、その責任の所在とはいつも空白の席なのである。
」
p138
身体のために少食になっていた時期に、甘いものを食べてしまったときのこの感覚がいい。
「
私は私に甘い。しかしその失望の味を、あの日のみつ豆は上回ってあまりあったのだから、仕方ないのである。
」 -
じっくりと味わうように読みました。
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幾編かの詩を取り上げ、1編ごとにその詩や詩人の世界の紹介を交えつつ、著者の日常や感性が綴られていく。とても自然な文章なのに、的確で繊細で深くて、その上質さに胸が躍りっぱなし。こういう文章を読むと心底幸せで嬉しくなる。独特の雰囲気と上品さを兼ね備えた装丁も素晴らしく、眺めているだけで心が弾む。愛すべき1冊、大切に読み続けたい著者の存在がまた一つ増えた。
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井坂さんの新刊。