東京バラード、それから

著者 :
  • 幻戯書房
3.79
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本棚登録 : 75
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901998819

作品紹介・あらすじ

都市に住む人々の意識下には、いつまでも海と砂漠がわだかまっている。街を見ることば、街を想うまなざし。詩と写真でつづる「東京」の半世紀。

感想・レビュー・書評

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  • 東京では空はしっかり目をつぶってないと見えない… 東京では夢はしっかり目を開けてないと見えない……谷川先生が半世紀に渡って詠み続けた東京の街を自ら切り取った風景の写真とともに編纂されたアンソロジー。
    憧れをトランクに詰めて夜汽車で目指す街でもなく花の都でもないただただ誰にでもある故郷としての東京がシャープなコントラストの「ことば」でページに焼き付けられる様は圧巻で最早感想云々を語るのが愚に思えてくる程の存在感。
    文壇の巨人が街を見ることば、街を想うまなざしを存分に堪能し給へ

  • 谷川俊太郎さんは、著者の写真を見て相当な頑固者だろうな(失礼)と思っていたけれど、やっぱりなんだかこじらせているような気がする。
    怒りと失望と期待とをない交ぜにして、思いを書き連ねる。ショートショートよりも短く、俳句よりも長く、形にとらわれないその詩は、坦々と思考を言語化し、言葉は谷川俊太郎のフィルターを通した世界を形作る。
    小さな愛があり、大きな世界の変化があり、その中の中途半端な人間模様は、モノクロのフィルムが良く似合う。
    東京という箱は変わっても、中にいる人の思いはあまり大して変わらない。昔から怒りや失望や期待は変わらず、そしてそれらが氏の世界に永遠性を持たせる。ただ時の流れだけは、どんどん速くなって、人はそのスピードについていけなくなっているからこそ、時を切り取った写真や詩をもう一度見返す余裕というか気持ちがとても大切なことなのだろうと思う。

  • 谷川俊太郎さんの写真(しかも50年代、60年代の!)と詞がなんとも素敵な感じをかもし出しています。
    詞は写真と同年代のものもあれば、いつの時代か分からないものもあり、なんとも不思議な気持ちになります。
    離婚届っていう詞が、記憶にしっかりと残りました。

  • 「東京」という題材で著者が書き連ねた(主に昭和時代の)詩を集め、編集した作品。本作品には著者自身が撮影した東京の写真や、この本を刊行するにあたって書き下ろした「東京リミックス」という新作の詩も掲載されている。詩を読み終えると次のページに写真が、章をごとの締めくくりに「東京リミックス」の詩が現れる。多くの詩に句読点がないように著者の詩にも句読点はない(ちなみに僕も詩に句読点は必要ないと思う)のだが、写真がこの本全体においての「読点」、「東京リミックス」が「句点」のように詩集全体にリズムを与えている。普段、詩集を読まない人でも、東京、昭和、モノクロ写真が好きな人は心惹かれる詩がいくらかあるはず。僕にもありました。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“本屋総研”で登場。
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/highlight/07.html

    今回は、B&Bで探す、「カフェネスカフェで読みたい本」

    カフェで読むとしたら、これがいいですね。と小山薫堂さんが手に取ったのは、谷川俊太郎さんの「東京バラード、それから」

    嶋さん「カフェで詩を読むって、いいかもしれないですね。」
    小山さん「東京のど真ん中で、東京をテーマにした詩集を読むと言うのは、いいと思います。


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/teaser.php

  • 変わらないクオリティの高さ。

  • 谷川俊太郎さんの詩集です。

    40年前の「東京バラード」に

    その後のものを加えて、

    「それから」になる。

    昭和20年代~30年代に
    自ら撮影したモノクロ写真が
    多数掲載されています。

    詩とモノクロ写真、

    ゆっくりと読み、

    じっと写真をみる。

  • 1952年から2009年までの詩集から抜粋された詩篇の数々。過去に書かれた詩、近年書かれた詩がアトランダムに連続して編まれている。決して色褪せない言葉の力と言葉から広がる無限の世界。素晴らしい一冊。

  • 谷川俊太郎の詩集。自身による’50-60年代の写真がものすごく良い。

  • ことばのファインダーで一瞬の情景を切り取る

    ここに描かれる東京は、いつか住んでいた大都会。
    詩人の言葉を道連れに自分の記憶の内奥に潜っていく。
    あの日、すれ違ったまま忘れていた、かすかな思いの横顔を探しに。

    希望に燃えていたばかりではない、かといって暗く沈んでいたばかりではない、青かった日々。

    新作と旧作を取り混ぜて、1950~60年代に谷川さん本人が撮った写真と組み合わせて収録した1冊。
    新作は各章最後に1編ずつの緩やかな連作のみで、大半は旧作である。
    手持ちの駒を使った形だが、パッチワークのように組み合わせることで、この本でしか醸し出せない味わいが生まれている、というところなのだろう。

    詩人の撮るモノクロ写真はやはり詩の一節のよう。
    というよりは、詩と写真は似たものなのかもしれない
    情景が切り取られるところも、それによって想いや記憶が引き出されてくるところも。
    そんなことを思いながら読んでいたら、巻末に谷川さん自身の、詩と写真についての考察があった。

    写真の中では日本アンテナの写真が一番好きだった。
    詩の中で一番好きだと思ったのは、「でんしゃ」だった。あとで出典を見たら、自分が持っている『はだか』の中の1編だった。『はだか』もついでに読み直した。

    どこか斜めで尖った谷川さんのことばたち。
    きわめて個人的でありながら、読むものにまるで自分のことが描かれているように思わせる普遍性。それこそが類い希な詩人の強烈な個性なのかもしれない。

    • usalexさん
      「きわめて個人的でありながら、まるで自分のことが描かれているように思わせる」
      小説などでも、きわめて個人的、あるいは特殊な体験を描いていなが...
      「きわめて個人的でありながら、まるで自分のことが描かれているように思わせる」
      小説などでも、きわめて個人的、あるいは特殊な体験を描いていながら、だれが読んでもまるで自分のことのように、あるいは身近な話として素直に共感できる、これが長く名作として残るものに共通の特長のような……
      いや、これはただ単に最近私が難しい作品についていけないことが多いための言い訳か……
      (この場をお借りしての独り言、すみません!)
      2012/02/09
    • ぽんきちさん
      usalexさん
      共感しにくい作品である場合、作品側に責任があるのか、読み手側に責任があるのか・・・難しい問題ですね。
      学生の頃の友人が...
      usalexさん
      共感しにくい作品である場合、作品側に責任があるのか、読み手側に責任があるのか・・・難しい問題ですね。
      学生の頃の友人が"Right book, right time."というフレーズを教えてくれました。文字通りに解釈すれば、「時宜を得た本」ということなのだと思います。この言葉には二面あって、「よいときによい本に出会った!」とストレートに喜ぶときと、「うーん、いまいちだったけれど、今はこの本を読むのに最適の時じゃなかったんだな・・・(でもいつかまたいいときがあるかもしれないよ)」と思うときと、両方を指しているように思います。
      今はいまいちだったけど、あとでまた出会い直すこともある。本ってそんなゆるっとしたつきあい方もあるのかな、なんて思ったりします。
      (ので、「む、わかんねぇ(--;)」と思ったものはとりあえず保留していることの多い私です(^^;))

      ・・・とりとめがなくてすみません。
      2012/02/09
    • usalexさん
      Right book ,right time.
      良いフレーズを教えていただきました。そうですね、出会い直すこともありますね。
      ただ、だんだん...
      Right book ,right time.
      良いフレーズを教えていただきました。そうですね、出会い直すこともありますね。
      ただ、だんだんそのための時間がなくなっていくような気がしてくる歳になりまして……
      正直あせりを感じる時と、出会うべき本とは必ず出会えるのだという変な確信のようなものを感じる時とが、交互に訪れるのです……
      2012/02/10
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著者プロフィール

谷川俊太郎(たにがわ しゅんたろう)
1931年、東京生まれ。父に、哲学者・谷川徹三。現在の東京都立豊多摩高等学校を卒業し、1948年頃から詩作の活動を開始。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』出版。以後詩、エッセー、脚本、翻訳などの分野で多岐に渡る活躍を続けている。
翻訳については、ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』や『スイミー』、ゴフスタインの絵本の数多くを手がける。詩集に『ことばあそびうた』、『みみをすます』、『日々の地図』、『はだか』、 『世間知ラズ』など、エッセー集に『散文』、『ひとり暮らし』、絵本に『わたし』『ともだち』『もこ もこもこ』、詩集に『シャガールと木の葉』、『すき』、『詩の本』、『トロムソコラージュ』など。
萩原朔太郎賞、鮎川信夫賞、三好達治賞、朝日賞など多くの受賞歴がある。

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